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『老女優は去り行く―美輪明宏のすべて』ジャケット昨年末のNHK紅白歌合戦における美輪明宏さんのステージへの反響について記した、当ブログの今月8日のエントリで、私は次のように書きました。

「どうやら2013年は、『タレント・美輪明宏』ではなく『歌手・美輪明宏』の再評価が進む年となりそうな気がします。」

しかし、どうも私の期待していたのとは違う方向に再評価が進んでしまっているようだ、という感触が、ここのところ強まっていました。

たとえば、1月25日にTBS系列で放映された『中居正広のキンスマスペシャル』では、昨年末の紅白で最も視聴者の印象に残った2組のアーティストとして、美輪さんとゴールデンボンバーが特集されましたが、密着取材が行なわれたゴールデンボンバーに対して、美輪さんの出演部分は、2007年12月28日に放映された『金スマSP』のVTRが再使用されただけで、新規に収録された美輪さんの映像はありませんでした。

その2007年の映像も、いかにも民放のバラエティ番組的な、過剰な煽り演出によって、既に充分語られてきた美輪さんの半生を紹介するというもの。これといって目新しい話題は、やはり何もありませんでした。(50年近くも前から同性愛をカミング・アウトしていらっしゃる美輪さんに向かって、「禁断の質問」という煽り文句で、「あなたの恋愛対象は男性なのですか?」としつこく聞いているのには本当に呆れましたが。)

24日に発売された『週刊文春』の1月31日号には、「美輪明宏『養子』の正体」という、いかにもスキャンダルのように煽り立てた見出しで、美輪さんのプライヴェートに関する記事が出ました。しかし、これもやはり誌面の大半は美輪さんの半生について割かれていて、養子うんぬんという話題に関しては、週刊文春 WEB に掲載されている抜粋記事を読めばそれで充分、という程度の内容です。

「ヨイトマケの唄」が再びヒット 美輪明宏に養子がいた!(週刊文春 WEB、2013.01.23)

あえて補足するなら、養子に入られたという男性は美輪さんの所属事務所の社長さんです。同性婚としての養子縁組ではありません。見出しにあるようなスキャンダラスな要素は何もなく、美輪さんご自身も堂々と取材に応じていらっしゃいます。



今回の美輪さんブームというのは、『キンスマスペシャル』のナレーションの中でも語られていたように、美輪さんが歌手だということをこれまで知らなかった層(特に若い層)が、美輪さんの紅白でのステージに衝撃を受け、これを絶賛したことによって形成されています。

つまり、25日放送の『キンスマスペシャル』も、『週刊文春』の1月31日号の記事も、美輪さんが歌手だということを知らなかった層を主なターゲットとしているのであって、だからこそ、そうした層に向けて、これまでにも既に充分語られてきた美輪さんの半生が、こうやってまた改めて語り直されている、ということなんだろうと思います。

そのこと自体は、悪いことではないと思います。『キンスマスペシャル』にしても『週刊文春』の記事にしても、扇情的な装飾がずいぶんと過多ではありますが、新しいファンのみなさんに美輪さんのことをより深く知っていただくには、これは良い機会なんだろうとは思います。

ただ、私が期待していた「歌手・美輪明宏」の再評価というのは、それとは違ったんですね。

たとえば廃盤になっていた美輪さんの過去の作品が再発されたりとか、あるいは未CD化だった音源が復刻発売されたり、といったような、これまで埋れていた作品群に改めて光が当たるようになること、だったんです。

ところが。

テレビや週刊誌などのマス・メディアの関心は、少なくとも現時点では、美輪さんの半生やプライヴェートにばかり向けられていて、「ヨイトマケ」以外の美輪さんの作品には関心を示していません。

結局のところ、このひと月のあいだにマス・メディアが報じてきた美輪明宏ブームというのは、やっぱり「タレント・美輪明宏」の再評価であって、「歌手・美輪明宏」の再評価ではなかったように思います。

しかし、どうやら私はせっかち過ぎたようです。

「歌手・美輪明宏」の再評価をあきらめてしまうには、まだ早かった。

私が期待していた形での、「歌手・美輪明宏」の再評価が、始まっていました。



まず、1月30日付で毎日 jp(毎日新聞)に掲載された記事によると、『美輪明宏全曲集』のCDの出荷数が、昨年12月下旬に比べて5~8倍になっているとのことです。

美輪明宏さん:「世間がついてきた」紅白に若い世代も衝撃(毎日 jp、2013.01.30)

テレビや週刊誌が美輪さんの半生を扇情的に取り上げることにばかり夢中になっていても、ユーザーはあくまでも美輪さんの作品そのものを求めている、ということがよくわかる数字です。

美輪明宏 全曲集 2013美輪明宏 全曲集 2013
(2012/10/10)
美輪明宏

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そして、ついに、1月29日付で、美輪さんのライヴ盤の再発のニュースが報じられました。

「ヨイトマケの唄」も収録、美輪明宏1977年のライブ盤が初CD化(BARKS、2013.01.29)

私が待っていたのは、まさにこうした形での再評価なんです。

「歌手・美輪明宏」の歌が、時の流れに埋もれてしまうことなく、一人でも多くのかたがたの耳に触れること、そして愛されること。

それこそが、私の待ち望んでいたことなんです。

既にCD化されている美輪さんのライヴ盤としては、1981年9月に銀座・銀巴里にて行なわれたライヴを収録した全9曲入りの『喝采/美輪明宏銀巴里ライブ』があります。今回初めてCD化される『老女優は去り行く―美輪明宏のすべて』は2枚組。しかもボーナストラックが2曲収録されるそうです。

昨年末の紅白をきっかけに美輪さんのファンになったというかたには、2枚組というヴォリュームは、入門編とするには多過ぎるように感じられるかもしれません。しかし、紅白でのステージの感動を追体験するには、スタジオ盤よりもライヴ盤のほうが適していると、私は思います。

コレクターズ・アイテムとしても非常に魅力的な内容の『老女優は去り行く―美輪明宏のすべて+2』ですが、新しくファンになられたみなさんにも、ぜひ手にしていただきたいアルバムです。

と、リリース前から力説してしまう、せっかちな私です。



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2013.01.31 Top↑
アメリカのメジャー・ゲイ雑誌『Out』の公式サイトでは、1月24日付で、アレックス・デイヴィス (Alex Davis)という FtM (Female to Male)のロック・アーティストについての記事が掲載されています。

Need to Know: Alex Davis's 'Shaving' Rock Musical (Out Magazine, 2013.01.24)

Alex Davis


内容は、彼の半自伝的な内容のロック・ミュージカル『Shaving』が、ニューヨークの Joe's Pub にて1月25日から上演される、というものです。彼のこれまでの経歴については、この記事の中では詳しく語られていなかったので、自分でいろいろと調べてみたところ、見つけたのが下にリンクしたブログの記事でした。

