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今回のエントリは、本来なら Gay Life Japan のほうで連載させてもらっている「藤嶋貴樹のゲイミュージックワールド」に掲載するつもりだった、日本のゲイ・インディーズの話題です。

が。

非常に情けないことに、藤嶋は取材後に体調を大幅に崩してしまいまして、なんとか起き上がれるようになってからも、しばらくはパソコンの画面と長時間向かい合っているのがきつい状態が続きました。そのパソコンも、機種が古いために動作の不具合が多く、リカバリ等の余分な作業に時間を取られがちのため、執筆が大幅に遅れてしまいました。これがアーティストの紹介記事ならば、記事の完成が遅れたとしても「ゲイミュージックワールド」に掲載するのに支障はなかったのですが、いかんせん内容がライヴ・イヴェントのレポートだったため、適切な掲載の時期を完全に逸してしまいました。関係者のみなさま、本当に申し訳ありません……。

しかし、「記事を書きます!」と宣言したからには、たとえ時間が開いてしまっても、ちゃんと記事の形にしてまとめておきたかったので、即時性を著しく欠いてはしまいましたが、こちらのブログ版 Queer Music Experience.のほうに掲載させていただきます。



去る5月28日、新宿2丁目の club ArcH にて、マダム・ピロガネーゼさんの4th シングル「わがままアリスはブギウギモード♪」のレコ発パーティー『キャバレー☆ピロガネーゼ歌謡祭 2009春』が開催されました。

(うわああああ、もう2ヶ月近い時間が経っちゃってるよ……。ピロガネーゼさん、ごめんなさいぃぃぃぃ)

さて、「ゲイミュージックワールド」のほうでは既に何度かご紹介させていただいているのですが、マダム・ピロガネーゼさんは「歌うドラァグ・クイーン」です。

↓↓↓ 試聴はこちら! ↓↓↓
マダム・ピロガネーゼ MySpace
http://www.myspace.com/piroganaise


ドラァグ・クイーンのみなさんのパフォーマンスというと、リップシンクが主流というイメージがなんとなくあるんですが、生歌でパフォーマンスされるドラァグクイーンのみなさんも、もちろんたくさんいらっしゃいます。

たとえば、日本のドラァグ・クイーンの最古参のお一人であるシモーヌ深雪さんは、シャンソン歌手でいらっしゃいます。CDのリリースも行なわれているかたとしては、他にオナン・スペルマーメイドさんが2001年に組曲的なコンセプトのシャンソンのマキシ・シングル『Blue Child』を、そしてギャランティーク和恵さんが2007年に日本の歌謡曲のカヴァー・アルバム『Beautiful Album~ビューティフル・アルバム』をリリースされています。

BLUE CHILDBLUE CHILD
(2001/12/23)
ONAN SPELMERMAID

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ビューティフル・アルバムビューティフル・アルバム
(2007/11/21)
ギャランティーク和恵

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シモーヌ深雪さんやオナン・スペルマーメイドさんはシャンソン、そしてギャランティーク和恵さんは歌謡曲ですが、それ以外のジャンルとしては女性アイドル・ポップス路線の楽曲を歌うドラァグ・クイーンのかたがたもいらっしゃいます。

その代表格は、博多あややさん。

2004年ごろから2006年ごろにかけて、日本全国を股にかけて数々のゲイ・クラブ・イヴェントのショー・タイムで活躍しただけでなく、ゲイ・インディーズ・シーンでも非常に大きな功績を遺しました。博多あややさんのファースト・シングルは、ゲイ・インディーズ・シーンでリリースされた数多のCDの中でも、最も高いセールスを記録した作品の一つです。

博多あややさんの特徴は、そのお名前からもわかるとおり、「既存の女性アイドルのパロディ」であったことでした。これは博多あややさんに限らず、田中守さんやミルフィーユといった、ゲイ・インディーズ・シーンの女性アイドル路線のアーティストさん全般に共通して言える要素です。

対して、マダム・ピロガネーゼさんは、既存の女性アイドルの戯画ではなく、「マダム・ピロガネーゼというオリジナルの女性アイドルを、ゼロから創造する」というコンセプトのドラァグ・クイーンです。

戯画という性質が希薄だからこそ、ピロガネーゼさんのメイクや髪型、衣装には、ドラァグ・クイーンの大きな特徴である過剰さも希薄です。ドラァグ・クイーンという存在は「女性性の戯画」というところからスタートしているので、その点からもピロガネーゼさんは異色の存在です。



そんなピロガネーゼさんのレコ発ライヴでもあった、5月28日の『キャバレー☆ピロガネーゼ歌謡祭 2009春』は、ゲストの出演者のみなさんも、ピロガネーゼさんと同じく、全員がゲイ・アイドル路線のアーティストさんやドラァグ・クイーンのかたがたでした。

