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キヨシローさんが亡くなったことは凄くショックだったし、キヨシローさんの功績や人物を伝える記事がバンバン出ていることにも否定的な感想は抱いてないんだけど、高英男(こう・ひでお)さんの訃報がキヨシローさんの陰に隠れてしまっているのが非常に残念な藤嶋です。

まあ、今の時代、高英男さんの名前を知らない人のほうが多いだろうから、仕方のないことなんだろうけど……。

「雪の降る街を」シャンソン歌手・高英男さん死去(読売新聞、5月4日13時58分配信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090504-00000411-yom-ent

Queer Music Experience.でも藤嶋ブログでも未だに詳しくは紹介していないんですが、高英男さんは、日本で初めてのシャンソン歌手です。そして、雑誌『それいゆ』などで有名なイラストレーターであり、日本初のマルチ・クリエイターでもある、あの中原淳一さんの、生涯の恋人でした。高さんがレコード・デビューするにあたってプロデュースを手がけたのは、中原さんでした。

高英男さんは、「メイクをした男性歌手」の第一号としても有名です。ただし、高英男さんのメイクは、のちの美輪明宏さんやピーターさんのような女形(おやま)的なものではなく、宝塚歌劇団の男役スターの妖艶さを男性歌手が演じる、というものでした。中原淳一さんのアイデアによるという、この高英男さんの個性は、今でも唯一無二のものです。

俳優としても、SFホラー『吸血鬼ゴケミドロ』(今年に入ってから、廉価版DVDが発売されています)に主演。これにより、特撮ファンのあいだでは、高英男さんはカルトホラー俳優としてよく知られています。裏を返せば、高英男さんが歌手であることを知らないファンも数多い、ということなのですが、あの美輪明宏さんでさえ、近年のスピリチュアル・ブームを通じて美輪さんのファンになったという若いかたたちのあいだでは、美輪さんが歌手であることを知らない人も多いということを、美輪さんご本人がテレビ番組で述べておられたので(NHK総合『SONGS』第63回、2008年10月15日放送分)、いわんや高英男さんをや。これもまた、仕方のないことかもしれません。

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(2009/01/28)
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比較的近年に、コラムニストの竜超(りゅう・すすむ)さんが、ゲイ雑誌『バディ』誌での連載コラムの中で、中原淳一さんと高英男さんについて書かれていたことがありました。その記事を読んだ若い読者のかたは、ひょっとしたら高英男さんの名前を記憶していらっしゃるかもしれません。しかし、CD化されている高さんの録音は必ずしも多くはなく(おそらく、現存している音源が少ないことが理由だと思います)、再評価の機運が大きく高まることのないまま、高さんは5月4日、天国へと旅立たれてしまいました。

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中原淳一さんは、最晩年の病床の世話を、奥さんの葦原邦子さんや息子さんにではなく、高英男さんに頼んだといいます(ちなみに、葦原邦子さんは戦前の宝塚歌劇団の男役スターとして有名だったかたです)。中原さんの死後、中原さんの息子さんは著書の中で、「男の愛人に父を奪われた」という趣旨のことを書かれています。お父上が同性愛者であったという事実と向かい合う作業は、私が想像する以上に大きな困惑と混乱を伴うとは思いますが、それにしたところで、当時は高さんがご存命だった以上、これって事実上のアウティングですよね……。

高英男さんのおくやみ記事を読むと、喪主は姪御さんとなっているので、高さんはおそらく、生涯独身を貫いたのではないかと思います(このエントリを書いている時点では、高さんが結婚されていたという話をネット上で確認することができなかったので)。竜超さんは、高英男さんの訃報について「月並みな物言いだが、彼岸の中原先生とぶじ再会できることを祈るばかり。合掌。」とブログで記されています。私も同じ気持ちです。



亡くなる半年前まで、90歳の現役歌手としてステージに立ち続けていた高英男さん。日本のLGBTアーティストの源流に位置する偉大なお一人として、いずれ Queer Music Experience.のほうに、このエントリで書いた内容を整えて、バイオグラフィーとしてアップロードしようと思っています。

“雪の降る街を”
(Live, 1976)




ちなみに、『吸血鬼ゴケミドロ』の予告篇はこちら。



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2009.05.06 Top↑
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