Alex Davis (1981?--) singer. (A Gender Variance Who's Who, 2011.10.30)

このブログの記事によると、なんとアレックス・デイヴィスは、俳優のブラッド・デイヴィスの一粒種なんだそうです。このことは、アレックスの公式サイトでも、今回の『Out』誌の記事の中でも触れられてはいないのですが、だからといって特に伏せているというわけでもなさそうです。



ブラッド・デイヴィスは、アラン・パーカー監督の1978年の作品『ミッドナイト・エクスプレス』や、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の遺作となった1982年の『ケレル』に主演した、アメリカの俳優です。セックス・シンボルと呼ぶにふさわしいエロティックな肉体美の持ち主で、ゲイの役柄を多く演じていたことでも知られています。

Brad Davis
『ケレル』でのブラッド・デイヴィス。


彼は1985年に、HIV陽性と診断されます。既に妻子があった彼の性的指向やHIVの感染経路については、現在でも諸説がありますが、コカイン注射によってHIVに感染したというのが最も広く一般に流布されている説です。1991年に、彼は妻と友人の立会いのもと、薬物の過剰摂取による幇助自殺によって、この世を去りました。

そのブラッド・デイヴィスの一粒種が、アレックス・デイヴィスなんです。

私は『ケレル』でのブラッド・デイヴィスが個人的に大好きだったので、アレックスが彼の一粒種だと聞いて、俄然、思い入れが強くなってしまいました。我ながらミーハーだなと思います。すいません。



さて。

『Out』誌の記事で紹介されている、アレックス・デイヴィスの新作ロック・ミュージカル『Shaving』は、彼が以前、ブルックリンの Knitting Factory で上演していたワンマン・ショー『Man of The Year』を基にしているそうです。『Man of The Year』に他の登場人物を新たに加え、他者との人間関係に物語の重点を置き、父親の死をも含めた彼のこれまでの人生、そして恋愛を描いたものが、今回のロック・ミュージカル『Shaving』となっているようです。

アレックスのこれまでの経歴をここで簡単に紹介すると、彼は幼少の頃から既に楽器の演奏や作曲に親しんでいたそうですが、本格的にアーティスト活動を開始したのは2004年。ライヴ・ハウスでの演奏だけでなく、西海岸地区のさまざまなLGBTプライド・イヴェントでも盛んにパフォーマンスを行なっています。

音源は、2009年に6曲入りのEP盤『The Awkward Longing』を、そして2010年には前述したワンマン・ショーと同名の4曲入りEP『Man of The Year』をリリースしています。ステージではアコースティックの独演スタイルが多いアレックスですが、これらの音源では、エリオット・スミスやニルヴァーナから影響を受けたというオルタナティヴ・ロック・サウンドを聴かせてくれます。

そして、アレックスの楽曲の多くは、新作ロック・ミュージカル『Shaving』もそうであるように、FtM であることが主要なテーマとなっています。

先にリンクした『Out』誌の記事の中で、アレックスは次のように語っています。

「僕は、トランスであることにオープンだ。人々には喜んでそのことを話してるし、聞かれれば喜んで答えてもいる。ある一定の範囲まではね。トランスがどういうことであるのかを説明しながら、同時に一方では、そんなのググればすぐにわかることなんだけどなあ、っていう思いも、僕の中にはあるんだよ。こうやって説明することが僕の本当にやりたいことなのか? 僕のやりたいことは啓発なのか? ってね。それでも僕は、啓発が必要な人たちにとって、入口にしやすい存在でありたいんだ。」


それでは、アレックスの2009年のEP盤『The Awkward Longing』に収録されている、「If Only You Were A Boy」のミュージック・ヴィデオをご覧ください。

"If Only You Were A Boy"
(2008)


アレックスの2枚のEP盤は、CD baby や iTunes Store にて、日本からも購入可能です。ただし、iTunes Store で購入される場合には、同姓同名の別のアーティストの作品も一緒に表示されるので、くれぐれも間違われないよう、ご注意ください。

CD baby での試聴・購入はこちら。
Alex Davis | CD Baby


iTunes Store での試聴・購入はこちら。
iTunes - ミュージック - Alex Davis「The Awkward Longing」

iTunes - ミュージック - Alex Davis「Man of the Year」




アレックス・デイヴィス公式サイト
http://www.luckyalex.com/



2013.01.27 Top↑
数年前、このブログではアジアン・クイアー・ミュージックについて集中的に書いた時期がありましたが、私は基本的に、アジア諸国のLGBT事情、およびエンタテインメント情報について、それほど詳しいわけではありません。

※当ブログのカテゴリ「アジアン・クイアー・ミュージック」は、こちら

そういうわけで、ゲイ・コミック作家の田亀源五郎先生が1月24日付でツイートなさった内容を読んだとき、俳優のアンソニー・ウォンがゲイであることをカミング・アウトしていたのかと最初は勘違いしたのですが、そうではなく、話題になっていたのは歌手のほうのアンソニー・ウォンでした。私と同じ勘違いをしてしまったかたは、他に何人もいらっしゃったようです(笑)。

田亀先生の件のツイートが、こちら。
田亀先生の1月24日付のツイート


田亀先生は海外のゲイ関連のニュースも積極的にたくさんツイートしていらっしゃるので、そうした方面に関心のあるかたは、Twitter で田亀先生をフォローされることをおすすめします。

さて、件のツイートで名前が出てきているアンソニー・ウォン(黄耀明)は、1980年代に活躍した香港のポップ・ユニット、達明一派(タッミンペア)のヴォーカリストです。昨年(2012年)4月23日に行なわれたデビュー25周年記念コンサートの中で、ゲイであることをカミング・アウトしました。

デビュー25年目で同性愛を告白!耽美系歌手のアンソニー・ウォン―香港(Record China、2012.04.25)

【華流】達明一派アンソニー、25周年コンサートでカミングアウト(サーチナ、2012.04.26)

達明一派のメンバーは、ヴォーカルのアンソニー・ウォンと、ギターのタッツ・ラウ(劉以達)の二人。結成は1985年。UK ポップスからの影響を受けた音楽性とグラム・ロック的な耽美なヴィジュアルで人気を博しましたが、1990年には方向性の違いから解散。以降のアンソニー・ウォンはソロ・アーティストとして活躍を続けていますが、1996年と2003年、そして昨年(2012年)にも、達明一派は再結成を行なっています。

そのデビュー25周年記念コンサート『達明兜兜転転演演唱唱会』は4日間に渡って行なわれたのですが、最終日の23日のステージで、アンソニーは「忘記他是[女也]」「禁色」の2曲を歌った後、突如として自分がゲイであることをカミング・アウトしたのだそうです。

