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前回のエントリや「藤嶋貴樹のゲイミュージックワールド」の最新回で紹介した、ブレット・エヴリーのアルバム『Camping Out』の収録曲の歌詞について、SNS 経由で次のようなご意見をいただきました。

「日本語にトランスレートして日本のシーンで共有する作業があってもよいでしょうね。 」

そのご意見を受けまして、『Camping Out』の収録曲の日本語訳を、今回作成してみました。

作成にあたって最も重視したのは「原詞のニュアンスをなるべくそのまま、わかりやすい日本語で伝える」ということでした。そこで、原詞にはない言葉も適宜付け加えたり、思い切った意訳を施している箇所も少なからずあるので、これが直訳だとは決して思わないでください。
(よもや、直訳こそがもっとも正しい翻訳のあり方だと思ってる人もいないでしょうが)

それにしても、英歌詞に日本語訳をつけるという作業は、たぶん、Queer Music Experience.に掲載している「“ゲイのラヴ・ソング”としてのカルチャー・クラブ」を書いたとき以来だと思うんだけど、なんかね、もー、すげー楽しかったですわ。原詞のニュアンスにピタリと当てはまるフレーズが浮かんだときの快感っていったら、もー(笑)。

日本語つけながら、泣いちゃったりとかしましたよ。って書くと、自分がつけた対訳に自分自身で酔い痴れてるみたいに勘違いされちゃいそうだけど。

英歌詞を訳す作業をしていると、ただ原詞を読んだだけでは気づけなかった細かいニュアンスなんかが、すごくクリアに見えてくるんですよね。「ああ、こういう意味が実は隠されていたんだー」みたいな新しい発見が、どの曲にも必ずあるんです。それが楽しくって。

ブレット・エヴリーの書いた詞って、自分が思ってた以上にもっと、もっと、素晴らしくロマンティックな世界なんだってことが改めてわかって、そしたら泣けてきちゃって。

「全篇がゲイのラヴ・ソング」のアルバムって、ホント良いです。

今はまだ2月だけど、このブレット・エヴリーの『Camping Out』は、今年度の藤嶋的レコード・オブ・ジ・イヤーの最有力候補ですわ。

Brett Every
『Camping Out』アルバム・ジャケット


てなわけで。

ブレット・エヴリーの『Camping Out』の収録曲を、ぜひ一度、対訳を読みながら聴いてみてください。

では以下が対訳です。



1.セイラー

なあ そこの海兵さん なんで1人で踊ってるんだい?
なんでそんなに哀しい歌ばかり選ぶんだい?
彼は言ったよ 「俺の乗ってる軍艦は明日 港を出るのさ
つまり今夜が最後の夜、ってわけさ

堅い床に据えられたジュークボックス 流れてくるのは80's サウンド
俺に腕を回して そしてこう言ってくれないか
『夜が明けるまで ここにいてやるよ』ってさ」

なあ そこのウェイター グラスを2つ
なんでもいいからグラスに2杯
だって 彼の軍艦は明日には港を出てしまう
つまり僕らにはあと8時間と少ししかないんだ

堅い床に据えられたジュークボックス 流れてくるのは80's サウンド
もう1杯おごるから まだここにいなよ
夜が明けるまで 僕はここにいるから
どこにも行かないさ 日が昇るまで 僕はここにいるから

彼は海兵 軍人さ 名前もよく聞き取れなかったけど
でも彼の眼を忘れることはない
彼は言った 「たぶん、俺が生きて帰れたら
また必ず君に会える そう信じてるよ」

僕は言った 「夜が明けるまで 僕はここにいるから
どこにも行かないさ 日が昇るまで 僕はここにいるから」



2.ハウ・スティル・ザ・ナイト

風はとても穏やかで ほとんど凪のようだった
夜はとても密やかで 君の鼓動も聴こえそうだった
波はとても軽やかで 砂はさらさら流れるようだった

  なんてはるかな星々 なんて遠い空
  君をぎゅっと抱きしめる僕の両腕
  なんて美しい満月なんだ なんて静かな夜なんだろう

君はほとんど裸になって 僕に言ったね
「恥ずかしがることなんかないさ、君も脱ぎなよ」
僕は応えた
「気が遠くなりそうだよ だから僕を抱きしめていて

  なんてはるかな星々 なんて遠い空
  君をぎゅっと抱きしめる僕の両腕
  なんて美しい満月なんだ なんて静かな夜なんだろう」

ヘッドライトに照らされながら
僕らはチークを踊ったね
バッテリーが切れたそのときに
もしも海の中が見えたとしたら 魚たちもきっと
愛を交わし始めてたに違いないよ……



