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新年あけましておめでとうございます。相変わらずのマイペース更新ですが、これからもちょくちょく覗いていただけると嬉しいです。本年もよろしくお願いいたします。

さて、2013年の最初のエントリは、リベラーチェ(Liberace)の伝記映画『Behind The Candelabra』についての話題です。

オスカーも受賞している映画監督のスティーヴン・ソダーバーグが、リベラーチェの生涯を映像化するらしいという話題は、既に2008年9月に、このブログでも紹介しています。

リベラーチェの伝記映画が製作準備中、らしい。(2008.09.21)

この2008年9月のエントリの中では、リベラーチェの経歴についても簡単に紹介しているので、「リベラーチェって誰?」というかたは、ぜひそちらも参照なさってみてください。

さて、この映画化決定の第一報からずいぶんと長い時間が経ってしまっていますが、企画がお流れになったわけではなく、リベラーチェ役には名優マイケル・ダグラスが、そしてリベラーチェの恋人であったスコット・ソーソン役には当初の報道どおりマット・デイモンが決まり、完成作が今年の春にいよいよお目見えとなるそうです。

ところが。

この『Behind The Candelabra』は、監督も主演俳優も非常に知名度の高い顔触れが揃っているにもかかわらず、劇場公開作品ではなく、HBO で放送されるテレビ映画なのだそうです。

どうしてテレビ映画なのか、その理由について、1月5日付で Advocate.com が記事を掲載しています。

Soderbergh Says Studios Turned Up Noses at 'Too Gay' Liberace Pic(Advocate.com, 2013.01.05)

この Advocate.com の記事は、The New York Post 紙のサイトに掲載されている内容を紹介しているものなのですが、それによると、ハリウッドのありとあらゆるスタジオが、この『Behind The Candelabra』の内容をゲイ的過ぎるとして制作を敬遠したため、HBO のテレビ映画として制作することになった、とソダーバーグ監督が発言しているそうです。

既に『ブロークバック・マウンテン』のようなゲイ・テーマの作品が大ヒットしているという状況があるにもかかわらず、ハリウッドのスタジオの経営陣がこのような反応を示したことに、ソダーバーグ監督はびっくりさせられたそうです。

今回の記事が伝えているのはあくまでもソダーバーグ監督の側の見解であって、スタジオの経営側の言い分はよくわかりません。ただ、ハリウッドのホモフォビアという要因の他にも、リベラーチェという人物の商品価値が現在ではそれほど高くはないという事情も、少なからず関わっているような気が、私はします。

たとえば、このブログの2010年9月12日付のエントリでは、ラスベガスにあったリベラーチェ博物館の閉鎖について取り上げていますが、この話題が示していたのは、現在という時代ではリベラーチェの名前にはそれほどの集客力がない、ということだったようにも思います。

リベラーチェ博物館の終焉(2010.09.12)

私自身は、リベラーチェという人物に以前から関心があったので、リベラーチェの生涯が映像化されるというニュースにこうして反応しているし、嬉しくも思っているのですが、現在リベラーチェに関心のある人の数は、本国アメリカでもさほどは多くないだろうという気がします。ましてや日本では、リベラーチェの名前自体、ほとんど知られていません。故に、たとえアメリカで劇場公開されたとしても、日本での劇場公開はまず見送られるだろうし、これがテレビ映画となると、はたしてDVD化されても日本盤の発売があるかどうか。

まあ、日本盤の発売がないDVDもネット通販で簡単に入手できる時代なので、この先DVD化さえされれば、日本で暮らす私にも『Behind The Candelabra』の視聴の機会は必ず訪れるだろうとは思います。でも、できることなら劇場の大きなスクリーンで日本語字幕付きで観たかったし、DVDで視聴するのであれば、日本語字幕のある日本盤で観たい、というのが正直な欲求です。

