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TRP2019で、お話をよく伺ってまいりました。

笑いが欲しいときに、私が何度も読み返している本のひとつに、能町みね子さんの『お話はよく伺っております』(文春文庫、2017年)があります。

内容は、たとえば飲食店や公共の交通機関などで、たまたま至近距離に居合わせた赤の他人の会話に能町さんが聞き耳を立てて、その内容にツッコミを入れたり(もちろん内心で)、あるいは会話の内容から能町さんがいろいろと妄想をふくらませたりするというコラム集です。

このコラムと同じようなことを、おもわず自分でもやってみたくなる場面に、東京レインボープライド2019の開催2日目(2019年4月29日)、初めて遭遇しました。

午前11時ごろに私が代々木公園のイベント広場に到着すると、野外ステージでは、この日のトップバッターの中村 中さんが、リハーサルをおこなっておられました。

そしてステージ前には、早い時間から場所取りをしている方たちが、前4列分くらいの数で、すでにいらっしゃっていて、地べたに腰を下ろしていました。そこで私もその中に加わることにしました。

しばらくすると、私の右隣に、鼻にかかった発声でホゲまくりの20代くらいのゲイの子(以下、ギャルゲイ)と、その子の友人であろう、ちょっとイモっぽい感じのゲイの子(以下、イモゲイ)の2人組がやってきました(カップルの雰囲気ではなかった)。

イモゲイの話し声は終始ぼそぼそ口調で、私にはよく聴こえなかったのですが、ギャルゲイの声は必要以上に通りが良くて、たぶん周囲半径10メートル以内の人たちの耳には、嫌でも聴こえていたと思います。

私はこの日、あんまり体調が良くなかったので、すぐとなりでホゲまくるギャルゲイの声の大きさに、最初はイラッとさせられましたが、少し時間が経つと、嫌でも耳に入ってくるふたりの会話の内容が(正確にいうと、ギャルゲイのキャラが)、だんだんと面白く感じられてきました。

「今年の司会って誰なの?」と尋ねるギャルゲイに、イモゲイがブルちゃんと阿部知代さんの名を伝えると、

「阿部知代? 誰それ?」

どうやらギャルゲイは、TRP 初体験のご様子です。

阿部知代さんはフジテレビのアナウンサー(正確には元アナウンサーで、現在は報道局の社員)だと、イモゲイがギャルゲイに教えると、

「てことは、女子アナ? (公式ガイドに掲載の写真を見て)おばさんじゃん!」

年長女性をむやみに「おばさん」呼ばわりするあたりが、やっぱりギャルです。

そして、ギャルゲイの周囲半径10メートル圏内のみなさん方も、どうやらギャルゲイたちの会話に耳を澄ましているような気配が、伝わってきました。

どうしてフジテレビの「おばさん」アナが、TRP の司会を務めているのかというギャルゲイの質問に、「LGBT の友人が大勢いるらしい」という話をイモゲイがすると、

「LGBT の友だちがたくさんいるおばさんって、あやしいんですけど! ウケる!」

そんなあなたに、こっちもウケる!(内心で)

と、そこでギャルゲイは、公式ガイドのページの隅に記されていた「飲酒禁止」のアイコンが目に入ったらしく、いきなりキレます。

「え? なに? 飲酒禁止なの? ありえなーい!」

そしてすぐに、

「なんだ、パレードの話か。びっくりしたー♡」

どうやらギャルゲイ、自己完結型のうっかりさんのご様子です。

どうしてもビールが飲みたかったらしいギャルゲイは、イモゲイに荷物の見張り番を頼んで、ビールを買いに行きました。

その間、イモゲイは一言も発さず。

やがて、ビールとから揚げを買って戻ってきたギャルゲイ。と、今度はイモゲイが「デザートっぽいものを買ってくる」といって腰を上げました。するとギャルゲイ、

「よろみー♪」

……形容詞の語尾を「い」ではなく「み」にする用法(「エモみ」とか「つらみ」とか)が、若い子たちのあいだで流行っているのは知ってましたが、「よろみー♪」は、文法よりも語感を優先するギャル語ならでは。