3.ヒー・ワズ・トゥー・グッド・トゥ・ミー
(作詞:ロレンツ・ハート/作曲:リチャード・ロジャーズ)

(2009.4.18追記:
誤訳の指摘をいただきましたので、諸般の事情により、この曲の対訳は削除させていただきます。申し訳ありません。)



4.キャンピング・アウト

楽しい夜も更けて
あとは寝るだけになってしまった
テントは張ってあったけれど
僕らはあえて 消えゆく焚火のそばで
一夜を明かすことにした

煙が空へと立ち昇る
こんな星空を見たのは1999年以来だ
僕が 君を温めているのか
それとも君が 僕を寒さから守ってくれているのか
――君かな? 僕かな? それとも僕らかな?

早朝――最後の炎も尽きた
僕らの過去もすべて消え去るように
世界は変わる もう今までの僕らじゃない
時は刻まれていく 昨日はもう疾うの昔
煙が空へと立ち昇るように
1999年のあの時を思い返す
キャンプに出かけた2人の少年が
凍えないようにと温め合っていたっけね
――それは君かな? 僕かな? それとも僕らだったかな?

夜明けは必ずやってくる
僕らがどこで明日を迎えようとも
僕らはもう一度だけ火を起こす
燃え尽きたはずの炭を君が裏返すと
煙と火の粉が舞い上がり また火が灯る
そして僕らはもう一度
あの1999年のように燃え上がる
あのとき2人の少年は 火を絶やさないように懸命だった
いま 僕らの火は ゆるぎなく燃えている
――君の、僕の、僕らの火が



5.スウェイング

君こそがニューヨークだった
僕を導いてくれる光が必要だったとき
君はタイムズ・スクエアよりも明るく輝いてた
温かさに焦がれていたとき
7月の北半球で君と出会った
君こそがニューヨークだった
僕は目を瞠ったよ
こんな歌を 君は聴かせてくれたんだからね

 「どうか、どうかこの出会いを手放さないで
  だって僕らが一緒になっても
  損なわれるものなんて何にもないんだから」
  君の歌にほだされたことは
  このとおり撤回のしようがないよ
  こんな歌を歌ってくれるのは君しかいない

故郷から遠く離れて 地図を失くした僕に
君は僕の居場所を教えてくれた
その開いた両腕に僕をくるんでくれた
僕が向かう場所を指し示してくれた
ニューヨークで彷徨っていた僕の 君は愛しい男
君は僕のすべてだった あの歌を歌ってくれたね

※解説です。
「温かさに焦がれていたとき/7月の北半球で君と出会った」という部分ですが、ブレット・エヴリーはオーストラリアのシドニー出身なので、彼にとって7月は冬です。冬の寒さを逃れて7月のニューヨークに旅をして、そこで「彼」と出会った、ということです。




6.デヴロー

彼が仕事で遅くなると
僕はテレビの再放送を観る
80年代の古いシットコム
いや、とっくに見飽きてるんだけど
窓の外に目をやると
眼下には街並が
見上げれば飛行機が
あの高さだと出発かな? 着陸かな?

  ああ、お馴染みのテーマ・ソングが流れる
  ブランチ・デヴローだ

彼が仕事で遅くなると
隣の部屋から聴こえる曲に耳がいく
トム・ウェイツとベット・ミドラーのデュエット
延々とその曲ばっかり

  ああ、お馴染みのテーマ・ソングが流れる
  ブランチ・デヴローだ

彼が仕事で遅くなると
時間をかけて熱いシャワーを浴びたり
花を生け直してみたり
どれも大して意味のないことばかり

  ああ、お馴染みのテーマ・ソングが流れる
  ブランチ・デヴローだ

※解説です。
シットコムというのは、シチュエーション・コメディの略で、『フレンズ』とか『フルハウス』とか、ああいった感じの連続ドラマのこと。
ブランチ・デヴローは、1980年代後半のアメリカのシットコム『The Golden Girls』(たぶん日本では未放映だと思う)のメイン・キャラクターの1人だそうです。彼女の弟がゲイで、そのことに彼女はしばしば苦悩しているという設定らしいです。
テーマ曲はアンドリュー・ゴールドの1978年のヒット曲「Thank You for Being a Friend」(全米最高25位)のカヴァー・ヴァージョンで、歌っていたのはシンシア・フィーという女性歌手だそうです。




