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1月25日のエントリでは、ベス・ディットー率いるザ・ゴシップを紹介しています。

それ以後も、ベス・ディットーについて、いろいろと調べてみました。

いやー、最高ですよ、ベス・ディットーは。

彼女のさまざまなインタヴューがネット上で読めるんですが、どれも興味深いものばかりです。

それらのすべてを翻訳して紹介するのは量的に無理なので、今回はそのうちの一部だけを、抜き出して紹介したいと思います。








まずは、『NME』誌のサイトの1月18日付の記事から。

Beth Ditto: 'Supporting Scissor Sisters was soul-sucking'(NME)

先ごろザ・ゴシップは、シザー・シスターズのオープニング・アクトを務め上げたばかりなんですが、それについてベス・ディットーは、以下のように述べています。

シザー・シスターズのことは大好きだし、たくさんの背景を私たちは共有してるとは思う。でも、彼らのツアー・サポートは、マジで腑抜けになりそうな体験だった。“ギグ”じゃなくて“コンサート”なのよ。9歳のときにニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックが町に来て、だれもがチケットを手に入れようとして商店街で野宿してたみたいな、そんな感じよ。オーディエンスはチャートのヒット曲が聴きたいだけのオバさんたちなのよ。ジョン・ウォーターズの映画もラモーンズも、全く知らないような連中よ。

見出しだけだと、まるでベス・ディットーがシザーズの5人をけなしているかのように見えますが。

実際には、ベス・ディットーはシザーズのライヴに集まってくるオーディエンスのことを批判しています。

面白いと思ったのは、ベス・ディットーの考えるクールな観客像っていうのは、裏を返せば「ジョン・ウォーターズの映画を観たり、ラモーンズを聴いたりしている人々」である、ということですね。このあたりに、彼女の文化的価値観が、如実に表れ出ています。

ちなみに、私自身は、ラモーンズの音楽にはそれほど馴染みがありません。ラモーンズと言われてすぐに頭の中に流れるのは、スティーブン・キング原作のホラー映画『ペット・セメタリー』の主題歌だったりします。

でも、たぶんそれじゃダメなんだろうなー。

いや、でも、かなり好きなんですけどね、『ペット・セメタリー』の主題歌。

「俺はペット・セメタリーには葬られたくない/生き返りたくなんかない」っていうサビなんですけど、なんつーか、あまりにも「そりゃそうだろう」ってな感じの歌詞なので、かえって笑えるんですよね。まあ、そのユーモア・センスこそが、ラモーンズなんでしょうけど。

※参考リンク
ラモーンズの「ペット・セメタリー」のヴィデオ・クリップ(YouTube)



つか、閑話休題。



次は、「Standing In The Way Of Control」について。

1月25日のエントリを書いた時点では、「Standing In The Way Of Control」は、どうやら政治的な内容を歌っているらしいということまではわかってたんですが、さらに詳しく調べてみると、この曲は、同性婚を否定したブッシュ政権を批判したものなんだそうです。

合衆国では、ブッシュのしたことに驚いたりショックを受けたりする人はいなかったけど、誰もが無力感にとらわれてるし、あざむかれてるとも感じてるわ。私が書いたサビは、それでもあきらめずに挑んでいかなくっちゃと、みんなを励ましているの。市民権が脅かされている今だからこそ、生き延びる唯一の方法は、一致団結して、闘い続けていくことだけなのよ。私は本気でそう信じてるわ。

この発言だけを見ても、彼女が非常に政治色の強いアーティストだということがわかります。

しかし、彼女がコミットしているのは、フェミニズムやLGBTの解放運動だけではありません。

ベス・ディットーは、デブ解放運動のスポークスパーソンでもあります。

いや、マジで。

以下に引用するベス・ディットーの発言によると、北米には、ビガー・ムーヴメント(Bigger Movement)というデブ解放運動があるらしいです。自分も初めて知ったんですけど。

ちなみに、自分は今ここで「デブ」という言葉を用いていますが、別に侮蔑的な意味合いを込めて言っているんじゃないです。他ならぬベス・ディットー自身が、「デブ(fat)」という言葉を好んで使用しているんですね。私はそれに倣っています。

