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君の×××を見せて!

先日、私のQueer Music Experience.をご覧になってくださった、マーガレットさんという人形作家の女性のかたから、私がこれまで知らなかったアーティストについて教えていただきました。今回は、そのことについて書きたいと思います。

そのアーティストとは、ル・スポルト(Le Sport)という、スウェーデンのインディーのポップ・デュオです。





ル・スポルト

華奢な美青年2人組、といった風情。


このル・スポルトをマーガレットさんが知ったきっかけは、ペット・ショップ・ボーイズなんだそうです。

ル・スポルトの楽曲の中に、「If Neil Tennant Was My Lover」という曲があるんですが、その曲のことを、他ならぬニール・テナント自身が、ペット・ショップ・ボーイズのファン・クラブの会報誌上で取り上げていたんだそうです。

マーガレットさんは、とても熱心なペット・ショップ・ボーイズのファンでいらっしゃいます。そして、これはマーガレットさんとのメールのやりとりの中で教えていただいた話なんですが、以前マーガレットさんは、自作されたニールとクリスの人形の写真を、クリスのバースデー・カードとして、彼らのもとに送られたことがあるそうなんです。すると、彼らのマネージメント事務所から、ペット・ショップ・ボーイズの2人がマーガレットさんの人形を大変褒めていて、手元に欲しがっている、という手紙が来たそうなんですね。そこでマーガレットさんは、彼らの要望に応じて、その人形を彼らにプレゼントしたところ、なんと、ニール・テナントから直筆のお礼状が届いたんです。

ファンの1人ひとりを大切にするニールの心くばりと人柄に、マーガレットさんは、「この人は、メディアが言うような冷血な人なんかではない!」と大感激して、以来、人形作りを本職となさっているそうなんです。

ニールから直筆のお礼状が届いたという話を、メールで拝読して、私も、「うおー、ニールったら、めちゃくちゃイイ人だー!」と、心が温まりましたね。

ニールがメディアから冷血扱いされてしまうのは、たぶん、世間の大半の人が、「冷静な発言をする人」、イコール、「人間味に欠けたクールな人」、と思い込んでいるせいではないか、と私は思っています。

でも、「あらゆる人に配慮した結果の、クールな物言い」、っていうのも、世の中には絶対にあるはずなんですよ。

たとえば、どちらか一方に肩入れしてしまうと、もう一方が傷ついてしまうから、あえてどちらにも肩入れせずに、第三者的な立場を貫く、とかね。

幼稚園の先生が、園児どうしの喧嘩を仲裁するときの物言いっていうのは、まさにこれですよね? すべての園児に平等に接するためにこそ、どちらか一方に肩入れするのを避けるわけです。

全ての人に良くあれ、と思うからこそ、一方的、一時的な感情に踊らされることなく、クールに物を見ようとするんです。

つまり、「優しさの表れとしての冷静な物言い」、っていうのが、世の中にはあるんです。絶対に。

本物の知性と優しさを兼ね備えている人は、それができるんです。

でも、世間の多くの人は、もう既に幼稚園児ではないはずなのに、「全ての人に良くあれ」という配慮から冷静な物言いをしている人を、「人間味の欠けた人」と誤解する。

「人間味」っていうのは、そういうことではないはずなのに。



ていうか、大幅に脱線してしまいました。あうー。



ル・スポルトですよ、ル・スポルト!



自分がル・スポルトの音楽を聴いて思ったのは、彼らはペット・ショップ・ボーイズ的なエレ・ポップと、クイアーコアの歌詞世界を融合させたようなユニットだな、ということでした。

クイアーコアについては、Queer Music Experience.の中の、パンジー・ディヴィジョンブライアン・グリロのバイオグラフィーの中でも簡単に触れているので、ぜひそちらも参照してほしいのですが、要は、「ゲイやレズビアンであることに立脚して社会批判を行ないつつ、ゲイやレズビアンの主流の文化(=ゲイやレズビアンのステレオタイプ)にも異議を申し立てる社会活動や文化活動全般」のことです。

で、音楽ジャンルとしてのクイアーコアには、ゲイのラッパーによるヒップ・ホップ(ゲイングスタ・ラップと言われることもある)も含まれてくる場合がありますが、大抵の場合は、パンク・ロックのスタイルになります。

そして、クイアーコアのパンク・バンドの多くは、およそゲイらしくないヴィジュアルで、ゲイのセックスを描いた曲を演奏します。(パンジー・ディヴィジョンのジョン・ジノリなんて、アンガー○ズみたいな髪型してますからね)

