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都営新宿線の新宿三丁目駅改札を抜けた目の前の掲示板に張ってあるポスターが、ここんとこ、ずーっと気になってました。

件のポスターがコレ。
「新宿二丁目・迷い道」ポスター


新宿の地下道は、二丁目に向かうゲイの人たちを意識した広告が、わりと増加傾向にあって、男性用下着の広告も多いし、映画『MILK』のDVDのポスターとかも張られているんだけど、この『新宿二丁目・迷い道』のポスターも、そうした種類のうちの一つだと思います。

画像を見ていただければわかるかと思いますが、このポスターには「歌詞カード! ご自由にお持ちください!」と書かれたポケットがついていて、この画像を撮影したときには、歌詞カードは全部捌けていました。ということは、この曲に興味を示した通りすがりの人がそれなりの数で存在しているはずなんですが、藤嶋の周辺からはこれといった反響が聴こえてきません。ネット上でもあんまり話題になってません。まあ、ポスターのサイズが小っちゃいから、それほど気づかれてないってのもあるかもしれませんが。

この「浜博也」さんというかたの名前を藤嶋は存じ上げていなかったので、この曲がどんなジャンルなのかもわからなかったんだけど、発売元はテイチクだし、タイトルの雰囲気からしてこれは演歌だろうなーと思ったので、先日、紀伊国屋書店ビル内のテイトムセンに足を運んでみました。演歌のCDを買うなら、タワレコよりもこっちのテイトムセンのほうが、品揃えが良いので。

そうしたら、ビンゴ! なんと平積みで売ってました(笑)。さっそく購入。
演歌ってさ、「銀座」とか「赤坂」とか、夜の街の描写がよく出てくるじゃない? それらの町名が、「新宿二丁目」に置き換わっているイメージを思い浮かべてもらえれば、この曲の雰囲気がつかめてもらえるかと思います。

この曲の歌詞は、特定の主人公の恋愛ドラマを歌っているのではなく、歓楽街としての新宿二丁目を一歩引いたところから俯瞰して、そこで繰り広げられている(であろうと思われている)人間模様の性格を歌い上げた、ご当地歌謡です。だからこそ、ゲイを象徴する「新宿二丁目」という記号をドーンと前面に出しつつも、そのテーマが性的指向そのものには流れていかないから、オープンリー・ゲイのタレントさんが歌われているメジャー級 J-POP にありがちな色モノ感が、この曲にはほとんどないんですね。

まあ、日頃から新宿二丁目に足繁く通われているかたからしてみれば、ちょっと笑えてしまう雰囲気もあることはあるんだけど、でもご当地歌謡というのは、すべからくそういうものでしょ? だって歌謡曲というのはファンタジーだから。銀座とか赤坂を題材としたムード歌謡も、それらの街に日頃から通われているかたたちにしてみれば、結構笑えちゃうもののはずです。だから新宿二丁目だけがどうこうという話でもないわけなんです。

まあ、「新宿二丁目」という町名自体を色モノ視している人には、藤嶋の言わんとしているニュアンスは伝わりにくいかもしれませんが。

カップリングの「愛しい男よ」も、最初にポスターを見たときは「大胆なタイトルだなー」って思ったけど、よくよく考えてみたら、演歌の世界では男性歌手が女性の心情を歌うということは珍しくもなんともないので、こちらにも色モノ感は皆無。

そもそも、冒頭で紹介したポスター自体、ちゃんと二丁目でロケが行なわれているにもかかわらず、色モノ感がないでしょ? 