そのときのアンソニーのMCの具体的な内容が、下にリンクさせていただくブログ『華流 チャイナ日和 (又名:華流的一天)』さんの中で紹介されています。それをここにも引用させていただきます。

2013.01.24 Top↑
1月18日(金)の朝、トーストをかじりながら新聞のテレビ欄を眺めていると、テレビ東京の19時台に目が留まりました。


2013年1月18日のテレビ東京の番組表


オネエ歌手。

書いてあるのは、その5文字だけ。

それ以上の詳しい情報は何もわからなかったけれども、なぜだかその「オネエ歌手」の5文字が気になって気になって仕方がなく、ふだんは観ていないその番組を録画予約して、家を出ました。

そして、夜になって帰宅して、録画しておいたその番組を観て、あら、まあ、ビックリ。

件の「オネエ歌手」とは、私の存じ上げていたかたでした。

といっても、直接の面識があるわけではありませんが。

以前、風太郎企画に出演されたときのライヴ・パフォーマンスを拝見したことがあるだけです。

しかし、風太郎企画に出演されるよりも前から、私はそのかたのことを、インターネットを通じて、一方的に存じ上げていました。その意味で、私には既に馴染みの深いかたであり、そのようなかたがいきなりテレビ番組に出られていたのを観て、思わずビックリしてしまったのです。

その「オネエ歌手」とは、椎名竜仁(しいな・りゅうじん)さんのことでした。


椎名竜仁さん 1


私が以前に拝見したのは、2011年11月3日に開催の『アブノーマル Last Stage』というライヴ・イヴェントでした。その観覧記は、ライヴ後に私が大幅に体調を崩してしまったりした関係もあって、ブログには書いていないのですが、当日の写真は撮影していました。

『アブノーマル Last Stage』での椎名竜仁さんの写真がこちら。


椎名竜仁ライヴ1


さあ笑ってくださいといわんばかりのキッチュなステージ衣装ですが、そこから受ける印象とは全く裏腹に、椎名さんは本格的な歌唱力の持ち主です。

なにせ、椎名さんの本業はヴォイス・トレーナー。

その歌唱力が本物であるからこそ、ステージ衣装もここまで弾けることができるのです。


中森明菜さんのカヴァーでは、本家以上の角度でイナバウアー!
椎名竜仁ライヴ2


さて。

椎名さんがVTR出演をなさった、テレビ東京系の番組『お金がなくても幸せライフ がんばれプアーズ!』の公式サイトでは、番組の概要を次のように説明しています。

2013.01.20 Top↑
2013年1月17日(木)は、池袋にあるライヴ・ハウス、鈴ん小屋(りんごや)さんにて行なわれた、鹿嶋敏行さんの企画ライヴ、"Serious Playground"に足を運んでまいりました。

会場の鈴ん小屋さんは、まるで日本料理屋さんのような内装の、和風ライヴ・ハウスです(実際に有機創作料理をいただくこともできます)。受付には玉砂利が敷かれていて、床はつやつやの板敷き。当然、土足は厳禁。入口で靴を脱いで中に上がります。出演者のみなさんも全員、靴下や裸足でパフォーマンスをなさいます。

あ、そうそう、受付でドリンクチケットとして渡されたのが、なんと本物のどんぐりでした。こういう遊び心も素敵な鈴ん小屋さんです。

※鈴ん小屋さんのサイトは、こちら

さて、今回の"Serious Playground"なんですが、このライヴは鹿嶋さんが鈴ん小屋さんからツーマン・ライヴをすすめられ、そこから企画がスタートしたのだそうです。最終的にはツーマンではなく、鹿嶋さんが「大好きな音楽仲間」と絶賛するアーティストさんが3組も出演されるイヴェントとなりました。

タイトルの"Serious Playground"は、鹿嶋さんの敬愛するローラ・ニーロの曲のタイトルから採られています。日本語にすると「真剣な遊び場」。今回の3組のアーティストさんとの共演、そしてそこから生まれるケミストリーが、鹿嶋さんには楽しくて楽しくて仕方がないのですが、だからといって馴れ合いになってはいけないという、つまりこれは、楽しい真剣勝負。まさしく"Serious Playground"なのです。

そして、これは私がまったく個人的に感じたことなのですが、この"Serious Playground"は、鹿嶋敏行版の『ソラニワ』でもあったのではないかと、そんな気がしました。

音楽性やパフォーマンスのスタイルはさまざまでありながら、そこに集った出演者たちの根底には、共通した何かがあり、その何かが響き合って、とても温かい時間と空間が生まれる――かつて鹿嶋さんが出演された『ソラニワ vol.3』(2010年11月23日開催)は、そんなライヴ・イヴェントでありました。

『ソラニワ vol.3』観覧記(2011年2月1日掲載)

今回の"Serious Playground"に出演なさった4組のみなさんも、やはり根底の部分では何かが共通しているという感触を、私は受けました。それをあえて言葉にするならば、この4組のみなさんは、世の主流に流されたりおもねったりすることなく、固有の表現世界を築き上げていて、しかもそれでいて排他的には決してならずに、いつでも扉を開いていて、どんなお客さんをも受け入れ、うたの力で温かく歓待するという、その懐の広さ、受容力の大きさこそが、根底の部分で共通していたように思うのです。

単に固有の表現世界を持っているだけでなく、その世界にオーディエンスをいざない、うたの力を媒介にして、そこにいる全員が存在を許される、誰にでも居場所がちゃんとある空間を作り出してしまう――それが、"Serious Playground"に出演なさった4組のみなさんに共通する特性であったと、私はそう思います。

うたの力が作り出す、誰もが等しく受け容れられる、遊び場。

sola さんがオーガナイズした場合に、それは『ソラニワ』と呼ばれ、鹿嶋さんの場合には"Serious Playground"と呼ばれる。

『ソラニワ』と"Serious Playground"のあいだには、同じ種類の優しさがあると、私は感じました。



今回の"Serious Playground"に集った4組のアーティストのみなさんの顔触れはというと、鹿嶋さんのほかには、アコースティック・ギターの弾き語りスタイルのヒラヲユミさん、アフリカの民俗音楽に他ジャンルの要素を加味している3ピース・バンドの Zawadi Band さん。

そしてもう1組が、とんちピクルスさんです。

2013.01.19 Top↑
アメリカ版『Seventeen』2月号表紙今月末にニュー・アルバム『ウォーリア (Warrior)』が日本でも発売される KE$HA(ケシャ)が、自身のバイセクシュアリティーを明らかにしたというニュースは、既に日本でも、いくつかのゴシップ系ニュース・サイトやブログで報じられています。

ケシャは、アメリカ版『Seventeen』誌の今月発売号(2月号)のインタヴューで、「男の人だけを好きになるんじゃなくて、人を好きになる。ジェンダーは関係ない。一緒にいる人から滲み出して来るスピリットが大切」と語りました。