しかも、それらのセックス描写というのは、かつてのザ・スミスやスウェードのような耽美的、詩的なものではなく、下品と言われても仕方のない、ある種のワイセツさが含まれています。

そして、ル・スポルトの楽曲の歌詞にも、それと同じものがあるんですね。

良い意味でのいかがわしさ、というか。

タイトルだけを見ても、なかなか凄いものがあるんですよ。

たとえば、「Show Me Your Penis」とかね。

先述の「If Neil Tennant Was My Lover」にしても、歌詞の中では、ニールに口でしてもらうことを妄想していたりして、その直截さが、非常にクイアーコア的なんです。



ところが。



ル・スポルトのサウンドは、クイアーコアの王道であるパンク・ロックではなく、シンセサイザーのピコピコ感とかビヨンビヨン感が満載の、モロ直球のエレ・ポップなんですよ。



そこが、ル・スポルトの極めてユニークな点だと、私は思いました。



彼らのヴィジュアルも、たとえばリベラーチェエルトン・ジョンシザー・シスターズのようなキャムプ(けばけばしい、ゲテモノ趣味のこと。転じて、ホモセクシュアルの男性を指す米俗語)的なところがないんです。

「繊細な美青年」といった雰囲気の、彼らのヴィジュアルは、UKのテクノ・ポップ・グループに類型的なものと言えなくもないんですが、ゲイのセックスを大胆に描きながらも、それでいてキャムプ的なヴィジュアルには走っていないという点で、やっぱりクイアーコア的なんですよね。



てなわけで、ここでル・スポルトのヴィデオ・クリップをお届けします。現時点での彼らの最大のヒット曲、「Tell No One About Tonight」です。(ヴィデオ・ジョッキー風ですな)



"Tell No One About Tonight"
(2005)



ル・スポルトの公式サイトのURLは、以下のとおりです。

http://www.lesportmusic.tk/

この公式サイト中の「disco」のコンテンツでは、計12曲が、無料でダウンロードできるようになっています。ワム!「Last Christmas」のカヴァーもあります。iPod等で聴くぶんには特に問題ない音質なので、ぜひお試しあれ。






ちなみに。

ル・スポルトの2人が、実際にゲイなのかどうかは、実はよくわかりません。

私にル・スポルトを教えてくださったマーガレットさんも、「彼らがゲイかどうかはわからない」と前置きをした上で、紹介してくださっていました。

彼らの公式サイトには、バイオグラフィーのページがないんですよ。スウェーデンのウィキペディアを調べてみても、それほど詳しい情報が掲載されているわけではない。インタヴュー記事も幾つか見つけたんですが、スウェーデン語で書かれてあるので、自分の語学力では到底太刀打ちできませんでした。

とりあえず最低限の情報として、スウェーデンのウィキペディアにある内容を、英語に訳して読んでみました。

メンバーは、フレドリック・ヘルストレムエーリャン・リンドベックの2人。もとはユーロスポルトというユニット名だったんですが、法的な問題により、現在のル・スポルトに改名したんだそう(たぶん、商標上の問題だろうと思いますが、この辺は読みこなしに自信ナシです)。

デビューは2004年の冬。公式サイト上でmp3ファイルとしてリリースしたのが最初。その後、「Your Brother Is My Only Hope」がスウェーデンのラジオ番組『P3 Pop』でオンエアされたことから、現在の所属レーベルであるSongs I wished I had writtenというインディー・レーベルの目に留まり、同レーベルと契約。現在に至っているようです。



一応、Queer Music Experience.中のアーティストのバイオグラフィーのページでは、同性愛者であることを公的にカミングアウトしているアーティストと、死後になってから関係者の証言で同性愛が明らかになったアーティストのみを掲載するようにしています。

なので、ル・スポルトは、今のところ、そのどちらにも当てはまらないんですが、ただ、彼らの楽曲とヴィジュアルのあり方は、完全にクイアー・ミュージックのド真ん中なので、今回はブログのほうで取り上げてみました。



このブログと、Queer Music Experience.を読んでくださっている他の皆さま方も、私がまだQueer Music Experience.の中で取り上げていないアーティストをご存知でしたら、是非教えてくださいませ。

m(_ _)m



そして、今回情報提供をしてくださったマーガレット様。ここでも改めて、御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

これを読んでくださっている他の皆さまも、是非マーガレットさんのブログを訪ねてみてください。ご本人は「妄想」と謙遜なさっていますが、ペット・ショップ・ボーイズに関する情報量とその精度には、物凄いものがあります。

