2007/03/31
続・ヨーグルトの国の、ヒゲ付きドラァグ・シンガー
前回のエントリに引き続き、今回もアジスについての話題です。まずは、前回紹介して好評だった、この曲のヴィデオ・クリップからどうぞ。
古今東西のクィア・ミュージックについて書いています。
2007/03/31
あんたらは、バルカン地方に住んでるんでしょ? ジプシーの国のど真ん中にいるんでしょ? だったら何を聴くっていうんだい? ヘビメタかい? じゃあなんでヘビメタを聴くの? ちっともわかってないね。それはあんたらの音楽じゃないだろ? じゃあラップ? そんな文化は持ってないだろ? そういう歴史をあんたらは持ってないじゃないか。
一面では、僕は民主主義の顔でもあるんだ。僕が画面に出ているのを観て、人々は、この国には自由があるんだな、と理解する。たくさんの人たちが、僕を画面から外そうとしたし、追い出そうとした。僕のやっていることに反発してるんだよ。それが普通だとは思う。実に長いあいだ、この国は共産主義だったんだからね。多くの人にとっては、まだ共産主義のほうが普通なんだよ。
ブルガリアの人たちは、僕のことを好きじゃないふりをしているんだ。そんなの信じられないよね。僕がもらったファン・レターや電子メールの中で、どんなことが打ち明けられているか、想像できるかい? 僕の新しいヴィデオ・クリップが観たくて、早く家に帰ってテレビを点けるのが待ちきれないんだけど、それを友達に知られるのが怖い、っていうんだよ。何でだろうね? 僕にはわかんないよ。僕を観るのは普通のことだよ。だって、僕はショーに出てるんだもの!
僕は、ブルガリアン・ドリームなんだ。この国では、アメリカン・ドリームはアメリカでしか起こらないものと思われてる。僕は、ごく単純な、どこにでもいる普通の田舎者が都会にやってきて、自国でスーパースターになったという、その生きた見本なんだよ。
コメント
ふむーー……。。。とても考えさせられてしまいました。カリスマティックなオーラが出てるのはそういう背景があるからなんですねぇ。。
ブルガリアと日本では事情が全然違いますが、ワタシもマイノリティ(TG)の1人として社会で生活をして行くことの大変さを自覚してます。。アジスさんの抱えている困難を手に取るようには判りませんが、すごく強い人なんだなぁ…と。
あれからyoutubeでアジスの他の映像とかも見ていると、ワタシは勝手に勇気をもらってしまいました☆もっと堂々としていいんだって…。遠い国のことなので、こちらへオジャマすることがなかったら存在すら知らないままでした。ありがとうございました!
CDを探してみましたが、やっぱり大手では取り扱いさえないんですね…。タワーかどこかで偶然見つかったらラッキーなんですが。。
2007/04/01 13:46 by まりゅ URL 編集
コメントをありがとうございます。(^^
確かにアジスは、強い人なんだろうなー、と私も思います。
その強さはどこから来るのかといえば、生来のものもあるんでしょうけど、それに加えて、「自分はこれでいいんだ、これこそ自分なんだ」という自信の存在も、きっと大きいんでしょうね。
ブルガリアのファンの人たちが、アジスを支持している理由って、たぶんまりゅさんがアジスからもらった勇気と、全く同じだと思います。
ブルガリアの人たちも、たぶんアジスから勇気をもらっているんだと思うんですよね。「ああ、自分のままでいてもいいんだ」って。
先日、新宿のタワレコでアジスのCDを探してみましたが、やっぱり置いてませんでした。残念。
日本のCDショップで取り扱っているブルガリアのCDって、ブリガリアン・ヴォイス関係だけなんですよね……。
2007/04/02 12:11 by 藤嶋 URL 編集
コンチータのリンクから、あらためてアジスの解説を再読、
以前読んだ時と同じく、否その時以上に深く共感いたしました。
「普通」な人々にとってモンスタラスに映る存在の脅威は、ある程度の想像はつきますが、
それこそ「寛容」であるとか「受容」されることはおもねることではないこと、
ときには排除の方向に進められてしまうことがあっても、大地に根を張り春を待ち花を咲かせること、それは意思であったり勇気であったり、
そういった、ちょっと横に置いていたことを見つめなおす機会を頂きました。
ありがたく思います。
2014/05/11 12:21 by 比良凛G URL 編集
Re: タイトルなし
コメント、どうもありがとうございます。
何年も前に書いた記事に、今でもこうしてコメントをいただけるのは、自分の書いた内容は一過性のものではなかったという手応えを感じることができるので、とてもありがたいです。
比良凛さんからいただくコメントには、いつも励まされています。これからも読んでいただけると嬉しいです。(^^
2014/05/13 10:35 by 藤嶋隆樹 URL 編集