歌手のケシャ、愛といじめについて語る(Infoseek ニュース、2013.01.06)

上のリンク先の日本語記事の本文中には、「以前から自身がバイセクシャルであることを公言しているケシャ」との記載があります。これは2010年1月に、彼女がアメリカのメジャー・ゲイ雑誌『Out』のインタヴューに応えて、「私がゲイなのかストレートなのかなんて話をするつもりはないわ。私は物事をラベリングするのが嫌いなの。私は人が好きなのよ」と発言していることに拠っています。

Face to Face: Ke$ha (Out Magazine, 2010.01.04)

性的指向を曖昧にしている、イコール、バイセクシュアルである、という解釈により、この発言以降、彼女はバイセクシュアリティーを公言しているアーティストだとされてきましたが、今回のインタヴューの発言が、こうしてまた改めて大きく取り上げられているのは、イギリスのタブロイド紙『Daily Mail』がこれを「ケシャが性的指向を明らかにした」という見出しで報じている影響も、少なからずあるように思われます。

Ke$ha gets a makeunder and reveals bisexuality in Seventeen's February issue (Mail Online, 2013.01.02)

この『Daily Mail』紙のライターは、先に紹介した『Out』誌の2010年1月のインタヴュー内容を知らなかったわけではありません。それどころか、今回の記事の冒頭で、そのインタヴューの内容に触れてさえいます。

つまり、今回の『Seventeen』誌のインタヴューは、2010年1月の『Out』誌での発言が性的指向を曖昧にしているだけのものだったのに対して、そこから具体的に性的指向に踏み込んで、「男の人だけを好きになるのではない」と発言していることから、『Daily Mail』紙はこれを、「バイセクシュアリティーを明らかにした」と報じたのだと考えられます。



ところで、アメリカのミュージック・シーンでは、アーティストがゲイやレズビアンであることをカミング・アウトするのは、する側もされる側も、これを忌避する傾向が依然として続いています。

ところが。

バイセクシュアルであることを公表したり匂わせたりするのは、デヴィッド・ボウイやローリング・ストーンズのミック・ジャガーの時代からこのかたずっと、大衆からの注目を集める手段の一つとして、むしろ大いに有効であり続けているんですね。

もちろん、バイセクシュアルであることがどのようなイメージで受け止められているのかについては、時代によって変化しているとは思います。しかし、たとえば近年でも、黒人女性ラッパーのニッキー・ミナージュが、注目を集めるためにバイセクシュアルを演出していました。彼女のバイセクシュアリティーが偽りであったことは、『Black Men』誌のインタヴューで本人が認めています。

Nicki Minaj Opens Up on Childhood Abuse, Sexuality (Rolling Stone, 2010.12.1)

バイセクシュアルを偽っていたことで、アメリカのレズビアン・メディアはニッキー・ミナージュに失望しました。しかし大衆からの支持は依然として失われていません。これは見方を変えると、たとえ虚偽であることがバレたとしてもダメージは少ないということであり、だからこそ昔も今も、バイセクシュアルのふりをするのはアーティストの売り出し戦略として有効であり続けている、という面もあるのかもしれません。

(ただし、ニッキー・ミナージュの場合は、彼女がバイセクシュアルを演出して以降、バイセクシュアリティーを公にする黒人女性ヒップホップ・アーティストが次々と登場しているので、ニッキー・ミナージュはヒップホップ界のセクシュアル・マイノリティーの可視化に大いに貢献したと言えます。)

このように、現在でもニッキー・ミナージュなどの例がありますが、バイセクシュアルであることを自称するアーティストのすべてが、売り出し戦略の一つとしてカミング・アウトを行なっているわけでは、決してありません。

たとえば、以前このブログで「選択的バイセクシュアル・アーティスト」について、いろいろと書いたことがありましたが、その中で紹介したグリーン・デイのビリー・ジョー・アームストロングなどは、LGBTの擁護を目的として自身をバイセクシュアルだと発言したアーティストでした。

※当ブログのカテゴリ「選択的バイセクシュアル・アーティスト」は、こちら

では、はたしてケシャの場合はどうなのでしょうか。



『Daily Mail』紙の記事が出た2日後の1月4日に、アメリカのゲイ向けポータル・サイト EDGE on the Net でも、ケシャのカミング・アウトの話題が取り上げられました。

Ke$ha Comes Out as Bisexual (EDGE on the Net, 2013.01.04)

この記事は、ニュースというよりも、どちらかといえばコラムに近いような内容です。KE$HA がいかにゲイ・フレンドリーなアーティストであるかを示す複数のエピソードがこの中で紹介されています。

たとえば、2010年の全米 No.1シングル「ウィー・アー・フー・ウィー・アー (We R Who We R)」は、いじめに苦しんでいるゲイのティーンネイジャーたちに捧げられたものであることや、Gaydar Radio のインタヴューで「ゲイになりたいか」と聞かれて「もちろん!」と応えたことや。

他にも、イギリスのタブロイド紙『The Sun』の昨年11月のインタヴュー内容も紹介されています。その中でケシャは、新作のタイトルを『ウォーリア』とした理由の一つとして、いじめにさらされている10代のゲイやレズビアンのファンと多く触れ合ってきたことで、自分が戦士のような気がしているからだと答え、さらに次のように続けたそうです。

「私にはたくさんのゲイとレズビアンのファンがいるわ。いじめに立ち向かっていくのに私の音楽がどれだけ力になっているか、それを聞かされて、愛と受容についての曲を書きたくなったの。」


Kesha on love, her idols and albums (The Sun, 2012.11.13)

つまり、この EDGE on the Net の記事が伝えていることというのは、ケシャの性的指向というよりも、ケシャのLGBTアクティヴィストとしての側面と実績、なんですね。

単にバイセクシュアルを公言しているだけでなく、アクティヴィストとしての側面も強い女性アーティストといえば、レディー・ガガが有名です。この EDGE on the Net の記事もケシャとレディー・ガガを比する文章で締めくくられていますが、そこにはゲイ・イコンとしてのケシャのこれまでに寄せている信頼と、これからに寄せる大きな期待が込められているように、私は感じました。



それでは最後に、全米のヒット・チャートで最高2位を記録したばかりの、『ウォーリア』からの先行シングル「ダイ・ヤング (Die Young)」のミュージック・ヴィデオをご覧ください。



"Die Young"
(2012)


ウォーリアウォーリア
(2013/01/30)
KE$HA、イギー・ポップ 他

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2013.01.17 Top↑
アメリカのゲイ向けポータル・サイト、EDGE on the Net は、政治やビジネスに関するニュースも掲載されてはいますが、中心となっているのは、全米各地のナイトライフ情報。