女性アイドル路線のドラァグ・クイーンのかたがたが集まったクラブ・イヴェントは、これ以前にも開催されているようです。私の知っている限りでは、2005年10月に、大阪で『堂山アイドル祭り』というイヴェントが開催されて、博多あややさんを始めとしたアイドル路線のドラァグのかたがたがショーを行なったそうです。

しかし、この『キャバレー☆ピロガネーゼ歌謡祭 2009春』が画期的であったのは、出演者の顔触れがドラァグ・クイーンのかたがたに限られてはいなかった、ということです。今回のイヴェントには、岡本忍さんと虹組ファイツという、ゲイ・インディーズ・シーンにおける女性アイドル・ポップス路線の流れを継いだ、女装とは異なるアプローチの2組のアーティストさんも出演されました。

つまり、今回の『キャバレー☆ピロガネーゼ歌謡祭 2009春』は、ゲイ・クラブ・シーンとゲイ・インディーズ・シーンという2つの世界でそれぞれ独自に進化を遂げてきた「ゲイ・アイドル」という存在が、一堂に会したイヴェントだったんです。

そして、この日に新しくリリースされたピロガネーゼさんの新曲「わがままアリスはブギウギモード♪」の作・編曲を手がけているのは、日本のゲイ・インディーズ・シーンにおける女性アイドル・ポップス路線の第一人者である、田中守さん。

このコラボレーションに象徴されるように、マダム・ピロガネーゼさんは、ゲイ・クラブ・シーンとゲイ・インディーズ・シーンの橋渡し役を担うことによって、日本のゲイ・カルチャーに「ゲイ・アイドル」という一大領域を築き上げつつあるのです。



さて、この日のライヴは二部構成。

第一部は、これまでのピロガネーゼさんのシングルを手がけてこられたサトベタケシさんのピアノ伴奏による、アコースティック・ライヴからスタート。

マダム・ピロガネーゼ1これまでにもピロガネーゼさんは、こうしたクラブ・イヴェントでアコースティック・ライヴを行なってきたそうなんですが、私には全くの初体験。自身のオリジナル曲のリアレンジ・ヴァージョンはもとより、スタンダード・ナンバーなどもしっとりと歌い上げ、ゲイ・インディーズでのライヴ・イヴェントではまだ見せたことのない、アイドルというよりはむしろヴォーカリストと呼ぶにふさわしい、アーティスティックな側面も披露してくださいました。

そしてアコースティック・ライヴの後は、ダンサーのサトミ・ストレートさんと Yo さんのお二人がステージに登場。可愛らしくもエネルギッシュなパフォーマンスに、フロアーの熱気はここで一気に高まりました。

この他にも、第一部には岡本忍さんが登場。藤嶋の大好きな「妄想ジャックオフ少年」を、このイヴェントでも披露してくれました。歌いながら衣装の制服のズボンを下ろして下着を開陳するという、本人よりも観ているほうが汗をかくパフォーマンスで(笑)、会場を大いに沸かせてくれました。

そして、岡本忍さんとピロガネーゼさんのお二人とで、うしろめ隊の「えっちな*あすたりすく」をカヴァー。うしろめ隊は、その名前からもすぐ想像がつくとおり、うしろ髪ひかれ隊、ないしはうしろ指さされ組のパロディ。それらのグループがおニャン子クラブを母体としたユニット内ユニットであったのと同じく、こちらのうしろめ隊は、2003年から2005年にかけてゲイ・インディーズ・シーンで活躍したゲイ・アイドル・グループ、ミルフィーユの田中守さんと柴田ケソコさんのお二人によるユニット内ユニットでした。「えっちな*あすたりすく」は、うしろめ隊が2005年にリリースした唯一のシングルで、うしろ指さされ組の同名デビュー曲のパロディ。まさかこの曲をライヴで聴ける日が来ようとは(笑)。同年にリリースされたミルフィーユのベスト・アルバムにスペシャル・メッセージを寄稿している藤嶋としては、ちょっとした嬉しいサプライズだったのでした。



第二部では、ピロガネーゼさんはニュー・シングルのジャケット写真で着用していた、『不思議の国のアリス』の青いエプロン・ドレスに衣装をチェンジ。

桜爛カバコそして、第二部のゲストには、ゲイ・クラブ・シーンから「四十路清純派アイドル」がキャッチ・コピーの短髪ドラァグ・クイーン、桜爛カバコさんが登場。

桜爛カバコさんのパフォーマンスを観るのは私には初めてだったんですが、歌の途中でフロアーに降りて、会場にいらっしゃったみなさんに、サイン・カードならぬキス・カードを一人ひとりに配りながら歌うという、超ハイ・テンションなパフォーマンスでした。

博多あややさんのような戯画性や、あるいはピロガネーゼさんのように女性アイドル特有の記号性をデコレートしたスタイルではなく、かといってリップシンクでショーを行なっているドラァグ・クイーンのみなさんのように「元ネタとのギャップ」や「元ネタの文脈の読み替え」を核としたスタイルでもなく、桜爛カバコさんは「ゲイ・アイドル」としてはもちろんのこと、「オリジナル曲を歌うドラァグ・クイーン」としても異彩を放つ、超個性派のかたです。

