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アメリカは、移民の国です。言うまでもないことですが。

さまざまな国の、さまざまな文化を持ったさまざまな民族が集まって、アメリカという一つの巨大な国家を形成しています。

ということは。

アメリカのインディペンデントLGBTミュージック・シーンにも、当然、日系のアーティストさんはいらっしゃるわけです。

たとえば、ニューヨークを拠点としているフォーク・ロック・トリオ、ガーリーマンには、日系のゲイ女子アーティスト、ドリス・ムラマツさんが参加しています。

そして、今回のエントリで紹介させていただくインディペンデントLGBTアーティスト、ダニー・カッツさんも、やはり日系のかたです。

ダニー・カッツ MySpace
http://www.myspace.com/dannykatz


彼の MySpace を覗いてみると、背景画像のダニーさんは、『ヒーローズ』のヒロ・ナカムラが着ていた「場違い」ジャージを彷彿とさせる、「頭が固い」というゴシック体のロゴが入ったTシャツ姿(笑)。ヒロ・ナカムラを演じていたマシ・オカの「場違い」ジャージが確信犯であるのと同じく、ダニーさんの「頭が固い」Tシャツも、たぶん確信犯。つまりジョーク。

そしてプロフィール画像は三味線を抱えての和服姿。こちらはジョークなどではなく、彼は実際に、この春にニューヨークで開催されたジャパニーズ・チェリーブラッサム・フェスティヴァル(とプロフィール欄に書いてあった)で三味線の演奏を披露したんだそうです。最近では琴も習い始めたんだそうですよ。ダニーさんは自身の日本の血に誇りを持ち、日本に暮らす私たちよりもさらに強く、日本の伝統音楽を愛しているアーティストさんです。さらにライヴでは J-POP のカヴァーなども演奏しているそうです。いったい誰の曲をカヴァーしてるんだろう? ひょっとしたら中島みゆきさんだったりして(笑)。



藤嶋がダニーさんと知り合ったのは、MySpace がきっかけです。ダニーさんの存在は Queer Music Experience.開設当初から既に存じ上げてはいたのですが、直接のやりとりはありませんでした。しかし、ありがたいことに MySpace を通じてダニーさんからメッセージをいただき、そこでダニーさんとの交流が始まりました。それは去る5月23日に東京・代々木公園イベント広場にて開催された、第1回東京プライド・フェスティバルの直前のことだったのですが、偶然にもダニーさんは5月22日から6月初旬まで日本に滞在する予定だったので、彼にも日本のインディペンデントLGBTミュージックを体験してほしいと思い、藤嶋はプライド・フェスティバルにダニーさんをお誘いしました。

そして当日、藤嶋は無事ダニーさんと実際にお会いすることができましたー!

というわけで、藤嶋にとってダニーさんは、初めて実際に対面の叶った、アメリカのインディペンデントLGBTアーティストなんです。こんなふうに日米のインディペンデントLGBTミュージック・シーンのあいだにオフラインでの交流が生まれる日を、藤嶋はどんなに待ち焦がれていたことか……!

ちなみに、藤嶋は英語をほとんど話せません。読み書きなら多少はできますが、会話となるとまるで駄目です。そんな藤嶋が、ダニーさんと実際に対面して会話を楽しむことができたのは、彼が完璧な日本語を話せるかただったからです。

(せっかく対面が叶ったというのに、うっかりしてダニーさんとのツー・ショット写真を撮るのを忘れた莫迦な私……。嗚呼……。)



ダニーさんのお母さまは日本のかただそうです。アメリカで育ったダニーさんは学生のころには筑波大学に留学して、学内のゲイ・サークルの運営にも携わっていた経験があるそうです。また、今は無きゲイ雑誌『アドン』の編集長でいらした南定四郎さんが実行委員長を務められていたころ(1990年代中期~後期)の東京レズビアン・ゲイ・パレードにも、ダニーさんは参加経験があるそうです。

その話をうかがった藤嶋と南部直史は、「それって、ものすごく貴重な体験だよ!」と吃驚したのですが(というのも、私や南部、ダニーさんぐらいの年齢のゲイのかたで、南さんが実行委員長の時代のゲイ・パレードを体験なさっているかたは、世代的にいって、たぶん今ほど多くはいらっしゃらないと思うので)、普段はアメリカで生活なさっているダニーさんには、その体験のレア度が実感できないらしく、私と南部の驚きをよそに、「ふーん」と淡白なリアクション(笑)。

今回の第1回東京プライド・フェスティバルに、ダニーさんは大いに感銘を受けたご様子でした。これについては、私が Gay Life Japan の中で書いたレポート記事でも既に触れていることなのですが、ダニーさんの目には、今回の東京プライド・フェスティバルと、そこで公開収録が行なわれたNHK教育テレビの福祉番組『ハートをつなごう』の内容が「とっても日本的」に映ったんだそうです。もちろん、良い意味で。

