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以前から書こう書こうと思いつつ先送りにしていた、アジアのLGBTアーティストについての話題を、これから順次放出していきます。

まずは上海のジャズ・シンガー、CoCo の話題からです。

CoCoについては、既に昨年10月26日のエントリで紹介しています。

COCOの話(乙女塾に非ず)

この上記のリンク先のエントリで紹介したインタヴューを読んでからというもの、CoCo が実際に歌っている映像を観てみたいなーと、ずっと思ってたんですが。

いやー、ようやく見つかりましたよ。

ChinaOnTV という動画サイトで、CoCo を取材したドキュメンタリー映像『The Snake Boy』が、3月から公開されています。

その動画は、このエントリの下のほうにも貼りつけてみたので、ぜひぜひ、観てみてください。日本語字幕はありませんが、中国語で語られている部分には英語字幕がついてるので、多少英語がわかる人であれば、だいたいの内容はつかめると思います。

このドキュメンタリーを観て、これまで私が自分の中で思い描いていた CoCo の印象は、大きく覆りました。

以前に紹介した、『yes』誌の CoCo のインタヴューを読んだ限りでは、CoCo というアーティストには、男性的なイメージがあったんですよ。発言内容は強気だし、一緒に掲載されていた写真も、筋肉質とは言わないまでも、割とふくよかで、たくましい印象だったし。

ところが。

この『The Snake Boy』の中の CoCo は、取材時期が2001年ということもあってか、昨年の『yes』の写真に比べると、すっごい華奢なんですよ。ファッションの傾向も全然違うし。

なんつーの? フェミニンっていうの?

フェミニンっつーか、むしろガーリー?

ヴィジュアルだけで言うなら、ガーリーを通り越して、もはやダイクっぽい。ややこしい説明なんだけど。

映像の中でインタヴューを受けている人たちも、みんなして口をそろえて、「最初は男の子なのか女の子なのかわからなかった」とか言っちゃってるし。

CoCo の親友で、上海のアンダーグラウンド作家のキカという女性なんて、「彼を男と思ったことはないわ」とまで言っちゃってます。

プロデューサーのグラハムという男性も、「コンセプトは中国のボーイ・ジョージ」とか言っちゃってるし。

男性的なイメージとは、全く無縁なんですよ。すごく女性的。

ところが。

以前のエントリで紹介した『yes』のインタヴューの中では、CoCo は次のように語っていたんですよ。

アーティストであることとゲイであることに何か関連はありますか?

あまりないな(笑)。僕という人間が表現する時、その一部としてゲイという要素はきっとあるでしょうね。感受性が強かったりするところはゲイ的といえるかもしれない。でも直接的には関係ないと思う。

おーい! 「中国のボーイ・ジョージ」とか言われちゃってるのに、アーティストであることとゲイであることに、関連はないんかい! 一部どころか、どこからどう観ても、あんたはゲイのアーティストやんけ!

……と、最初は思いました。

んが、しかし。

先にもちょこっと書きましたが、この『The Snake Boy』は、『yes』のインタヴューに応じるよりも、何年も前の話なんですよねー。

てことは。

その数年のあいだに、彼の考え方には、大きな変化が生じたのかもしれません。

そう考えないと、『yes』のインタヴューでの CoCo と、『The Snake Boy』の CoCo のあいだにある、あまりにも大きなイメージの隔たりが、全く説明できないんですよ。

実際、『yes』に掲載されていた CoCo の写真には、フェミニンな要素が全く見出せません。

『The Snake Boy』によれば、当時の中国の一般大衆は、当時の CoCo のような、フェミニンなゲイのシンガーに、相当強い嫌悪感を示したようです。

そうした向かい風に立ち向かっていく中で、CoCo はフェミニンなアーティストから、どちらかといえばタフな印象のアーティストへと、変化していったのかもしれません。

『yes』のインタヴューでは、CoCo は「愛のために死ぬとか泣くとか、大嫌い。恋愛って他人と共感するのが難しくない?」と語っています。ところが、それに先立つ『The Snake Boy』の中では、実は恋人と破局した後に自殺をはかった過去があることを、CoCo は告白してるんですよね。

