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1ヶ月近くも続けてきてしまった、「1ヶ月遅れの話題シリーズ」も、いちおう今回で一区切りをつけたいと思います。

今回は、ヘアメイク・アーティストの IKKO さんが先月の5日にリリースしたシングル「どんだけ~!の法則」について書きます。



「どんだけ~!」という言葉は、新宿二丁目で流行っているという触れ込みで IKKO さんが多用してきたそうです。(←なんで伝聞形なのかっていうと、私は普段テレビを全然観ていないので、IKKO さんがバラエティ番組のフリートーク中で「どんだけ~!」と口にしている場面を実際には観たことがないからです)

しかし現実には、「どんだけ~!」が流行しているのは新宿二丁目のごく一部です。少なくとも、私のゲイの友人たちは誰一人として「どんだけ~!」とは言わないし、私が足を運んでいる二丁目のお店でも、「どんだけ~!」という言葉が飛び交っているのを聞いたことがないんです。

「どんだけ~!」が二丁目で流行っているということになったのは、二丁目の某店で局地的に流行っていたものが、某テレビ番組を通じて「二丁目で流行っている」という伝わり方をしたためだというのが、私の知る限りでは定説のようです。

そのあたりの話は、人気ゲイ・ブログ『フツーに生きてるGAYの日常』の、昨年12月7日のエントリに詳しいです。このエントリで紹介されているのは、日本テレビ系列の情報番組で「どんだけ~!」が本当に新宿二丁目で流行っているのかどうかを取材した内容が放送されたという話題です。

※たかがテレビ039●「どんだけぇ~」はどんだけ親しみで人を繋ぐ?(『フツーに生きてるGAYの日常』2007年12月7日)
http://akaboshi07.blog44.fc2.com/blog-entry-1095.html

で、その取材映像は、『「どんだけぇ~」の生みの親が語る流行語誕生秘話』というタイトルで放映されたそうなんですが、実は「どんだけ~!」の起源は、新宿二丁目ではないんですねー。

「どんだけ~!」の生みの親は、ゲイではなくて渋谷のコギャルみたいです。本当は。

これから下記にリンクする記事は、私が昨年の4月ごろにソーシャルネットを通じて友人から教えてもらったものなんですが、これがアップロードされたのは2005年の1月です。

つまり、その時点では既に渋谷のギャルたちのあいだでは「どんだけ?」が流行語になっていた、ってことです。

ついでに言っとくと、私のゲイの友人たちの何人かは、「どんだけ~!」が二丁目発祥のものではなく渋谷のギャル語だということを、わりと知ってました。

※「どんだけ?」「俄然」「マジだー」!? 語感で操る今時のギャル業界用語
http://www.shibukei.com/special/55/index.html(『シブヤ経済新聞』2005年1月21日)

『フツーに生きてるGAYの日常』さんの記事では、IKKO さんによる「どんだけ~!」の多用について、「『二丁目で流行っている』というフィクションを自らの売り出し戦略に意識的に利用している」としながらも、そのことによって新宿二丁目があたかも「流行の発信地」であるかのようにメディアで取り上げられていることを、肯定的に評価しておられます。

二丁目を起源とする流行が、二丁目以外の世間にも浸透していくのは、確かに喜ばしいことです。そのことについては私も全く同感なんです。

んでもって、昨今のオネエキャラブームというのは本質的には「フェミニズムへのバックラッシュ(反動)の一変形」なんだけれども、IKKO さんが「どんだけ~!」を二丁目の文化として強調したことで、メディア(と一般大衆)の目先が二丁目に誘導され、そのことによってかつてのようなゲイ・ブームにつながるかもしれない伏線が、IKKO さんの手によって敷かれたというふうに考えることもできるとも思ってます。

ただですねー、「どんだけ~!」の流行は必ずしも新宿二丁目が起源ではないというところに、私は居心地の悪さを感じてしまうんです。

数年前に渋谷のギャルたちのあいだで流行っていた(言いかえれば、本来の生みの親たちのあいだでは既に下火となっている)言い回しを、「二丁目で流行っている」という意図的な触れ込みのもとに多用するというのは、ちょっとカッコ悪いかなー? と。

だって、「二丁目で流行っている」ということを強調すればするほど、「どんだけ~!」の本来の起源を知っている人々(つまり、ギャル文化に詳しい人々)の目には、「ゲイの文化はギャルの文化の後追い」と思われてしまいそうで。

もちろん、別に後追いと思われたところで実害はないっちゃあないんですけどね。私が後追いというものに過剰にマイナス・イメージを持っているだけだと言われてしまえば、それは全くその通りなんですけど。

IKKO さんご本人のことは、私は好きです。IKKO さんの著書を購入したりもしてるんですが、ここまで自身の同性愛をオープンに語る人が、テレビの世界で人気を博しているという事実は、痛快至極です。でも、IKKO さんが「どんだけ~!」を多用することについては、昨年の4月以降ずっと、「もうそろそろ打ち止めにしたほうがいいのでは?」という思いを、実は抱いていた私です。

まあ、こういうのって、いったん動き出してしまったら、IKKO さんご本人の意志1つでは止まらないものなんだろうとも思いますが。

そうこうしているうちに、昨年の12月に avex trax からリリースされたのが、「どんだけ~!の法則」です。

どんだけ~!の法則(DVD付)どんだけ~!の法則(DVD付)
(2007/12/05)
IKKO

商品詳細を見る


「どんだけ~!」を二丁目の文化として流布することにはいささか懐疑的であるにもかかわらず、私がこのCDをしっかりと購入しているのは、私がLGBTミュージックのコレクターだから。



クレジットを見てみると、タイトル・トラックの作詞には IKKO さんご自身も参加されていて、既に著書の中で語られている内容と寸分ブレのない IKKO さんの人生哲学や、IKKO さん流の美の秘訣が、コンパクトに盛り込まれています。

しかしながら、このCDが商品として広く流通するためには、「どんだけ~!」に比重を置くことが絶対的な条件になっていたはずなので、サビの部分で幾度も連呼される「どんだけ~!」は、AメロやBメロで歌われている IKKO さんの人生哲学や美の秘訣と、ミョ~に乖離しちゃってるんですよねー(笑)。それがちょっともったいないです。

まあ、「どんだけ~!」の本来の起源であるギャル語は、「間違った使い方が浸透しているのが特徴的」(先にリンクした『シブヤ経済新聞』の記事からの引用)らしいので、サビの部分の「どんだけ~!」が歌詞全体の内容からは乖離しているのも、当然といえば当然だったりするかもしれません(笑)。

このCDは、あくまでも企画モノだと思うんです。タレントとしての IKKO さんは、決してお笑い芸人ではないんだけれども、このCDの性質そのものは、旬のお笑い芸人がリリースするものと同種だと思います。IKKO さんご本人も、そう認識してレコーディングに臨まれたはずです。

だからこそ、歌唱力がどーのこーのと言ってこのCDを批判的に論じるのは、たぶん野暮天です。

流行語大賞の発表の時期に併せてリリースされたこのCDは、「2007年にはこういうフレーズが流行った」ということを振り返るためのよすがとして楽しむのがいいと、私は思います。

"どんだけ~!の法則"
(2007)




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2008.01.02 Top↑
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