イモゲイは、ひとりのときは一言も発しませんでしたが、ギャルゲイは話し相手がその場にいなくとも、ひとりでホゲ続けます。

から揚げをひとくち食べては「おいしい♡」

ビールをひとくち飲んでは「おいしい♡」

そしてギャルゲイ、スマホを取り出すと、プラ容器に入ったビールを目の高さにかざして、画像を撮影しようとします。

どうやら、ステージ後方の巨大モニターに映し出されている TRP のロゴをビールの背景にして、インスタ映えを狙うご様子。

しかし、手元が狂い、脱いで足元に置いてあった上着に、ビールをバシャバシャと盛大にこぼしてしまい、

「きゃー!」と絶叫。

――この辺りで、私はもう、笑いをこらえるのに必死で、下を向いて両手で顔を覆って、「私は眠くて眠くて仕方がない人なの」という態を装って、ギャルゲイに無関心のふりをしようとしましたが、笑いで両肩がピクピク痙攣してしまうのだけは、如何ともしようがありませんでした。

インスタ映えをあきらめず、何度でも同じ構図に果敢に挑むギャルゲイ。たとえそのせいで衣服がビールまみれになろうとも、映(ば)えを追い求める、その折れない心。

やがてイモゲイが戻ってきて、そしてブルちゃんと阿部知代さんがマイク・チェックのためステージに登場。

客席に向かってあいさつをする阿部知代さんに、なんとギャルゲイ、

「かわいいー!♡」

と派手に声援を送るではありませんか!

ええええええええ?

その裏表っぷり!

ギャルゲイの周囲半径10メートル圏内のみなさんの背中が、いっせいにザワついたのが、目に見えるようでした。

やがてマイク・チェックが終わって、ブルちゃんと阿部知代さんが袖に下がると、今度はギャルゲイ、

「正直、テルマとミチコにしか興味ないんだけどね」

と、せせら笑います。

ええええええええ?

その裏表っぷり、周囲半径10メートル圏内のみんなが聴いてるよ!

すると、ギャルゲイの矛先は、今度は自分の周囲にいる、開演待ちのみなさんに向けられました。

「ねーねー、この人たち、一生すわったままでいるつもりなのかなー?」

副詞のスケール感が極端なのもギャルならでは。

「もーさー、こんな早い時間から待ってるんだからさー、テルマもミチコも、楽しませてよねー」

その場にいないテルマとミチコ(あえての敬称略)に、上から目線で何様発言のギャルゲイ。

そして、大声でテルマの「世界の中心~ We are the world ~」を歌い始めるギャルゲイ。

イモゲイがついてきていないのにもお構いなし。ギャルゲイ、楽しそう!

そのとなりで「私は眠くて仕方がない人」の態をふたたび装う藤嶋。

ひとしきり「世界の中心」を歌うと、ギャルゲイの閉めの一言、

「マイミクとか古いよね、ウケるー!」

テルマの狙いどおりのリアクションです。

開演時間になり、ブルちゃんと阿部知代さんがふたたびステージに登場すると、またもやギャルゲイ、

「かわいいー!♡」

その声援にブルちゃんが、「正しいことはどんどん声に出していいのよー!」とボケると、ギャルゲイはいきなり声のボリュームを落として、となりのイモゲイにボソッと一言、

「あのドレス、ほんとにかわいいよね」

――それだよ! その裏表っぷりだよ!

そんなふうに裏表のあからさまに激しいギャルゲイでしたが、意外にも、ギターの弾き語りによる中村 中さんのパフォーマンスは、真面目に聴いていました。

唯一、中さんが MC の中で、「友達の詩」のリリース時にカミング・アウトしたという話をすると、「へー、そうなんだ」と声に出してリアクションしてたくらいかな(現在20代の人は、中さんがトランスジェンダーだということは知っていても、いつどのタイミングで公表したのかは、知らない人が多いのかな? 公式ガイドにも記載されてなかったし)。