7.ウィリアム

ウィリアム 僕らは一からやり直せるんじゃないかな
たぶん今度はうまくいくよ 良いタイミングさ
愛を2人のダンスに例えるなら 僕らはもう曲を呑み込んでるんだから
君は僕についてこれるし 僕だって君についていける

  ねえ 今度は易しいかもしれないよ?
  愛は 束縛でもあり解放でもあるんだ

ウィリアム 君から指摘されたことを 僕はうまくやり通してきたよ
時には理解するのに手間取ったりもしたけれど
でも 以前にはわからなかったことが 今ならよくわかる
ぼんやりしていた僕は 何の兆しにも気づけなかったんだね

  ねえ 今度は単純かもしれないよ?
  愛が2人の謎を解き明かしてくれるよ

  ねえ 今度は明るく笑っていられるかもしれないよ?
  優しく抱きしめて 抱きしめられて
  途切れることのないリズムにのって 1つに溶け合うんだ
  さあ ウィリアム、僕と踊ろう……



8.ティル・ジ・アイズ・アジャスト

君 あまりにもまばゆい君
カーテンを開いた瞬間 目が慣れるまでの
君は朝の太陽のようだ
僕はくらくらしてしまった
まるで初めて色を知ったみたいに
何年もモノクロームだった僕の世界に
君は現れた 光り輝く虹のように

  持てるものは何もなかった けれど今は何かがある
  見えるものは何もなかった 君が光を照らしてくれるまでは

君 溢れるほどに満たしてくれる君
乾季に降り出した暴風雨のようだ
僕は不毛の砂漠だった そこに君は洪水のように
潤いの恵みを与えてくれた
お祈りなんてそんなにしないし 宗派もいい加減だけれど
口にしないではいられない祈りの言葉 それが君
君は僕の願いを叶えてくれた

  持てるものは何もなかった けれど今は何かがある
  聴こえるものは何もなかった この歌を歌うまでは
  僕の中は空っぽだった 君が満たしてくれるまでは
  見えるものは何もなかった 君が光を照らしてくれるまでは

君 あまりにもまばゆい君
カーテンを開いた瞬間 目が慣れるまでの
君は朝の太陽のようだ



9.ディア・ジョン
(作詞・作曲:シンディ・ローパー/ロブ・ハイマン/エリック・バジリアン)

親愛なるジョン
何か悩みでもあるのかい?
なりたい自分になれないはずがないじゃないか?
前にも言おうとしたけれど
そのときは解ってくれなかったね
世間は君を型に嵌めたがってるんだよ
なあ、君のことを知りもしない連中が、だよ?
だけど いまは堪えるんだ
僕の 僕の親愛なるジョン
たぶん 君は他の人とは違うかもしれない
でも それがいったい何だっていうんだ?

おざなりのアンコールなんかよりも
もっともっとたくさんの 生きる拠り所はあるものさ
他人から借りてきた言葉で
自分自身を定義することなんかできないよ
自分が何を考えてるかすら 君は自分で言えないじゃないか?
僕なんか 君が飲む酒の銘柄も知らないよ
だけど泣くんじゃないよ ジョン
人生はこの先も続いてく
親愛なるジョン
君は なりたい自分になれるんだよ?
そうじゃないか? 違うかい?

そうだろ? 君は宇宙飛行士にさえなれるんだよ
親愛なるジョン
親愛なるジョン



10.ドゥ・ユー・ウォナ・ワルツ

一度だけ答えてくれないか 柔らかく静かな声で
どのくらい近寄ればいい? 君の言うとおりに寄り添うよ
聴き取れないほどの囁き声 僕は喜んで従うよ
君の答えが聴こえるようにぴったりと 僕は君に凭れかかる
ワルツを踊らないか? ワルツで部屋中を回るんだ
ワルツを踊らないか? 君とワルツを踊りたいんだ

ネクタイ着用のこと でもきついなら緩めてもいいよ
夜と月明かりをバックに ぐるぐると回ろう
僕も君もリードはしなくていい ただ身を委ねるんだ
三拍子に合わせて大きくターンすればそれでいいんだ
ワルツを踊らないか? ワルツでフロアを横切るんだ
ワルツを踊らないか? もう少しワルツを踊りたいんだ


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2009.02.18 Top↑
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