彼女によると、「太め(overweight)」という言葉は、「標準からの逸脱」を意味していて大嫌いな言葉なんだそうです。

肥満が良くないという認識は、まあ、健康上の問題でもあるとは思うんですよ。実際、ディヴァインは太りすぎが原因で亡くなってるわけですし。

ただ、一方では、大した理由もなく肥満の人を忌み嫌ったり、あるいは肥満を「怠惰の表れ」と決めつけたりしている人も、大勢いるんですよね。

そういう人たちに、ベス・ディットーは「アタシはデブですが、なにか?」と挑戦しているわけですが。

その主張の中身が、非常に面白いんですよ。「おお、なるほどー」って感じで。

以下は、PopMattersというサイトのインタヴューからの引用です。

何が可笑しいって、みんなはデブのことをマイノリティ扱いしてるけど、でも実際にはデブのほうがマジョリティなんだってことなのよ。どうしてデブは一致団結しないのか、いつもそれが不思議だわ。だって、デブはマジョリティなんだもの。いわゆる「太め」の人は、何かとケチをつけられるわよね。私は「太め」という言い方が大嫌いなんだけど。だって、それって、人のあるべきスタンダードを定めてるみたいなもんでしょ。ところが、今やこの国では、私たちこそがマジョリティなのよ。本当に可笑しいわよね。世界に一人たりともデブがいてはいけないみたいな扱いをされるけど、そういう扱いをすることこそを恥ずべきなのよ。実際にはほとんどの人がデブなんだもの。私は大食いが好きだけど、それを変えようとは思わない。小さいころは、変えようとしてずいぶん頑張ったけど、ウンザリするだけだった。それからオリンピア(ワシントン)に引っ越して、ビガー・ムーヴメントの一翼を担っている人たちに出会ったのよ。ビガー・ムーヴメントっていっても、シャレのつもりじゃないわよ(註:ザ・ゴシップは2003年に『Movement』というアルバムを出している)。ビガー・ムーヴメントに出会えたことは、私の人生で最高にパワフルだった出来事の一つね。闘いはまだ続いてるわ。音楽業界では特にね。クソみたいにハードよ。私の知っていたバンドで、ザ・ゴシップのオープニングをやっていて、一夜にして億万長者になったバンドがあるの。でも、ゴシップのほうが断然いいバンドだった。自己中で言ってるんじゃないのよ。公明正大に見て、そういう説明の仕方しかできないの。彼らは売り出すことを望んでいた。でも私たちはそうじゃない。売り出すためにストレートのふりをしたり、それっぽく喋ってみせたり、やせたりしてみせるのは、私たちがいちばんしたくないことなの。私はブリトニー・スピアーズになりたいわけじゃないわ。なりたくなんかない。彼女にはゾッとする。

全文は以下のリンクからどうぞ。

Fat with an 'F': Talking to Beth Ditto of the Gossip(PopMatters)



アメリカには肥満が多いという話は、よく聞きますよね。でも、ベス・ディットーの言う「実際にはデブのほうがマジョリティ」っていう主張は、盲点というか、私には目からウロコでしたね。

確かに、アメリカの食文化にどっぷりと浸かってると、よほどカロリーの数字に意識的でないかぎりは、あっという間に太っちゃうだろうなー、とは思います。たとえば、アメリカのファスト・フードで、うかつにもコーラのLサイズを頼んでしまって、激しく後悔したという日本人は、私のほかにもいるはずです。

あと、以前に職場の上司の女性が、アメリカ製のチョコレートを食べながら、

「なるほどー、アメリカのデブはこうして作られていくのだな」

と真顔で納得していたのを思い出しました。



とにかく、ベス・ディットーの舌鋒の鋭さは最高です。こういう人、私は大好きですね。





さて。

ベス・ディットーがイギリスの『NME』誌のクール・リストのトップに選ばれたことによって、イギリスではザ・ゴシップへの注目が高まっているようです。

昨年リリースした「Standing In The Way Of Control」は、1月28日付の全英シングル・チャートで、34位に再エントリーしています。

というわけで、ここで私も、改めて「Standing In The Way Of Control」をパワー・プッシュしたいと思います。



"Standing In The Way Of Control"
(2006)



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2007.02.04 Top↑
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