もしも『Behind The Candelabra』がDVD化されて、日本でも発売されるのであれば、それはまず間違いなく、リベラーチェの知名度によるものではなく、ソダーバーグ監督やマイケル・ダグラス、そしてマット・デイモンの日本における知名度の高さ故だと思います。その点で『Behind The Candelabra』の日本盤の発売には期待をかけることができるし、既に今から日本でのDVDの発売を待ちわびている私です。


damon and douglas
左がスコット・ソーソンに扮しているマット・デイモン。
右がリベラーチェに扮しているマイケル・ダグラス。
(画像は Advocate.com より)


マット・デイモンがゲイ役を演じていることがこの作品の大きな目玉となっている雰囲気ですが、この画像を見る限りでは、リベラーチェのド派手な衣装を見事に着こなしてしまっているマイケル・ダグラスのハマりっぷりもかなり凄そうです。


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2013.01.07 Top↑
ラスベガスの観光名所として知られていたリベラーチェ博物館が、30年以上に及ぶその歴史に、いよいよ幕を下ろすこととなってしまいました。Advocate.com が9月11日付で報じています。

Liberace Museum Closing (Advocate.com, 2010.09.11)

リベラーチェ博物館
リベラーチェ博物館


リベラーチェは、1950年代にテレビを通じてスーパースターとなった、アメリカのピアニストです。派手な衣装と過剰なステージ演出が、後世のロック・スターにも大きな影響を与えました。1987年にエイズによる合併症で亡くなっています。詳しくは Queer Music Experience.本編をご覧になってください。

リベラーチェ バイオグラフィー (Queer Music Experience.) ←読んでね。

アメリカのゲイ向けニュース・サイト EDGE は、これよりも前の5月20日、リベラーチェ財団のジャック・ラパポート会長のインタヴューを掲載していました。このインタヴューの中で、ラパポート会長は、リベラーチェ博物館をストリップ(ラスベガスの繁華街)に移転する考えがあることを話していました。

Liberace Museum, steeped in the past, looks to the future (EDGE on the Net, 2010.05.20)

かつては年間で400,000人以上の集客があり、ラスベガスの代表的な観光名所にもなっていたリベラーチェ博物館ですが、今日では客足が鈍り、財政難に陥っていたようです。収蔵品の保存状態を良好に保っていくためにも、より多くの収益が必要となることから、観光客が立ち寄りやすいストリップ沿いへの移転を、ラパポート会長は考えていたようです。

このインタヴューを読んで以降、私はリベラーチェ博物館の今後が気になっていたのですが、ついに先日(9月11日)、博物館がその扉を永遠に閉ざす予定であることが報じられました。

Advocate.com の記事によると、リベラーチェ財団取締役会のジェフリー・コープ氏は、パートタイムも含む博物館のスタッフ全員に、10月17日付での解雇を言い渡したそうです。これは純然たるビジネス上の決断であり、取締役会としても苦渋の決断であったことを、コープ氏は語っています。

こうした施設の経営について、私は大した知識があるわけではなく、ましてやアメリカでの話なので、こうしたらいいのではないかとか、ああしたらいいのではないかとか、そうした建設的な意見を述べることは難しいのですが、あくまでも一個人の素朴な感想として、博物館や美術館や図書館などの施設が財政難によって姿を消していくのは、非常に残念です。

新しい文化を創造・享受するだけでなく、古い文化を遺していく(つまり、文化の歴史を学ぶ)ことの重要性を、私たちはもっと見直さなければいけないように思うのです。

生前のリベラーチェの、ラスベガスでのショーの模様です。




2010.09.12 Top↑
このブログにありがたいコメントをたくさん寄せてくださっている人形作家マーガレットさんのブログ『マーガレットの妄想日記★366days Pet Shop Boys』の、9月14日付のエントリを読んで、リベラーチェの伝記映画の製作準備が行なわれているということを、初めて知りました。

そのエントリで紹介されている元記事はこちら。
バラエティ・ジャパン | ソダーバーグ監督の最新作は“リベラーチェ”

リベラーチェについては、既に Queer Music Experience.に詳しいバイオグラフィーを掲載しているので、そちらも参照していただきたいのですが、簡単に説明をすると、テレビが一般家庭に本格的に普及をし始めた1950年代のアメリカで、自身の名を冠した音楽バラエティ番組『The Liberace Show』が人気を博し、テレビが生んだ初のスーパースターの1人となったのが、このリベラーチェです。

(ちなみに、日本では彼の名を「リベラーチェ」と表記するのが慣例なので、Queer Music Experience.でもあえてそれに倣っていますが、正確な発音は「リベラーチー」です。)

リベラーチェ バイオグラフィー(Queer Music Experience.)