写真によるイヴェント・レポートも非常に充実していますが、これもやはり、多くはクラブ・イヴェントのものです。

昨年末には全米各地でニュー・イヤーズ・イヴ関連のクラブ・イヴェントが開催されたようですが、それらの様子も EDGE on the Net ではフォト・アルバム形式で紹介されています。そのフォト・アルバム群を眺めていて、ひときわ強く私の目を惹きつけたのが、今回紹介するサー・ジェット (Sir JET)というシンガーです。

サー・ジェットは、ロサンゼルスを拠点としている、オープンリー・ゲイのシンガーです。昨年末の12月29日に行なわれた Anthem Saturdays というクラブ・イヴェントでのライヴの模様が、EDGE on the Net で紹介されていました。

Sir JET Live At Anthem Saturdays @ MJ's Bar :: December 29, 2012 (EDGE on the Net, 2012.12.31)

このフォト・アルバムを見て私は初めてサー・ジェットのことを知ったのですが、これがなかなかインパクトのあるヴィジュアルでした。

こんな感じ。
Sir JET Live At Anthem Saturdays @ MJ’s Bar


たくましく鍛え上げられた男性の肉体美を誇示しつつ、その男性の肉体美を装飾しているのは、女性用のファッション・アイテムとメイク。

こうしたスタイルのパフォーマーは、トランスヴェスタイトとはまた違いますが、強いて分類するならばドラァグ・クイーンに属します。このスタイルは何もサー・ジェットの専売特許ではなく、有名なところではケヴィン・アヴィアンスや、近年では日本で人気のジョンテ☆モーニングなども、男性のたくましい肉体美の誇示と女性用のグラマラスなファッション・アイテムの融合スタイルの持ち主です。

こうしたスタイルのドラァグ・パフォーマーの多くは、実は黒人のアーティストです。その理由はわかりませんが。

それなので、白人のサー・ジェットは、私には非常に珍しいタイプのアーティストに思えたのです。鍛えられた肉体美を誇る白人ゲイ・シンガーは、大抵は野郎っぽさを強調しているので。

サー・ジェットの経歴について調べてみると、そのステージ・ネームとヴィジュアルが次々と変遷しているところも、興味深い点でした。

2013.01.15 Top↑
既に一部では情報が流れていましたが、ついに昨日(2013年1月13日)、キムビアンカさんご本人が、メジャーレーベルからのデビュー決定をツイートなさいました。おめでとうございます!


キムビアンカさんのツイートのスクリーンショット



所属プロダクションのドリームファクターのアカウントからのツイートによると、4月4日(俗に言うオカマの日)にユニバーサルミュージックからリリースされる楽曲は「世界配信」、つまりデジタル・シングルで、新曲が用意されるそうです。


P社長さんのツイートのスクリーンショット



キムビアンカさんは、主にクラブ・シーンで活躍されているシンガー・ソングライターさんです。ボンテージ姿のエロティックなパフォーマンスで知られています。2010年4月4日に DREAM*factor RECORDS からシングル「脱ぎなさいよ」をリリースしてCDデビュー。そのミュージック・ヴィデオには濡れ場もあり、YouTube では閲覧に年齢制限がかかっています。5月には、レズビアン・テーマの「She is Mine」の配信を皮切りに、12ヶ月連続でデジタル・シングルをリリース。そして同年の9月20日には、東京スポーツの紙面を通じて、バイセクシュアルであることをカミング・アウトなさいました。

現在はドラァグ・クイーンのバブリーナさんと共に、新宿2丁目ポータル・サイト「2CHOPO」の編集長や、そこでの USTREAM 番組 『週間ばぶとキムビ 新宿2丁目なう。』のパーソナリティも務めていらっしゃるなど、ゲイ・コミュニティとの関わりも大変深いキムビアンカさんの、これからのメジャー展開が大いに楽しみです。



“脱ぎなさいよ(♂バージョン)”
(2010)



キムビアンカ WEB
http://www.kimbianca.com/




2013.01.14 Top↑
先日、Twitter の私のタイムラインに流れてきたリツイートの中で紹介されていたのが、FtM (Female to Male) のかた向けのトレンディマガジン、『laph (ラフ)』の製作者の sunao akito さんによるブログ『laph 活動日記』の、このエントリでした。

FTMダンサー募集!!(laph 活動日記、2012.12.12)

これを読んで初めて私は SECRET GUYZ という FtM のダンス&ヴォーカル・ユニットのことを知りました。より詳しい情報を求めて akito さんのブログの記事を遡っていくと、SECRET GUYZ は先月の27日に初のライヴを行なったばかりの、デビューしたてのユニットでした。初ライヴからまだ1ヵ月経っていませんが、既に3本のライヴをこなしていて、かなり精力的です。

『laph 活動日記』さんのエントリに掲載されていた、SECRET GUYZ のキャッチコピー(だと思います)を、ここにも引用します。

「舞台俳優として活躍中の吉原シュートが、同じ FTM の仲間の大希、諭吉と共にダンス&ヴォーカルユニットを結成。ヴァンパイアストーリーの永遠の少年を思わせる妖しい吸引力で、業界初の3ピースイケメンおなべユニットとして女性ファンが急増中!!シークレットガイズ!!」


このキャッチコピーの中には「業界初の3ピースイケメンおなべユニット」とありますが、4人組の FtM ユニットであれば、2010年9月23日にデビューした FtM アイドル・ユニット、GtM (Girls to Men)がありました。読売新聞や日刊スポーツなどのマス・メディアに記事が掲載されたり、4人のメンバーのみなさんに密着取材を行なったドキュメンタリー番組『Girls to Men ~俺たち、女の子だった~』が同年11月8日に WOWOW で放映されるなど、GtM は積極的にメディア展開を行なっていました。さらに同年12月1日にはシングル「声を聴いて~エコーズ~」も全国リリースされましたが、残念ながら2011年3月31日をもってグループとしての活動は休止となっています。

※当ブログ内の GtM (Girls to Men)のカテゴリはこちらからどうぞ。

しかし、またこうして新しい FtM のユニットが誕生しました。私は SECRET GUYZ のデビューを大いに喜んでいます。

どうやらこのエントリを書いている現時点では、SECRET GUYZ の公式サイト、あるいはブログなどは、立ち上がっていないようです。少なくとも私には見つけられませんでした。その代わりに、『laph 活動日記』さんが書かれた SECRET GUYZ についてのエントリの中では、3人のメンバーのみなさんそれぞれのブログの URL が紹介されていました。こちらでもそれを紹介します。

吉原シュート オフィシャルブログ
吉原シュート オフィシャルブログ スクリーンショット


諭吉の「今夜もおなべにしようよ!!」
諭吉の『今夜もおなべにしようよ!!』スクリーンショット


TAIKI「SG-TAICHAN」
SG-TAICHAN スクリーンショット



ちなみに、吉原シュートさんは、2010年に結成された“イケメン俳優集団”NAKED BOYZ のメンバーでもあり、舞台俳優としても活躍なさっています。また、大希さんは以前に『laph』の表紙モデルを務めたことがあるそうです。