そして、マーガレットさんはストレートですが、同性愛にも大変理解のある方です。ロンドンのユーロ・プライド・ゲイ・パレードにも足を運ばれたそうです。

私も、ロンドンのゲイ・プライド・イヴェントは是非体験したいんですよね……。でも先立つものがなくて……。羨ましいです。

マーガレットさんのブログ


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コメント

こんばんは。マーガレットです。早速取り上げていただいてありがとうございます。素晴らしい、ワタクシLE SPORTの2人の名前すら知りませんでした…CD買ったのに。

ところでワタクシ事でアレなんですが…マーガレットは複雑なセクシャリティーの人格なんですが、シザー・シスターズのアナちゃんの言葉を借りれば「間違って女に生まれたゲイ」なんですよ。”一周まわって普通じゃん”と言うなかれ…。どうやってもゲイ・センスがツボなんです。
でも、マーガレット”寄生主本体”が本業の仕事をしているときは、おねえちゃんの裸ばかりモデルにしてビアン・センスでごはん食べているので、世の中わかりません。結局、主人格と副人格、脳と染色体性別を分けなければならない複雑なコトになっています。

すいません、他人様のブログでこんなぶっちゃけて…。またお邪魔させていただきます。

途中で曲がかかって、ラジオみたいで素敵で~す!

>マーガレットさん

レスがすっかり遅くなってしまって、本当に申し訳ありませーーーん!(大汗)

「ラジオみたい」っていうのは、書き上げたものを後から読み返してみて、自分でも思いました。しかも、なんかNHK-FMみたいだな、と(笑)。民放的な軽さが少なくて(笑)。


「間違って女に生まれたゲイ」っていうのは、確かマドンナも、同じことを言っていましたね。格好良いじゃないですか! 私は本気でそう思います。

セクシャリティというやつは本当に複雑で、だからこそ、アナやマドンナ、そしてマーガレットさんのような女性のかたは、決して少数派ではないのでは? という気がします。セクシャリティは十人十色で、でもみんな、それを表立って口にしていないだけで。

「結果的には異性愛なんだけど、精神的には限りなくゲイに近い」という女性の数は、たぶん、目に見えているよりも、もっと多いと思うんですよね。「やおい」とか「おこげ」といった言葉で説明されているような、「異性との間接的なセクシャルファンタジー」と一緒くたにされてしまって、「ゲイ的なものに惹かれる女性のセクシャリティーの在り方」が、未だにちゃんと語られていない、というか。

まあ、この辺のテーマは、男性である私が考察するにはどうしても限界があるので、当事者性をもって語ることはできないんですが、だからこそ、マーガレットさんが書き込んでくださったぶっちゃけ話は、私は素敵だと思いました。(^^



レスありがとうございました。確かにPSBファンの女子は日本には結構たくさんいますから(20年前だったらメディアからただの"アイドル扱い"でも、さすがに現在までファンを続けている人はハード&ディープなファンですよね)、ゲイセンスに魅かれる女子も多いはずです。
ただ、「やおい」はまったくゲイセンスではないので、そっちには魅かれません。例えていえば宝塚の理想的男性像とおなじで、完全なる乙女カルチャーです。女子の妄想は本当に恐ろしいですよ!
いわゆる一般的な女子の好む男性アイドルにまるで冷静だった私はいつでも孤立していたんですが、ネットワークでこういう風に話題を語れるのってインターネットのいいところですよね。

クイーアコアという言葉があったとは存じませんでした。ターボネグロとかもそうなのかしら。ラムシュタインも?ま、全てくくる必要もないんでしょうが。

LE SPORTは、聞くたびにどんどん好きになっています。このせつなげな胸キュンっぷりはなんだろう…。若いのになかなかやるな。みなさまも是非聞いて下さいマシ。

>マーガレットさん

クイアーコアの知識は、私もQ.M.E.を始めてから知りました。たぶん、クイアーコアを知っている人のほうが珍しいんだと思います。パンジー・ディヴィジョンのバイオグラフィーの中でも少し触れたんですけど、クイアーコアについて書かれた日本語のテクストって、ほとんどがフェミニズムとかゲイ・リブ関連のものなんですよ。サブ・カルチャーの観点からクイアーコアについて語っている日本語のテクストって、今のところは見かけたことがないです。(クイアーコアというのは本質的にサブ・カルチャーなんですけどねー:笑)