主流の文化の中で、LGBTカルチャーが色モノとかキワモノとして描写されることについて、批判的な見解を持っていらっしゃる当事者のかたも、少なからずいらっしゃることと思います。でも、だからといって、LGBTの可視化のためにトーンを抑えるという傾向が過剰になると、それは結果としてLGBT固有の文化の消失という事態にも繋がりかねません。それを実際にやってしまったのがここ数年のゲイ・インディーズだったわけですが。(前回のエントリを参照のこと)

結局ね、これらのことは、何が正しくて何が間違っているかという二元論で斬ろうとすること自体に無理があると思うんですよ。アーティストの個性のありようとか、その時々のシーンの状況といった要因もすべて含めて論じるべきことであって、あくまでもケース・バイ・ケースなんですね。

この『新宿二丁目・迷い道』について言うと、ゲイを象徴する「新宿二丁目」という記号を、タイトルおよびサビの部分でドーンと前面に出しながら、しかし色モノ感は皆無という、ある意味では非常に二律背反的なサジ加減が、きっちり実現されてるんですよね。これって、実はかなり難しいことです。それが実現できたのは、この曲が演歌だから。たぶん、ロックとかポップスの分野では、この絶妙なサジ加減は、少なくとも現状では実現不可能。

主流のロックとかポップスにおけるLGBTカルチャーの可視化っていうのは、ゲイの記号を前面に出した場合にはそれだけで色モノ扱いされるし、それを回避しようとすると、多くの場合はダブル・ミーニングとか多義性に走らざるを得ないのが普通でしょ? 普通っていうか、少なくとも現状ではそうでしょ? でも、この『新宿二丁目・迷い道』の場合は、ゲイの記号を前面に出しつつ、良い意味で全くもって普通の演歌なの。

どちらかといえば派手でキャムプなものに心が沸き立つタイプの藤嶋にとって、『新宿二丁目・迷い道』という曲は、やや薄味に感じられるんだけれども、でも上述のような理由によって、かなり画期的な曲だなーと思ってます。

それに、発売元はテイチク。つまり、メジャー・レーベル作品ですよ!

メジャー・レーベルでこういう作品が実現できたのも、やっぱりこの曲が演歌だからでしょう。ロックやポップスで「新宿二丁目」という記号を前面に出そうとすると、色モノ路線か、さもなくばエロティシズム全開という路線でなければ、レーベル側がリリースを許してくれないと思う。



さて、この曲を歌っている浜博也さんのことを藤嶋は全く存じ上げていなかったので、インターネットで調べてみました。そうしたら、この浜博也さんって、東京ロマンチカのリード・ヴォーカル(三代目)だったそうで。全然知らんかったです。

以下、テイチク・レコードのサイトから、浜さんのプロフィールを引用。

昭和57年、TBSテレビ「11時に歌いましょう」にてグランドチャンピオンを獲得。東京ロマンチカのリーダー鶴岡氏よりスカウトされ、同年4月、"鶴岡雅義と東京ロマンチカ"3代目のリードボーカル縣浩也として、歌謡界に颯爽とデビュー。十数年に渡り、その透き通る高音と都会的なムードで全国の歌謡ファンを魅了し続けた。平成6年、元衆議院議員の浜田幸一氏と運命的な出会いを果たし、芸名も浜博也と改め、同氏作曲による『男の浪漫』を日本クラウンより発売。これを機に東京ロマンチカからソロ歌手として旅立ち、その後、『おまえがすべてさ』『おまえに逢いたい』がスマッシュヒット。アルバムも3枚リリース、浜博也という名前は全国的に知られるようになり、 2002年11月には新宿厚生年金会館において20周年リサイタルを大成功のうちに収める。2003年、浜博也はさらなる飛翔を胸に、テイチクレコードに移籍、 2003年7月24日発売の新曲『別れても…神戸』に全力投球する。

どうやら、このプロフィールによれば、「浜博也」という芸名の「浜」は、ハマコーさんの「浜」のようです。

浜さんの性的指向がどうであれ、こういう楽曲を歌ってくれただけで、私は浜さんのことを、素晴らしい歌い手さんだと思います。浜さんがノンケさんであるなら尚のこと、こうした楽曲を歌っていらっしゃるのは素晴らしいことですよね。だって、浜さんが笑いやセンセーショナリズムのために二丁目を題材にしているのではないことは、実際の楽曲を聴けばすぐにわかることだから。



こぶしdeねっと / 浜 博也
http://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/hama/



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2009.10.26 Top↑
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