私はまだ SECRET GUYZ のライヴを観ていないので、実際の楽曲やパフォーマンスの様子などを紹介することは現時点ではできないし、メンバーのみなさんのそれぞれのブログや『laph 活動日記』さんに書いてある以上の情報もわかりません。とにかく、SECRET GUYZ についてはまだわからないことだらけなのですが、私が注目したのは、吉原シュートさんのブログの12月31日付のエントリ。それによると、SECRET GUYZ はその前日の12月30日に、あの有名ドラァグ・クイーンの日出郎さんと、シンガー・ソングライターのずれやまズレ子さんのおふたりと、ライヴで共演なさったそうです。メンバーのみなさんがおふたりと一緒に写っているスナップ画像が掲載されています。

日出郎さんも、ずれやまズレ子さんも、マス・メディアの世界やゲイ・イヴェント以外の舞台で大活躍をなさりつつ、立脚点はゲイ・コミュニティにあるという、オープンリー・ゲイのシンガーさんです。そんなおふたりとデビュー直後に早くも共演を果たした SECRET GUYZ のみなさんも、やはりおふたりと同様に、より広い世界で活躍しつつ FtM のコミュニティにもしっかりと根差した活動ぶりが期待できるのではないでしょうか。

SECRET GUYZ のこれからの展開に、当ブログも注目していこうと思います。


2013.01.13 Top↑
田中ロウマ - shelter me既にひと月以上前の話題となってしまいましたが、昨年の12月1日に六本木のビルボードライブ東京で開催された Tokyo SuperStar Awards (TSSA) 2012で、ミュージカル俳優としても活躍しているシンガー・ソングライターの田中ロウマさんが、LGBTであることをカミング・アウトなさったそうです。

ミュージカル『RENT』にドラァグ・クイーンのエンジェル役で出演なさっているロウマさんは、TSSA 2012のフィナーレに、他のキャストのみなさんと一緒に登場し、ゲイ・アンセムとしても有名なテーマ曲「Seasons Of Love」のパフォーマンス後のスピーチで、「僕もLGBTです」とカミング・アウトをなさったそうなんです。

私は会場に足を運んでいたわけではなかったので、ロウマさんのカミング・アウトのニュースは、この日の会場の入口でエスコートを務めていらっしゃったドラァグ・クイーンのバブリーナさんのツイートを読んで、初めて知りました。

より詳しい様子が知りたくて、インターネットで調べてみたのですが、どうやら私の検索の仕方が悪いのか、ロウマさんのカミング・アウトを報じているマス・メディアの記事は、私には見つけることができませんでした。この話題について触れているのは、個人のかたのツイートがほとんどです。

ゲイ・メディアでは、g-ladxx(グラァド)が詳細な記事を掲載してくれています。しかし内容はあくまでも TSSA 2012全体のレポートであって、ロウマさんのカミング・アウトに焦点を絞った記事ではありません。

レポート:Tokyo SuperStar Awards 2012[ゲイのための総合情報サイト g-ladxx(グラァド)]

著名人に限らず、カミング・アウトの話題というのは扱いが非常にデリケートなので、これをメディアが報じることには功と罪の両面があるように思います。今回のロウマさんのカミング・アウトの場合は、ほとんどのマス・メディアがこれを扱ってはいませんが、それについての良し悪しも、やはり一概に断じることはできません。

ただ、私個人の感想としては、ロウマさんのカミング・アウトは決してスキャンダラスなものではなく、人々を励まし勇気づけるものだと思うので、そういった趣旨でこれを取り上げるメディアがもっとあってもよかったのになあ、と感じました。

マス・メディアによる記事を私には見つけられませんでしたが、ゲイ・メディアでは g-ladxx の他にも、新宿2丁目ポータル「2CHOPO」の USTREAM 番組 『週間ばぶとキムビ 新宿2丁目なう。』に、ロウマさんが TSSA 2012後の12月13日にゲストで出演なさっていて、カミング・アウトに至った経緯や心境について語っていらっしゃることに、つい先日やっと気がつきました。我ながら遅すぎ。トホホ。

番組の中では、ロウマさんのカミング・アウトに勇気づけられたという視聴者のかたからの声も多く紹介されています。本当ならその動画をこのエントリに埋め込んで、ここから直接観られるようにしたいところなんですが、USTREAM の埋め込みコードではそれができないので、代わりにリンクを張ります。ぜひクリックしてご覧になってください。37:18あたりから TSSA 2012の話題が始まります。

田中ロウマさんSP!!!!!(USTREAM: 週間ばぶとキムビ 新宿2丁目なう。、2012.12.13)

この動画中のロウマさんの発言によると、TSSA 2012でのカミング・アウトは、別に予定していたわけではなく、ほとんど成り行きというか、『RENT』のキャストの中ではいちばん仲が良いというミミ役の Jennifer さんの、「ゲイ・マグネットで、こんなふうに(ロウマさんにピタッと)くっついてきちゃう」というポロリ発言に、あえて乗ったものだったようです。ロウマさんはご自身のことを「自分がLGBTですと言うタイプではない、前面に出すつもりはない」としながらも、同時に「自分は熱い人間。考える前に動く」ともおっしゃっていて、Jennifer さんのゲイ・マグネット発言を「いいチャンス」だと思い、カミング・アウトなさったのだそうです。

さて、この動画でロウマさんがご自分のカミング・アウトについて語った言葉のいくつかを書き出して、ここでも紹介させていただきます。ただ、ロウマさんの声にバブリーナさんやキムビアンカさんの声が被さっていて聴き取れなかった箇所も少なからずあるので、それはご了承ください。

「正直な話、数年前、デビューしたときは、(ゲイであることを)隠してたというか、何も言ってなかったんですけど。そういうのはあんまり表には出してなかったし、『(カミング・アウトを)しないほうがいいんじゃない?』みたいな、そういう空気があったんですけど、アメリカでは普通に、自然に、(性的指向を)聞かれたら『はい、そうです』って全然言ってるんですけど、日本ではそういう空気じゃなかったんですよ。逆算してしまった自分がいて、ちょっともどかしかったんですよね。だから、ある意味いいチャンスかなと思ったんですけど、自分としては、LGBTのかたみんなもほとんどがそうかもしれないけど、ある日カミング・アウト! みたいな、正式に『自分はゲイです』と言わなくても、自然にそれが会話の中に入っていたりとか受け止めてくれるような世間を目指しているから、自分もそういう気持ちで。」