そして、3曲目、ルーパーを用いての「裏通りの恋人たち」のパフォーマンスでのコール・アンド・レスポンスでは、ギャルゲイも大盛り上がり。

たぶんギャルゲイは、パフォーマーの人たちから見れば、(たとえ心がこもっていなくとも)大声で場を盛り上げてくれる、いいお客さんです。

中さんのパフォーマンス終了後は、ギャルゲイの「この人たち、一生すわったままでいるつもりなの?」という文句に応えるように、主催側からはスタンディングが要請され、後方にいたお客さんたちがウワーッと前方に押し寄せてきたために、ギャルゲイたちとは、はぐれてしまいました。

はたしてギャルゲイが、お目当てだったテルマとミチコ(あえての敬称略)のパフォーマンスで、はたしてどれだけ盛り上がっていたのか、ちょっと見てみたかった私です。

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親サイトの『Queer Music Experience.』を、全面リニューアルしました。

すっかりご無沙汰しております。誠に申し訳ありません。

唐突ですが、親サイトの『Queer Music Experience.』を、開設14年目にして、初めて全面リニューアルしました。

当初は、HTML ファイルのバージョンを、XML1.0から HTML5.0にアップするだけで、サイトデザインまで変更するつもりはなかったのですが、以下のような流れで、結局は全面リニューアルに至りました。

1)XML1.0から HTML5.0に書き換えるのに伴い、今までのコードの書き方を見直してみる。

2)そうすると、コードの書き方に統一性がなかったり、タグの意味を無視していたりしたので、全面的に書き直すことにする。

3)そうすると、結局はサイトのデザインも変更せざるを得ない破目になる。

4)どうせデザインを変更するんだったら、今までは難しそうだったので敬遠して実装していなかったもの(メニューバーとか JavaScript を用いたサイト内検索とか Web フォントとかファビコンとか)も実装することに。

5)しかし、しょせんは素人の悲しさ、レスポンシブ・デザインは現時点では見送り。

……という感じです(ちなみに私はテキストエディタでコードを書いてサイトを作ってます)。



本当は、リニューアル・オープンはもっとずっと先のつもりでした。というのも、掲載している情報のアップデートが、まだまだ不十分なままなので。

ただ、今月の13日に新宿 Live Freak にて開催された、ANGEN さんの一周忌ライブ・イベント『ANGEN forever』に足を運んで、そこで主催側でいらした小山内さんと、久しぶりにたくさんお話をさせていただいて、いろいろと思うところがあったので、こうしてリニューアル・オープンを前倒しすることに決めました。

件の『ANGEN forever』の観覧記も、追々書くつもりです。



それから、今回の全面リニューアルに伴って、姿を消したコンテンツがいくつかありますが、他のコンテンツとファイルを統合したり、ファイル名やディレクトリを変更したりしただけで、完全に消去してしまったコンテンツはないです。

記録というものは、保存して共有して、そこで初めて存在価値が生じるものだと思うので。



そして、新たに公開を開始したコンテンツは、以下のとおりです。



《Queer Musicians -Japanese-》

石谷嘉章

いちばんかっこ

CRAZY COLOR’s

SHIUN

SQUARED

鈴木優吾

ちそん

撫子~ NADESHIKO ~

M.I.L.F

mocky

LOOSE36

The Roots

レーズンパン

LOY



《Queer Music Review - Disc Review -》

スコット・マシュー/Scott Matthew



《Queer Music Review - Live Review -》

第2回どろぶねチャリティーライブ(2011年9月11日 at 新宿二丁目 鉄板女酒場どろぶね)

All Days Are Nights: Songs For Lulu 東京公演(2010年10月5日 at 水道橋 JCB HALL)



《Column》

ゲイ・ライブ・イベント入場者特典グッズ・コレクション



新規公開といっても、ほとんどが他所のウェブマガジンに寄稿したものの復刻であったり、mixi 日記として書いたものの復刻であったり、あるいはクィア・ミュージシャンのリンク集兼インデックスに記載していた備考内容を記事として独立させたりしただけで、純然たる書下ろしはほとんどないです。

それと、海外のクィア・ミュージシャンのインデックスページも、日本のミュージシャンのインデックスページのように、リンク集も兼ねたものに作り変えて、そこに掲載しているミュージシャンの数を、大幅に増やしました。

ただ、先にも書いたとおり、そこに掲載している情報のアップデートが、まだまだ不十分なので、随時アップデート作業を進めていきます。

とり急ぎ、まずはご報告まで。