リベラーチェは、確かに傑出した才能を持ったピアニストではありましたが、今日リベラーチェを語り継ぐ際に先ず言われるのは、彼のピアニストとしての技量への賛辞ではなく、コンサート時のド派手なステージ衣装と過剰な演出。

これが後のロック/ポップス界に与えた影響は大きく、1960年代におけるエルヴィス・プレスリーのド派手なジャンプスーツは、実はこのリベラーチェの勧めによるものです。また、プレスリーだけではなく、リトル・リチャードやエルトン・ジョンなどの派手な衣装も、リベラーチェからの影響です。

いわば、リベラーチェは、主流のポップスの世界に初めてキャムプ文化を持ち込んだ先駆者なんですね。



ロールスロイスに乗ってステージ上に現れるリベラーチェ。
これは1981年の映像です。
ド派手な衣装と、演奏時間よりもトークのほうが長いあたり、
日本の歌謡ショーに通じるものがあります。
ちなみに、運転手役を演じているのは、
当時の恋人であったスコット・ソーソン。
彼は私生活でも実際にリベラーチェの運転手でした。




こちらは、リベラーチェのピアノ演奏の映像です。
曲は「Beer Barrel Polka」。
日本では「ビア樽ポルカ」の名前で知られています。




リベラーチェは1987年2月に、エイズによる合併症で亡くなっています。しかし、リベラーチェは自分がゲイであることを最期まで認めませんでした。そのこともあって、アメリカのオープンリー・ゲイの著名人のあいだでは、ロール・モデルとしてのリベラーチェの評価は、決して高くはありません。



で、話をバラエティ・ジャパンの記事に戻します。

このバラエティ・ジャパンの記事で語られている内容によると、この伝記映画では、リベラーチェの同性愛もちゃんと描かれるみたいですね。というのも、リベラーチェの恋人であったスコット・ソーソン役に、マット・デイモンが出演交渉中とのことなんです。実際にマット・デイモンが出演するかどうかはさておき、マット・デイモン級の俳優がスコット・ソーソン役に予定されているということは、リベラーチェの同性愛の部分にスポットが当たると見て、まず間違いなさそうです。

以前、このブログでも、『ブロークバック・マウンテン』のアン・リー監督がダスティ・スプリングフィールドの伝記映画を撮るというニュースを話題にしたことがありましたが、このニュースは全くのデマでした。なので、このリベラーチェの伝記映画の話も、どこまで本当かはわかりませんが、ぜひ実現してほしいものです。

(ただ、仮に実現したとしても、日本で公開されるかどうか。なにしろ、リベラーチェの知名度は、今日の日本ではあまり高くないですからね……)



ちなみに、スコット・ソーソンとリベラーチェの関係ですが、かなりドロドロした愛憎劇を繰り広げてます。既に Queer Music Experience.に掲載しているバイオグラフィーの中でも紹介していますが、5年のあいだ続いた蜜月が終わった1982年、スコット・ソーソンは1億1,300万ドルの手切れ金の支払いを求めて、リベラーチェを相手に訴訟を起こしています。また、リベラーチェの死後には、彼の同性愛を暴露する内容の伝記本『Behind The Candelabra』を出しています。

スコット・ソーソンとリベラーチェのどちらに正当性があったのか、それは私には判断できることではないし、今回の伝記映画を手がける予定のスティーブン・ソダーバーグ監督がどのような視点を持って描くかによっても、観客の印象は左右されるでしょう。その辺も含めて、今から非常に楽しみな映画です。



それでは最後に、Queer Music Experience.のほうでも紹介している、1950年代のリベラーチェの貴重な映像を、ここでも紹介します。

"Flight of the Bumblebee"
くまんばちの飛行
(from TV show "The Liberace Show", 1953)




2008.09.21 Top↑
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