「大勢の人が(ロウマさんのカミング・アウトの)影響を受けなくてもいいんですけど、でもそこで一人でも二人でも気が楽になったら、それは伝わっているじゃないですか。そういうふうに自分は自分に正直に生きたいし。前も辛かった時期があったんですよね。自分がオープンじゃなくて。でも今は本当に吹っ切れてる自分がいるし。」

「僕もあの時、『自分もLGBTです』って言っただけで、みんながすごく拍手をくれたのは嬉しかったです。自分も、音楽活動しているときにズバリ聞かれたことがあるんですよ。『ロウマくんはゲイなの?』って。自分はその時、何て言っていいかわからなくて、『いや、違います』って言っちゃったんですよ。でも正直、それ、すごい今でも残ってるんですよ。なんで『違います』って言っちゃったんだろう、なんで『違います』って言いたくなっちゃったんだろう? っていう自分が悔しくて。聞かれたら正直でいる自分でいたいから。」

「(新しい出演作の)『ZANNA』っていう作品も、自分が出てた『RENT』っていう作品も、少数派だったりとか、自分が他の人たちと共感できない部分をもっていて、それをオープンに出して、こういう人たちがいっぱいいるんだよっていうメッセージが強い作品だったので、そういう意味ではみんなに勇気を与えたいっていう気持ちが、役者としてもシンガーとしてもあるので、みんなを応援していたいし、みんなもぜひ僕を応援してください!」

「カミング・アウトっていうか、LGBTのイヴェントで言っちゃったときの後でも、家に帰ってから悩んだんですよ。でも、こういうふうにみんなのメッセージを読み返したりとか、二人(番組のパーソナリティのバブリーナさんとキムビアンカさん)の話を聞いて、『やってよかったな』って思えたんですよ。自分も『ありがとう』って言いたいです。間違ってなかったな、って。」


"shelter me"
(2010)




2013.01.12 Top↑
オープンリー・ゲイのキーボーディスト/ギタリストであるロスタム・バトマングリ (Rostam Batmanglij)を擁するアフロ・ポップ・バンド、ヴァンパイア・ウィークエンド (Vampire Weekend)が、今年の春にニュー・アルバムをリリースするそうです。音楽ポータル・サイト BARKS が1月8日付で報じています。

ヴァンパイア・ウィークエンド、2013年春に新作アルバムをリリース(BARKS ニュース、2013.01.08)

2010年にリリースされた前作『コントラ (Contra)』は、『Billboard』誌の Top200で見事に No.1を記録しました。昨年リリースされたアダム・ランバートのセカンド・アルバム『トレスパッシング (Trespassing)』が同チャートで No.1を記録した際に、オープンリー・ゲイのアーティストの作品が初めて全米 No.1を記録したとして話題になりましたが、これはあくまでもソロ・アーティストの話であって、対象の範囲を拡大してオープンリー・ゲイのメンバーのいるバンドまでも含めると、ヴァンパイア・ウィークエンドのロスタム・バトマングリも、全米 No.1ヒットを有するオープンリー・ゲイのアーティストの一人となります。

その意味では、ロスタム・バトマングリは現在アダム・ランバートと並んで、最も大衆的な成功をも収めているオープンリー・ゲイのアーティストです。ニュー・アルバムもおそらく大ヒットすることと思います。リリースが今から楽しみです。

コントラコントラ
(2010/01/13)
ヴァンパイア・ウィークエンド

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さて、BARKS ニュースの記事の中には、ヴァンパイア・ウィークエンドが「最近、米 TV 番組『ジミー・キンメル・ライブ』で新曲『アンビリーバーズ』を披露したばかり」との記載がありますが、その模様は既に YouTube にて視聴が可能になっています。

その映像を観てビックリしたのですが、メンバーが全員ドクロを模した白塗りメイクをしていて、一瞬「ゴールデンボンバーか?」と錯覚しそうになりました。ヴァンパイア・ウィークエンド一流のユニークなパフォーマンスは健在です。

というわけで、ヴァンパイア・ウィークエンドの新曲「Unbelievers」のスタジオ・ライヴをご覧ください。



"Unbelievers"
(2012, Live)




2013.01.09 Top↑
美輪明宏@第63回紅白歌合戦昨年末の『第63回 NHK 紅白歌合戦』では、美輪明宏さんの初出場が大きな話題となりました。

昨年11月26日に出場者発表記者会見が行なわれた際には、美輪さんが「衣装はヌード」というジョークを飛ばしていたこともあってか、美輪さんがどのような衣装で出演するのかという点にばかり話題が集中しましたが、いざ蓋を開けてみれば、黒のウィッグに黒ずくめの衣装、照明はピンスポットでカメラは1台、余分なカット割りは一切無しという、これこそまさに歌が先ずありきの非常にシンプルな演出で、美輪さんはあの名曲「ヨイトマケの唄」を熱唱なさいました。

美輪明宏「無償の愛」思い6分間歌いきる(デイリースポーツ online, 2013.01.01)

美輪明宏、貫録の熱唱で45%台キープ(デイリースポーツ online, 2013.01.05)

美輪さん出演時の45%という視聴率は、今回の歌手別視聴率のトップではありませんが、1月6日に集計が締め切られた Yahoo! JAPAN の「紅白歌合戦、白組で最も印象に残ったアーティストは?」というアンケート調査では、美輪さんが42%でダントツです。下のリンク先で実際の結果をご覧になってみてください。

紅白歌合戦、白組で最も印象に残ったアーティストは?(Yahoo!ニュース - 意識調査、2013.01.07発表)

このアンケート結果は、あくまでもネットユーザーからの回答に限られたものですが、それにしたところで美輪さんの歌とパフォーマンスを絶賛する数字の多さは圧倒的です。なにしろ2位のゴールデンボンバーが16%、3位の嵐が12%ですから、美輪さんの42%という数字は突出しています。いかに美輪さんのステージが圧倒的なものであったかがうかがえます。

さて、これだけ多くの人々に強い印象を刻み込んだ美輪さんの紅白でのパフォーマンスですが、実は美輪さんは、これが紅白のステージだからといって特別な趣向を凝らしたりは何もしていません。今回の紅白のステージと同じパフォーマンスを、美輪さんは NHK の別の音楽番組『SONGS』でも、既に何度も披露なさっています。

つまり、今回の紅白の美輪さんのパフォーマンスは、いつもと変わらない、いつも通りの「ヨイトマケの唄」でした。

にもかかわらず、その「いつも通り」がこんなにも大きな反響を呼んでいるということは、見方を変えると、「歌手・美輪明宏のステージを、たとえ映像越しではあっても、これまでに一度も観たことがなかったという人の数が、いかに多かったか」を示しているとも言えます。