以下は、私が Gay Life Japan に書いた東京プライド・フェスティバルのレポート記事からの引用です。

 アメリカのゲイ・リブのあり方というのは、映画『MILK』を観れば明らかなように、マイノリティであるゲイが政治的・経済的に力をつけ、そのゲイ・パワーを異性愛社会にアピールすることによって、その歴史を積み重ねてきました。アメリカのプライド・フェスティバルも、原則的にはゲイ・パワーのアピールの場として成立しています。対して、今回の TOKYO Pride Festival と『ハートをつなごう』は、市井に暮らすLGBTの一人ひとりのライフ・ヒストリーを丹念に積み重ねていくことによって成立しています。こうした一人ひとりのライフ・ヒストリーに立脚するというゲイ・リブのあり方は、日本のゲイ・リブの転換点となった伏見憲明さんの1991年の処女作『プライベート・ゲイ・ライフ』によって決定づけられたものですが、こうしたアプローチは、ダニーさんに言わせれば、アメリカのプライド・フェスティバルではまず考えられない、非常に日本的な切り口なんだそうです。ごく平凡な一市民として生活しているLGBTのライフ・ヒストリーを、興味本位でもスキャンダラスにでもなく誠実に取材し、そして丁寧に積み重ねていくことによって、理解とシンパシーを人々のあいだに広げていく。そうした『ハートをつなごう』と TOKYO Pride Festival のあり方は、ニューヨークで育ってきたダニーさんの目には、とても新鮮で、感動的に映ったそうなんです。


そして、『ハートをつなごう』の公開収録のエンディング、ミュージシャンのオオヤユウスケさんのライヴ・パフォーマンスと、司会のソニンさんとゲストの前田健さんによるリーディングを、ダニーさんは泣きながらご覧になっていました。

この日の別れ際、ダニーさんは藤嶋に、次のようにおっしゃってくださいました。

「ニューヨークのプライド・フェスティバルに参加するよりも、こうして日本のプライド・フェスティバルに参加できたことのほうが、自分にとっては意味があった。誘ってくれて本当にありがとう」




さて、それではダニーさんの音源をご紹介いたします。

ダニーさんは、2002年にアルバム『Landscape』、2007年にはアルバム『Strangely Beautiful』をリリースされています。

現時点での最新作である『Strangely Beautiful』は、全体的なサウンドはギター・ポップを基調としているのですが、ところどころにエレクトロニカの要素が入り込んでいるのが特徴的です。これは、アメリカのLGBT向けケーブルTV局 here!が新しく設立したレコード・レーベル、here! tunes の第1号アーティストである、スチュワート・ルイスさんなどにも共通して見られる要素です。

ただし、ダニーさんの場合は、ギター・サウンドとエレクトロニカとの配合具合が曲によってさまざまで、よりフレキシブルな印象です。たとえば、ほぼ純然たるギター・ポップもあれば、限りなくエレクトロニカに近い曲もあり、1枚のアルバムの中で非常に大きな振幅がつけられています。

『Strangely Beautiful』ジャケット
『Strangely Beautiful』


たとえば、オープニング曲の「Please Don't Leave Me for Ohio」や、2曲目の「Goodbye WillyB」は完全にギター中心の音作りなんですが、3曲目の「Even I've Got Standards」は、一転してエレクトロニカ寄りのサウンドです。

ギター・サウンドとエレクトロニカの要素がほぼ拮抗しているのが、10曲目の「Tongue」。ロッカ・バラードにエレクトロニカのリズム・プログラミングが施され、さらにサビの部分では三味線の音も加わるという、日系のダニーさんならではの、実にユニークなアレンジの楽曲です。

プロモーション・ヴィデオが製作されているのは、先述した「Even I've Got Standards」。インターネットの出会い系サイトをモチーフとした、ユーモラスな曲です。YouTube の音質だとちょっとわかりにくいのですが、ここではボコーダーも使用されていて、アルバム収録曲中では最もエレクトロニカ寄りの楽曲です。



"Even I've Got Standards"
(2007)


Strangely BeautifulStrangely Beautiful
(2007/03/13)
Danny Katz

商品詳細を見る


みなさんもぜひ、ダニー・カッツさんの『Strangely Beautiful』を聴いてみてください。『Strangely Beautiful』は、amazon.co.jp の他、CDBaby(英語)や iTunes Store(日本語)でも購入可能です。

CDBaby | Danny Katz | Strangely Beautiful
(ボーナス・トラックを除いた全曲が試聴可能です)

iTunes Store > Danny Katz > Strangely Beautiful




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2009.08.02 Top↑
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