死ぬとか泣くとか、思いっきりやっとるやんけ、って感じです。

きっと、そうした辛い過去が背景にあるからこそ、CoCo は『yes』のインタヴューでは、「愛のために死ぬとか泣くとか大嫌い」って語ったんでしょうね。

つまり、『The Snake Boy』の CoCo と、今現在の CoCo は、たぶん別人です。

『The Snake Boy』の映像の中の CoCo は、あくまでも2001年当時の CoCo でしかない。

そう、思います。

ChinaOnTV に英文で掲載されていた、このドキュメンタリー映像の大まかな内容の全文翻訳を、以下に掲載します。

CoCo は、上海で最も優れたジャズ・シンガーの1人で、(中国の干支で)蛇年の生まれである。その才能にもかかわらず、彼はブーイングを浴びてステージを降り、レコード会社からは契約を断わられた。なぜなら、彼がゲイだから。このドキュメンタリーでは、彼や友人たちのインタヴューを通して、彼の苦闘と音楽、夢、そして彼の性生活をうかがい知ることができる。

音楽の本場で生まれたということもあってか、CoCo の音楽の才能は、親譲りのものだと見る向きもあるだろう。彼の母は、京劇の歌手である。父は、ピアノやチェロ、その他、東洋のさまざまな楽器の演奏に通じている。両親からの強い影響で、彼は家を出て、10歳で武漢の音楽学校に学んだ。そして16歳で、上海の音楽学校の作曲科で最年少の学生となった。17歳で彼はナイトクラブで歌い始め、有名になっていった。
たとえジャズ・バーでは広く歓迎されたとしても、主流の音楽産業は、まだまだオープンリー・ゲイの歌手を受け入れられる状況にはなかった。香港のレコード会社からは契約を断わられ、CoCo は主流のステージのスポットライトを浴びることがなかなかできなかった。彼の親友であり、有名なアンダーグラウンドの作家であるキカの援助と支持によって、夢を追い求め続けた CoCo は、中国の民族歌謡と西洋のジャズを融合させた。ジャズバンドを結成した彼は、クラブを渡り歩き、彼自身のジャズをパフォーマンスした。少しずつではあるが、彼は広く認知されるようになり、1999年には上海インターナショナル・ジャズ・フェスティヴァルでのパフォーマンスに招待された。彼の驚くべきパフォーマンスは、彼と同じ音楽ファンの心を捉えたものの、しかし一般の観客には受け入れられなかった。パフォーマンスを終えた後、彼はブーイングを浴びながらステージを降りた。彼の性的指向が理由である。

CoCo にとっては、性生活は、音楽のキャリア以上に苦難の連続だった。彼が最初にカムアウトしたとき、まだ中国は非常に保守的な国だった。2001年まで、中国の精神医学協会は、同性愛を通常の性行動とは分類していなかった。CoCo はフランスへと旅立ち、恋人となる Jelmer と出会った。CoCo とキカは、その関係について、破局後の CoCo の自殺未遂も含め、洗いざらい語っている。
陰に隠れたそれらの苦闘があるからこそ、CoCo はなお一層精力的に働いて、彼の音楽と性生活の、より良き未来を望んでいるのである。

では、『The Snake Boy』の実際の映像をどうぞ。

"The Snake Boy"



ちなみに、ChinaOnTV で公開されている『The Snake Boy』の動画ファイルは7分割されていて、ブログ等に貼りつけることができるようになっているのは、最初のファイルのみです。この続きは、以下のURLからどうぞ。続きを観る際には、Firefox では正常に動作しないっぽいので、Internet Explorer 推奨です。

http://www.chinaontv.com/index.php/video_play/E720


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2007.05.22 Top↑
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