確かに美輪明宏さんは、多くの人に名前を知られる人気タレントではいらっしゃるのですが、特に近年は霊感タレントとしての知名度が歌手としてのそれを上回っていて、その歌声が親しまれていたわけではなかったように感じます。美輪さんご自身も、『SONGS』の第63回(2008年10月15日放送分)の中で、美輪さんの若いファンのかたたちの中には美輪さんが歌手であることを知らない人も少なからずいるということを述べておられたほどです。

歌うことへのこだわりが非常に強いからこそ、出演する歌番組は厳選していらっしゃる美輪さん。しかし、それがために美輪さんの歌う姿が浮動層の目に触れにくくなっていたこともまた事実。ところが紅白歌合戦で歌を披露したとたんに、これだけの反響が巻き起こったのですから、そのパフォーマンスの内容がいつも通りのものであったことを考えると、やはり紅白歌合戦という番組の影響力の強さを、改めて感じさせられます。



そして昨日(2013年1月7日)は、CX の『笑っていいとも!』の「テレフォンショッキング」に美輪さんが生出演なさいました。4月に上演される舞台『黒蜥蜴』のプロモーションの一環ですが、話題の中心は、やはり紅白歌合戦についてでした。

美輪明宏 「いいとも」で紅白出場秘話語る(スポニチ、2013.01.07)

上のリンク先の記事にもある通り、「テレフォンショッキング」では紅白への出演が決まった経緯や、「歌で勝負したい」という意向から黒ずくめの衣装と余分なカット割りの無いシンプルな演出をリクエストしたことなどが語られました。

この生放送の中で美輪さんが語った内容は、実は既に昨年の12月27日に、デイリースポーツ紙が掲載している美輪さんの紅白直前のインタヴューの中で語られているものとほとんど同じです。大変興味深い内容だと私は思うので、『笑っていいとも!』の生放送を見逃したというかたは、ぜひこのデイリースポーツ紙のインタヴューをお読みになってみてください。

紅白はものを言わない衣装で・美輪明宏
 紅白はものを言わない衣装で・美輪明宏(2)
 紅白はものを言わない衣装で・美輪明宏(3)(デイリースポーツ online, 2012.12.27)

どうやら2013年は、「タレント・美輪明宏」ではなく「歌手・美輪明宏」の再評価が進む年となりそうな気がします。


2013.01.08 Top↑
新年あけましておめでとうございます。相変わらずのマイペース更新ですが、これからもちょくちょく覗いていただけると嬉しいです。本年もよろしくお願いいたします。

さて、2013年の最初のエントリは、リベラーチェ(Liberace)の伝記映画『Behind The Candelabra』についての話題です。

オスカーも受賞している映画監督のスティーヴン・ソダーバーグが、リベラーチェの生涯を映像化するらしいという話題は、既に2008年9月に、このブログでも紹介しています。

リベラーチェの伝記映画が製作準備中、らしい。(2008.09.21)

この2008年9月のエントリの中では、リベラーチェの経歴についても簡単に紹介しているので、「リベラーチェって誰?」というかたは、ぜひそちらも参照なさってみてください。

さて、この映画化決定の第一報からずいぶんと長い時間が経ってしまっていますが、企画がお流れになったわけではなく、リベラーチェ役には名優マイケル・ダグラスが、そしてリベラーチェの恋人であったスコット・ソーソン役には当初の報道どおりマット・デイモンが決まり、完成作が今年の春にいよいよお目見えとなるそうです。

ところが。

この『Behind The Candelabra』は、監督も主演俳優も非常に知名度の高い顔触れが揃っているにもかかわらず、劇場公開作品ではなく、HBO で放送されるテレビ映画なのだそうです。

どうしてテレビ映画なのか、その理由について、1月5日付で Advocate.com が記事を掲載しています。

Soderbergh Says Studios Turned Up Noses at 'Too Gay' Liberace Pic(Advocate.com, 2013.01.05)

この Advocate.com の記事は、The New York Post 紙のサイトに掲載されている内容を紹介しているものなのですが、それによると、ハリウッドのありとあらゆるスタジオが、この『Behind The Candelabra』の内容をゲイ的過ぎるとして制作を敬遠したため、HBO のテレビ映画として制作することになった、とソダーバーグ監督が発言しているそうです。

既に『ブロークバック・マウンテン』のようなゲイ・テーマの作品が大ヒットしているという状況があるにもかかわらず、ハリウッドのスタジオの経営陣がこのような反応を示したことに、ソダーバーグ監督はびっくりさせられたそうです。

今回の記事が伝えているのはあくまでもソダーバーグ監督の側の見解であって、スタジオの経営側の言い分はよくわかりません。ただ、ハリウッドのホモフォビアという要因の他にも、リベラーチェという人物の商品価値が現在ではそれほど高くはないという事情も、少なからず関わっているような気が、私はします。

たとえば、このブログの2010年9月12日付のエントリでは、ラスベガスにあったリベラーチェ博物館の閉鎖について取り上げていますが、この話題が示していたのは、現在という時代ではリベラーチェの名前にはそれほどの集客力がない、ということだったようにも思います。

リベラーチェ博物館の終焉(2010.09.12)

私自身は、リベラーチェという人物に以前から関心があったので、リベラーチェの生涯が映像化されるというニュースにこうして反応しているし、嬉しくも思っているのですが、現在リベラーチェに関心のある人の数は、本国アメリカでもさほどは多くないだろうという気がします。ましてや日本では、リベラーチェの名前自体、ほとんど知られていません。故に、たとえアメリカで劇場公開されたとしても、日本での劇場公開はまず見送られるだろうし、これがテレビ映画となると、はたしてDVD化されても日本盤の発売があるかどうか。

まあ、日本盤の発売がないDVDもネット通販で簡単に入手できる時代なので、この先DVD化さえされれば、日本で暮らす私にも『Behind The Candelabra』の視聴の機会は必ず訪れるだろうとは思います。でも、できることなら劇場の大きなスクリーンで日本語字幕付きで観たかったし、DVDで視聴するのであれば、日本語字幕のある日本盤で観たい、というのが正直な欲求です。

もしも『Behind The Candelabra』がDVD化されて、日本でも発売されるのであれば、それはまず間違いなく、リベラーチェの知名度によるものではなく、ソダーバーグ監督やマイケル・ダグラス、そしてマット・デイモンの日本における知名度の高さ故だと思います。その点で『Behind The Candelabra』の日本盤の発売には期待をかけることができるし、既に今から日本でのDVDの発売を待ちわびている私です。


damon and douglas
左がスコット・ソーソンに扮しているマット・デイモン。
右がリベラーチェに扮しているマイケル・ダグラス。
(画像は Advocate.com より)


マット・デイモンがゲイ役を演じていることがこの作品の大きな目玉となっている雰囲気ですが、この画像を見る限りでは、リベラーチェのド派手な衣装を見事に着こなしてしまっているマイケル・ダグラスのハマりっぷりもかなり凄そうです。


2013.01.07 Top↑
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