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三十代以上のみなさんであれば、森川由加里さんのシングル曲 「SHOW ME」の大ヒットを、よくご記憶のことと思います。明石家さんまさんと大竹しのぶさんが主演した元祖トレンディ・ドラマ『男女7人夏物語』の続篇『男女7人秋物語』の主題歌でした。

※森川由加里「SHOW ME」
(PVが存在していたことを、今回初めて知りました)


この「SHOW ME」は、森川由加里さんがオリジナルではありません。アメリカの3人組ガール・グループ、ザ・カヴァー・ガールズによるクラブ・ヒットが原曲です。

※カヴァー・ガールズ「Show Me」のPV


カヴァー・ガールズは、フリースタイルというジャンルに属しています。これがどういう種類の音楽なのかというと、それこそ「SHOW ME」がいちばんわかりやすい例なのですが、一口で説明してしまうと、ラテン・ミュージックの要素が強いエレクトロニック・ダンス・ミュージックのことです。前奏や間奏のリフレイン、そしてサビの部分の裏メロなどに大きな特徴があります。マイアミのクラブ・シーンが発信源で、'80年代後半から'90年代初頭にかけて、世界中のクラブ・シーンで流行しました。

このフリースタイルに分類されるアーティストのうち、最も大きな成功を収めたのが、今回のエントリの主役、エクスポゼ(Exposé)です。

エクスポゼは、ジーネット・ジュラドゥ、アン・カーレス、そしてジョイア・ブルーノの3人の女性によるヴォーカル・グループです。

彼女たちはクラブ・シーンだけではなく、『Billboard』誌の Top100でも次々と Top10ヒットを放った、'80年代におけるガール・グループの最高峰の1つです。1987年の1st アルバム『エクスポージャー (Exposure)』からは、4曲のシングルが Top10ヒットを記録。そのうち5th シングル「シーズン・チェンジ (Seasons Change)」は全米 No.1。1989年の2nd アルバム『恋のダンス・パラダイス (What You Don't Know)』からは、3曲の全米 Top10ヒットが生まれました。

女性3人によるヴォーカル・グループという形態は、アメリカの音楽界においては、実は伝統的といってもいいほどありふれたものですが、エクスポゼがそれ以前のガール・グループと大きく異なっていたのは、曲によってリード・ヴォーカルの担当が入れ替わる、ということでした。それ以前のアメリカのガール・グループは、映画『ドリームガールズ (Dreamgirls)』を観てもわかるとおり、リード・ヴォーカルとコーラスの役割分担は、完全に固定されているのが一般的でした。ところが、エクスポゼの3人は、曲によって「グループの顔」が入れ替わるというスタイルを採用し、しかも継続的に Top10ヒットを生み出した、当時としては画期的なガール・グループでした。

エクスポゼの3人のうち、最もオーソドックスなヴォーカルを聴かせてくれるのが、ジーネット・ジュラドゥ。アップテンポからバラードまで、どんな曲調でも器用に歌いこなす、誰の耳にも心地良い歌声の持ち主です。アン・カーレスはジーネットよりも幾分細い、響きの少ない声質。そしてメンバーの中でいちばん個性的なヴォーカルを聴かせるのが、ジョイア・ブルーノです。もしも英語にべらんめえ調というものがあったなら、きっとこういう感じだろうというような、ねっとりと絡みつく、ドスの効いたハスキー・ヴォイスが彼女の特徴です。

1st アルバム『エクスポージャー』からのシングルのうち、最初にヒットした3rd シングル「カム・ゴー・ウィズ・ミー (Come Go With Me)」(全米5位)のリードはジーネット。リイシューされて Top5を記録した1st シングル「ポイント・オブ・ノー・リターン (Point of No Return)」(全米5位)のリードはアン。4th シングル「レット・ミー・ビー・ザ・ワン (Let Me Be The One)」(全米7位)のリードはジョイア。そして、再びジーネットがリードを取った5th シングル「シーズン・チェンジ」で、ついに彼女たちは全米 No.1を手にしました。

エクスポージャーエクスポージャー
(1987/11/10)
エクスポゼ

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さてさて、LGBTミュージックがテーマのこのブログで、どうしてこんなにも長々とエクスポゼについて書いているのかというとですね、実は先日(6月24日)、アメリカのメジャー・ゲイ雑誌『The Advocate』誌のサイトに、ジョイア・ブルーノが薬物の不法所持で昨年の4月に逮捕されていたという記事が、掲載されていたからなんです。

Bi Pop Singer Hit with Drug Charges (The Advocate.com, 2010.6.24)

そして、ジョイア・ブルーノの逮捕が The Advocate.com で話題になった理由というのは、記事の見出しにもあるとおり、ジョイアが2006年に、バイセクシャルであることをカムアウトしていたからなんです。私はその事実を今回の記事で初めて知りました。