ちなみに、カバコさんがフロアーに降りてキス・カードを配りながら歌っているあいだ、藤嶋はいかにも「私は取材で来ています」という風情でカメラを構えていたせいか、カバコさんからはキス・カードをもらえなかったんですが(笑)、カバコさんのパフォーマンスが終了した後、MCとしてステージに登場したピロガネーゼさんが、「取材の参考資料に一枚どうぞ」といって、ステージ上から藤嶋に、カバコさんのキス・カードをくださいました。ステージの上からいじってもらえて光栄です(笑)。

これが件のキス・カード。一枚一枚、本物(!)のキス・マークが施されています。
桜爛カバコさんのキス・カード


虹組ファイツ他にも、第二部には虹組ファイツが登場。既に「ゲイミュージックワールド」の第7回でも紹介していますが、この虹組ファイツは、mixi のコミュニティ「ゲイアイドルグループをつくろう」を通じてメンバー募集が行なわれた、「LGBTシーンで活動する『ゲイアイドルグループごっこ』を楽しむサークル集団」というコンセプトのグループです。まずは「登録メンバー」としてコミュニティを通じてグループに参加し、そしてライヴやレコーディングなどのイヴェントに参加できるメンバーは「選抜メンバー」として実際の活動を行なっていくというシステムです。つまり、レコーディングやライヴ出演のたびに、参加メンバーの顔触れは変動するというところが、虹組ファイツの大きな特色。このエントリを書いている時点で、虹組ファイツは「選抜メンバー」の人数だけでも既に20人を超えています。正直なところ、藤嶋が実際にやりとりをしたことのある一部のメンバーのかた以外は、もう誰が誰だか全然わかりません(笑)。

虹組ファイツのライヴ出演は、「ゲイミュージックワールド」の第7回にレポートを掲載した、2009年4月11日開催の『INSIDE OUT the LIVE 2009 SPRING』に続いて、これが2回目。メンバーの顔触れも前回とは微妙に異なっています。ライヴごとに出演メンバーに変動があるわけですから、どのイヴェントでのパフォーマンスが本来の虹組の姿なのかという話はさほど大きな意味を持たないのですが、それでもこの日のライヴは、前回のパフォーマンスと比べて、「これこそが虹組の本来の姿だ!」と思わせるものがありました。

前回のライヴでは虹組ファイツはスタンド・マイクを使用していたんですが、この日のパフォーマンスではハンド・マイクを使用。立ち位置が限定されないぶん、フォーメーションがふんだんに盛り込まれていて、よりアイドル・グループらしいダンサブルなパフォーマンスとなっていました。

加えて、前回はほとんどのメンバーのかたがライヴ初体験ということもあって、どちらかといえば硬さのほうが目立っていたのですが、この日のライヴでは、どのメンバーのかたも動きや表情が実にイキイキとしていて、「LGBTシーンで活動する『ゲイアイドルグループごっこ』を楽しむサークル集団」という虹組ファイツのコンセプトが、見事に具現化されていました。

コンセプトが「ごっこ」であるからには、虹組ファイツのパフォーマンスの成否は、人前で歌って踊ることをメンバーのみなさんがどれだけ楽しんでいるか、そしてその「楽しい!」という思いが、オーディエンスの目と耳に、どれだけ伝わってくるか、というところにかかっています。その点で、この日の虹組ファイツのパフォーマンスは、文句なしの大成功でした。ブラボー!



そして、最後はもちろん、この日の主役であるマダム・ピロガネーゼさんのパフォーマンスで大団円。新曲「わがままアリスはブギウギモード♪」は、作者である田中守さんにとってもピロガネーゼさんにとっても新境地の、オサレなチャールストン歌謡曲。このパフォーマンスの模様を、ピロガネーゼさんご本人が YouTube にアップロードしておられるので、ぜひ動画でお楽しみください。



“わがままアリスはブギウギモード♪”
(2009)




最後に、今回の出演者のみなさんのCDについてですが、マダム・ピロガネーゼさんのCDは、今のところはライヴ会場での販売のみとなっています。ピロガネーゼさんのCDが欲しい! というかたは、ぜひピロガネーゼさんが出演されるイヴェントに実際に足をお運びになってみてください。出演情報は、ピロガネーゼさんのブログにて。

2丁目アイドル、胸キュン☆日記
http://ameblo.jp/m-piro/


虹組ファイツは、現状ではCDのリリースを行なっていませんが、MySpace にて楽曲のフルコーラス無料配信が行なわれています。そちらでお楽しみください。

虹組ファイツ MySpace
http://www.myspace.com/nijigumifights



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2009.07.25 Top↑
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