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柏本 圭二郎/世界中のすべてのマリア

柏本 圭二郎「世界中のすべてのマリア」

日本で最も有名な LGBT のアーティストでいらっしゃる美輪明宏さんは、その著書やテレビ番組の中で、「無償の愛こそが究極の愛」であると、くり返し説いておられます。

有名な「ヨイトマケの唄」や、自ら訳詞を手がけられたエディット・ピアフの「愛の讃歌」も、「無償の愛」がテーマ。それらの「無償の愛」の数々を、美輪さんは大切に歌い続けておられます。

一方、今日の J-Pop で「無償の愛」の歌に出会えることって、ほとんどないですよね。

「ラブソング」という言葉は半ば日本語化していますが、その日本語化した「ラブソング」がテーマとしているのは、あくまでも「恋愛」であって、「愛」ではないような気がします。

J-Pop に限らず、今日のポピュラー音楽で、「恋愛」を超えた先にある「無償の愛」を歌おうとすると、その多くは「愛の歌」ではなく「平和を願う歌」になっているように思います。

もちろん、それはそれで素晴らしいんですよ? それらを批判したいわけじゃない。私がいいたいのは、「無償の愛」そのものがテーマの楽曲は、実は現代では希少なんじゃないか? ということです。

さて、当ブログの2010年7月9日のエントリでご紹介させていただいた柏本 圭二郎(かしもと・けいじろう)さんのファースト・シングル「イルミナシオン/恋の曲がり角」が、先日(10月10日)、ついに全国発売となりました。

イルミナシオン/恋の曲がり角イルミナシオン/恋の曲がり角
(2010/10/10)
柏本圭二郎

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そして同日には、ニュー・シングル「世界中のすべてのマリア」が、iTunes Store から配信リリースされました。

作詞は、前作「イルミナシオン」と同じく PSYOW さん。作曲は小林洋介さん。昭和歌謡的な世界観をエレクトロニック・ダンス・ミュージックにのせて歌い上げていたのが前作の特徴ですが、今作は打って変わって、スケールの大きなバラード。

プロデュースとアレンジを担当されているのは、HOME MADE 家族やスキマスイッチを手がけられた Taja の狩野佑次さん。2コーラス目からリズム体が本格的に加わることで段階的に力強さと躍動感を増し、大サビではクワイヤー風のコーラスも加わって大団円を迎えるという構成の、感動的なバラードです。

レコーディングの模様は、圭二郎さんのブログの8月7日付のエントリに詳しく記されていますが、今作のコーラスには、Taja の田中菜穂さんや、C-C-B の関口誠人さんも参加されています。

天使のラブソング!みんな!ありがとうございましたっ!!(圭二郎のウラ生、2010.08.07)

さて、この新曲を、圭二郎さんは「大きな愛の歌」と呼んでおられますが、この「大きな愛」というのは、「無償の愛」と限りなく近似値だと思います。

というよりも、ひょっとしたらこの曲で歌われている「大きな愛」は、その「無償の愛」さえもいたわり包み込んでしまうような規模のものかもしれません。

どれだけ裏切られ、略奪されようとも、自分はひたすら与え続ける、「無償の愛」。

ほんのかすかな温もりや光をよすがに、自分からは何も求めず、来世でも同じように愛し続けることを高らかに誓う「無償の愛」。

「無償の愛」は、それが傷つくばかりのものであるからこそ、尊い。

しかし、この「世界中のすべてのマリア」は、そうした「無償の愛」ゆえに背負ってしまう痛みを美化するだけの、傷心ソングには終わっていないと、私は思いました。

この曲は、「無償の愛」の持ち主であるがゆえに痛みを抱えながらも懸命に生きている、そうしたすべての人々を讃え、その傷を癒すために、より大きな次元での慈しみを注ぎ込んでいる――そういう曲です。少なくとも私の心にはそのように響きました。

アメリカのミュージック・シーンでは、クリスチャン・ミュージックというジャンルが音楽市場の一角を占めていますが、「世界中のすべてのマリア」は、クリスチャン・ミュージックの世界観に近い味わいを、J-Pop の世界に持ち込んだ曲のように聴こえました。

もちろん、マリア信仰を直接のテーマとしているわけではありません。ここでの「マリア」は、「慈愛」とか「慈悲」の象徴として歌われています。

「マリア」によって象徴される「慈愛」や「慈悲」の心とは、まさしく「無償の愛」。そして、この「世界中のすべてのマリア」は、そのタイトルにもあるとおり、この曲を聴いているであろう、世界中のありとあらゆる「無償の愛」の持ち主を讃え、さらにもっと「大きな愛」で包み込み、癒そうとする、そんなスケールの大きな、まさに「大きな愛」の歌なんです。

ちなみに圭二郎さんは、8月29日に新宿歌舞伎町で開催されたイベントで、この「世界中のすべてのマリア」を黄色い T シャツ姿で歌われたそうなんです(そのイベントは今年の24時間テレビの放映と同日の開催だったので:笑)。

このブログをご覧になってくださっているみなさんも、ぜひ「世界中のすべてのマリア」を聴いてみてください。そして、圭二郎さんがこの曲に込めた「大きな愛」を、感じ取ってもらえたらと思います。

“世界中のすべてのマリア”
(Live, 2011)


柏本 圭二郎「世界中のすべてのマリア」 - iTunes で「世界中のすべてのマリア」をダウンロード



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