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横浜市イギリス館開催から1か月以上を経てのレポートとなってしまい大変に恐縮なんですが、2010年8月8日に、音楽発表サークル La vie en rose Yokohama のコンサート『La vie en rose Yokohama CONCERT 2010 白い夏―届かなかった愛の歌』が、神奈川県横浜市で開催されました。このサークルには、当ブログの8月1日のエントリでもご紹介させていただいた、ゲイ・ミュージシャンの Yosuke さんも参加なさっています。その Yosuke さんからお声をいただき、私はこのコンサートで、当日のスタッフとして、舞台設営のお手伝いをさせていただきました。

会場の横浜市イギリス館は、港の見える丘公園の中にある、由緒ある洋館です。この建物の1階にあるホールで、今回のコンサートは開催されました。

La vie en rose Yokohama は、クラシカル・ミュージックに軸足を置いた音楽発表サークルです。出演者のみなさんはゲイのかたが中心ですが、だからといって演者の性的指向を決して限定するものではなく、ストレートのかたも出演されています。今回のコンサートでは、6組のみなさんが演奏をなさいました。クラシカル・ミュージックには明るくない私でも、これが非常にヴァラエティに富んでいるということがよくわかる、そんな内容のコンサートでした。

亮二さん第1部の1組目は、フルート+ピアノの女性ユニット、SPONTANE(シュポンタン)さん。フランスの作曲家ミヨーによる『フルートとピアノのためのソナチネ』作品76と、ビゼーのオペラ『カルメン』の旋律をフランスの作曲家ボルヌがフルート用に編曲した「カルメン幻想曲」を演奏なさいました。

2組目は、亮二さんのピアノ演奏。シューベルトの『ピアノソナタ第18番ト長調 D894』第1楽章、第4楽章です。亮二さんの集中力がそのまま音色となってギュッと凝縮され、そして押し出されているような、言語以外の何かで聴衆に語りかけてくる、そんな情感の豊かな演奏でした。

田中健一さんそして第1部のトリを務められたのは、主宰の田中健一さん。カウンターテナーのかたです。ピアノ、およびアコーディオンの伴奏で、「平城山」「宵待草」「七里ヶ浜の哀歌(真白き富士の根)」「初恋」など日本の歌曲を歌われました。私はかねてから米良美一さんのアルバム『母の唄~日本歌曲集~』が大好きだったので、今回のコンサートでも、日本歌曲を歌われるという田中さんのステージを楽しみにしていました。実際に田中さんのステージを拝見して感じたのは、カウンターテナーの歌声と日本歌曲、そしてアコーディオンの伴奏という、この3つの要素の組み合わせは、叙情歌のもつ美という力を、最大限に引き出すものなのだ、ということでした。しかも会場は横浜市イギリス館。昭和初期のモダニズムの世界です。そこで繰り広げられた田中さんのステージは、観ている者をロマンあふれるモダニズムの時代へといざなうような、そんな力がありました。衣装のほうもメイル・ディーヴァのごとく華やかで、一つひとつの挙動にも研ぎ澄まされた美意識が反映された、ショーマンシップあふれる素晴らしいステージでした。私が観たかったのは、まさにこういうステージだったんです!

20分の休憩を挟んだ後の、第2部の1組目は、龍之介さんのヴィオラの演奏。バッハの『無伴奏チェロ組曲 第1番ト長調 BWV1007』。他の出演者のみなさんによると、このようにヴィオラの独奏を聴ける機会は、あまりないのだそうです。『新世紀エヴァンゲリオン』の劇場版でも使われていたこの曲、厳かな音色と哀感を湛えた旋律が一つに溶け合った、切ない余韻が印象的でした。

第2部2組目は、ゲストのIさん。バリトンのかたです。ベートーヴェンによる連作歌曲集『遥かなる恋人に寄す』作品98を歌われました。ベートーヴェンといえば交響曲というイメージしかなかった私は、この連作歌曲を今回のコンサートで初めて知りました。これはひょっとしたら楽曲自体にも同じように備わっている性質なのかもしれませんが、Iさんの歌声は、感情を熱く奔出させているというよりは、むしろグッと抑制を効かせることによって、そこに秘められた感情の大きさを表現している、そんな雰囲気を私は感じました。

Yosuke さんそして大トリを務めたのは、Yosuke さん。今年で生誕200年となるショパンの「ノクターン 変ホ長調」作品9-2と、Yosuke さんオリジナルのピアノ曲「DREAM」の2曲を演奏なさいました。「ノクターン 変ホ長調」作品9-2は、ゲイ向けのクラシカル・ミュージックのコンピレーション・アルバムにはかなりの高確率で収録されている人気曲です。別にゲイのかたでなくとも、絶対に一度は耳にしたことがあるはずです。

そして2曲目の「DREAM」ですが、今回のようにクラシカル・ミュージックが中心のコンサートで、出演者のオリジナル曲が最後に演奏されたことは、コンサート全体にドラマティックな効果をもたらしていたように感じました。第1部のトリを務められた田中さんのステージが、ロマンあふれるモダニズムの世界へとオーディエンスをいざなうものであったのに対して、第2部のトリを務められた Yosuke さんの「DREAM」の演奏は、オーディエンスをモダニズムの世界から2010年の今日へと再びタイムスリップさせ、さらには「DREAM」というタイトルにもあるように、前向きな未来へと導いていくような力がありました。主宰の田中さんも「最後は絶対にオリジナル曲の演奏で閉めようと思っていた」とコンサート終了後におっしゃっていましたが、そうした田中さんの企図を120%の形で昇華した、Yosuke さんの演奏でした。

La vie en rose Yokohama のみなさん、素敵なコンサートを、どうもありがとうございました!

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2010.09.09 Top↑
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