クイアーコアにカテゴライズされているロック・バンドには、実はストレートのバンドも含まれていることがあります。その点では、ターボネグロとかラムシュタインも、条件的には合致してるんですよね。でも、彼らをクイアーコアと見做しているテクストは、見たことがないですねー。たぶん、曲とかパフォーマンスの中にある「当事者性」の有無、に拠っているんだと思います。

でも、ラムシュタインの「マン・ゲーゲン・マン」は、限りなくクイアーコアですね。この曲のヴィデオ・クリップは本当に凄いし、ヴォーカルのティルも、「マン・ゲーゲン・マン」について、「この曲がゲイクラブで、ゲイにとってのテーマソングみたいになればいいなっていう静かな願望がオレにはあるんだ。」と語っているインタヴューを見つけました。

http://www.joy.hi-ho.ne.jp/rammstein/interviewplayboy.htm

異性愛者のオルタナティヴ・ロック・バンドのフロントマンが、こうした発言をしているのは嬉しいです。(^^)

もしもラムシュタインが、「マン・ゲーゲン・マン」のような曲を主体にしていたら、彼らはクイアーコアとして語られても不思議ではないし、違和感もないです。ただ、現状では、「マン・ゲーゲン・マン」は彼らの変化球として受け取られているっぽいので、だからクイアーコアと見做されてはいないのではないか? と思います。



ル・スポルトの曲を聴いていると、なんかアルファ派が出てくるような気がしません?(笑) PSBの場合、ダンス・ミュージックとして作られているぶん、リズムの心地よさが先に来るんですけど、ル・スポルトの場合は、ダンス・ミュージックというよりは本当に「エレ・ポップ!」っていう感じなので、聴いていて、なんかホワーンとしてくるんですよね。(^^)



はじめまして!おじゃまさせてもらいます☆

前から、ブログを楽しく読まさせて貰っていたのですが、今回紹介されてるル・スポルトがあんまりつぼで、久々にテンションがあがりました^^
が、調べてもでてこないですね~~、ル・スポルト^^;
また何かあって、取り上げてもらえたらうれしいです。

マーガレットさんの、まちがって女に生まれたゲイ、って表現すてきです☆
っていうか、わかります^^
私も、中学生の時の進路相談のときに「生まれ変わったらかっこいいゲイになりたい」といって担任と友人をどんびきさせた経緯の持ち主なので、なるほど、そういうこともありかなと思いました。

>yujiさん

はじめまして。(^^

前から読んでいてくださったんですねー。ありがとうございます。
m(_ _)m

ル・スポルトは、日本でも充分ブレイクできるポップ性があるんですけど、現時点では、全然情報が入ってきていないですよねー。

たぶん、所属レーベルの販売網が、まだそれほど拡大してないからだと思います。彼らが本格的に欧州進出を果たせば、日本にも、もっとたくさんの情報が入ってくるのではないか、と思われます。

中学の進路相談で「生まれ変わったらかっこいいゲイになりたい」、っていうのはスゴいですねー(笑)。

自分も、大学の社会人入試の面接のときには「ゲイですが、何か?」みたいなことを言って、面接官をドギマギさせましたが、さすがに中学生のときには、既にゲイの自覚があったとはいえ、そこまでの度胸はなかったです。

これからもよろしくお願いします。(^^

おひさでございます。

ちょっと、ちょっと、LE SPORT、解散しちゃったみたいですよ!気に入っていたのにすごく残念ですっ!新世代のPSBになると思って、ひそかに応援していたのに~~!なんやら悲し悔しいです…。

デュオやバンドというのは存続は難しいもんなんでしょうか…。ニール&クリスのように、いまだに一緒に夜遊びに行くくらい仲良しでないとやっていけないんでしょうかね。

でも解散したメンバーが他で結成したバンドってイマイチだったりしますから…。まあ、LE SPORTはビッグネームでないので、騒がれることもなさそうですが。

>マーガレットさん

ええっっっっ!? 早っ! もう解散ですかあっ!?

なんか、呆気ないなあ……。

デュオやバンドの存続は、実際問題として難しいんでしょうねぇ。私の知り合いのゲイのインディーズ・バンドやユニットも、長期継続している例は少ないですからねぇ。

そもそも、ニールとクリスのほうが特別なんですよ。これはもう間違いないですね。

これだけ長い期間に渡って第一線にいること自体が稀だし、しかもソロ活動期間というのがないじゃないですか? 極めてレアですよ、PSBは。

まあ、たとえ解散してしまったとしても、ル・スポルトが私たちの心をとらえたセンス自体は健在していくと思うので、彼らがそれぞれの道でまた新しく何かを生み出してくれるのを期待するしかないですかね……。トホホ。


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