ジョイアがバイセクシャルであることは別にショックでも何でもなく、それよりも私には、彼女が薬物中毒に陥っていることのほうが大きなショックでした。なにしろ、私にとってエクスポゼのアルバムは、オールタイム・スタンダードの愛聴盤なので。

先述したとおり、ジョイアは非常に癖の強い声の持ち主なので、1st アルバムで彼女がリードを取っていた曲は、それほど多くはありませんでした。しかし、1989年の2nd アルバム『恋のダンス・パラダイス』は、むしろジョイアの強い個性を前面に出したものとなり、タイトル・トラックの1st シングル「恋のダンス・パラダイス (What You Don't Know)」(全米8位)を始め、全11曲中5曲までが、ジョイアのリード・ヴォーカルとなっています。

この2nd アルバムのリリース当時、エクスポゼは絶頂期を迎えていました。なにしろ、1st アルバムからのシングルは4曲連続で全米 Top10。しかも5th シングルは全米 No.1という快挙を達成。ゆえに、当時のポップス・ファンは、エクスポゼの2nd アルバムのリリースに大きな関心を寄せていました。

つまり、ジョイア・ブルーノは、エクスポゼが全世界のポップス・ファンからの注目を一身に集めていた時期に、まさに「グループの顔」として前面に立っていたメンバーだったのです。

"What You Don't Know"
恋のダンス・パラダイス
(1989)


当然、ここ日本でも、当時のエクスポゼは注目の的でした。宝酒造のCANチューハイのCMにも出演しています。'80年代の宝酒造のCMは、海外の俳優やミュージシャンを多く起用していたのが特徴的でしたが、その歴代の出演者の顔触れを見てみると、これがなんと、ジョン・トラボルタ、シーナ・イーストン、ボーイ・ジョージ、マドンナなど、ビッグ・ネームがズラリ。人気絶頂時のエクスポゼは、これらのビッグ・ネームと並ぶほどの存在だったんです。

※証拠映像。
エクスポゼが出演しているタカラCANチューハイのCM。


恋のダンス・パラダイス恋のダンス・パラダイス
(1989/07/21)
エクスポゼ

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しかし、ここまでは順風満帆に見えたジョイアのキャリアにも、影が差し始めます。

'90年代に入り、ジョイアは喉の病気を患います。症状は深刻で、このままではグループの継続自体が困難となるため、ジョイアはエクスポゼを脱退。新メンバーとしてケリー・マネーメイカーが加入し、エクスポゼは1992年にセルフタイトルの3rd アルバム『エクスポゼ (Exposé)』をリリースします。しかし、新生エクスポゼはそれまでのような勢いを発揮することができず、所属レーベルとの契約を打ち切られ、ベスト・アルバム『ザ・グレイテスト・ヒッツ (Greatest Hits)』のリリースを最後に、エクスポゼは1996年に解散となりました。

ザ・グレイテスト・ヒッツザ・グレイテスト・ヒッツ
(1996/01/24)
エクスポゼ

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一方、エクスポゼ脱退後のジョイアは、一時は歌手生命すら危ぶまれましたが、そこから奇跡の復活を遂げ、ソロ・アーティストとして再生します。ゼロ年代に入ってからは全米のクラブ・チャートで3曲の No.1ヒットを出す活躍を見せています。

エクスポゼは2003年に一時的に再結成します。このときのメンバーは、ジーネット、アン、ケリーの3人。そして2006年には、ジーネット、アン、ジョイアの3人で、二度目の再結成を行ない、以降も活動を継続。もともとゲイのオーディエンスからの人気が高かったエクスポゼは、現在でも全米各地のゲイ・プライド・イヴェントでパフォーマンスを行なっています。

ちなみに、ジョイアと入れ替わりでエクスポゼに参加したケリー・マネーメイカーは、二度目のエクスポゼ再結成にあたって、「私は代役だから、メンバーの誰かが参加できなかったり、何か特別な機会があった際に参加する」とコメントしていましたが、昨年(2009年)の LA でのゲイ・プライド・イヴェントでは、ジーネット、アン、ジョイア、そしてケリーの4人が、ついに一同に集結したそうです。

"What You Don't Know"
(Live at LA Pride, 2009)


このように、エクスポゼとジョイア・ブルーノは、現在でもアメリカのゲイ・コミュニティから根強い支持を受けています。しかしながら、今回 The Advocate.com で報じられた元の記事によると、ジョイアはリハビリを受けることを頑なに拒んでいるそうです。

ボーイ・ジョージやジョージ・マイケルの例を見るまでもなく、薬物は百害あって一利なしです。ジョイアとエクスポゼを今でも応援しているファンのためにも、ジョイアには一日でも早く、薬物中毒から立ち直ってもらいたいです。


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2010.07.01 Top↑
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