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「国籍不明の K-POP シンガー」という設定による架空のキャラクター、♥♥♥LOVE♥♥♥(ラヴ)名義で、あのはるな愛さんが、ニュー・シングル「Crazy Love」を、10月20日、ポニー・キャニオンからリリースなさいました。

って、せっかくの設定をはなから無視するような書き方をしてしまいましたが。

Crazy LoveCrazy Love
(2010/10/20)
♥♥♥LOVE♥♥♥

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♥♥♥LOVE♥♥♥公式サイトでは、はるな愛さんご本人が、プロデューサーという立場でコメントを寄せています。それによると、♥♥♥LOVE♥♥♥というシンガーは、次のように設定されています。

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♥♥♥LOVE♥♥♥とはタイでのニューハーフ世界一決定戦『ミス・インターナショナル・クイーン2009』で優勝した後にアジアで出会いました。私の理想の女の子です。はるな愛に出来なかった事をすべてそそぎます。顔まで似ちゃったかな?! 早く皆さんに♥♥♥LOVE♥♥♥に触れてほしいです。


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さて。

このコメントの中で、ぜひみなさんに注目していただきたいのは、「はるな愛に出来なかった事をすべてそそぎます。」の一文。

これはいったいどういうことなのかというと。

はるな愛さんは、自伝『素晴らしき、この人生』の中で、次のように語っておられます。

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 昨年(註:2008年)12月に、「I・U・YO・NE~」という歌で念願の歌手デビューを果たすことができた。
 この歳では、もうアイドルは無理だけど、小さい頃からの「ステージの上でスポットライトを浴びて歌って踊りたい」という夢がついに叶った。
《いままで何度もくじけそうになったけど、あきらめないで本当に良かった》
 そう。私は3歳のときに、ストリッパーのお姉さんに憧れて以来、30年以上も歌手になりたいという想いを胸に生きてきたのだ。
 (中略)

 年末の歌番組では一流アーティストのみなさんと共演し、大晦日には、美川憲一さんのバックでの出演だったけれど紅白歌合戦にも出演することができた。
 ステージに上がるたびに、《私の求めていた居場所はここだ》と喜びをかみしめた。
 でも、ここは、タレント・はるな愛のスタートでしかない。
 紅白歌合戦のリハーサルのとき、私は客席のはしからはしまで見渡しながら、「来年の大晦日は絶対に自分の曲で、この舞台に戻ってくる」と密かに心に誓った。(本文242ページ~243ページ)


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この箇所に限らず、自伝『素晴らしき、この人生』の中では、「歌手になりたい!」という、はるな愛さんの熱い想いが、全篇に渡って語られています。

しかし、既にタレントとして活躍されていたかたが、新たに始めた歌手活動をその後も継続させていくのは、実はなかなか難しい。

当ブログの2009年8月9日付のエントリや、2010年7月9日付のエントリの中でも既に触れていますが、バラエティー・タレントとして活躍されているかたがCDを出すときには、そのタレントとしてのキャラクター設定が、楽曲やパフォーマンスの中にもそのまま持ち込まれるケースが多いんですね。はるな愛さんのデビュー・シングル「I・U・YO・NE~」も、タレントとしてのはるな愛さんの決めフレーズ、「言うよね~」が、そのままタイトルに用いられています。

これというのは、レコード会社や、私たち購買層が、「この人の本業はタレントであって、本職の歌手ではない」、という前提に立っているからなんですね。

つまり、そのタレントさんの音楽活動を、「タレント活動の一環」として捉えているからこそ、タレントとしての既存のイメージを、楽曲やパフォーマンスの中にも、同じように求めてしまう。

その結果、それらのCDは、企画モノとしての性質が非常に強くなってしまう。

そして、企画モノとしての性質が強いからこそ、それは継続的な歌手活動にはなかなかつながってくれない。

はるな愛さんは、売れっ子バラエティー・タレントとして多忙を極めながらも、2009年8月5日には広瀬香美さんのプロデュースによるセカンド・シングル「夏 凸凹♥」をリリース。同月の19日には、フィーチャリング・ヴォーカルとして参加されたエイジア エンジニアの「MOMI MOMI Fantastic」もリリースされるなど、ようやく実現した念願の歌手活動を、寡作ながらも継続させてきました。

そして今回、♥♥♥LOVE♥♥♥名義でリリースされた「Crazy Love」。

架空のキャラクター設定が持ち込まれているという点では、デビュー作「I・U・YO・NE~」以上に企画モノの性質が強いと言えます。

しかし、今作の重要なポイントは、歌っているのが「タレント・はるな愛」ではなく「謎の K-POP シンガー、♥♥♥LOVE♥♥♥」である、というところ。

これというのはつまり、歌っているのは「はるな愛」じゃないんだから、♥♥♥LOVE♥♥♥名義での歌手活動に「タレント・はるな愛」の既存のイメージを投影する必要はない、ということなんです。

それこそが、はるな愛さんが♥♥♥LOVE♥♥♥公式サイトの中で述べておられる、「はるな愛に出来なかった事をすべてそそぎます。」という一文の意味なんです。

はるな愛さんは、♥♥♥LOVE♥♥♥という架空の歌手を演じることによって、「タレント・はるな愛」の既存のイメージからは自由な音楽表現が、初めて可能になったんです。

架空の歌手だから、既存のイメージなどそもそもないし、「はるな愛」のイメージは別に保持した上で、新たなイメージを構築していくことができる。

歌番組の中で「お前、はるな愛だろ!」といじられることがあっても、「いいえ! 私は♥♥♥LOVE♥♥♥です!」と言い張るだけで、「タレント・はるな愛」には許されていないクールなパフォーマンスが、可能になるんです。

結局、人のイメージというのは、名前の上に宿っているものなんですね。

人は、名前の上にさまざまなイメージを投影することによって、それを他との識別記号として使っている。つまり、人を名前で認識している。

それがひどくなると、人を名前だけで判断するようになる。

既存のイメージに縛られている状態とは、実は名前に縛られている状態なんです。

ということは。

名前が変わってしまえば、たとえ見た目は同じでも、人は今までそこに投影していたイメージをリセットしてしまうものなんです。

名前が変われば、認識も変わる、ということです。

だからこそ、別名義や改名という手法が、特にイメージ重視の芸能活動においては、有効に機能するんですね。



今回の♥♥♥LOVE♥♥♥の図式は、日本テレビ系列のバラエティ番組『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』から誕生した、ポケットビスケッツに通ずるものがあるように思います。

本来は歌手志望でありながら、バラエティー・タレントとしてのイメージが定着していた千秋さんは、「ポケットビスケッツの坂本千秋」という架空のキャラクターを演じることによって、本来の念願であった歌手デビューを果たし、しかも大成功を収めることができました。

その後、千秋さんはソロ歌手としてもデビューしていますが、その際に千秋名義ではなく chiaki 名義を用いたのは、「タレント・千秋」のイメージから自由になるためだったと思います。1990年代当時、歌手としての千秋さんの自由は、「千秋」という名前の中にはなかったのです。

それと同じことで、2010年現在、歌手としてのはるな愛さんの自由は、「はるな愛」という名前の中には、おそらくないのだと思います。歌手としての自由を求めた結果、はるな愛さんがたどり着いたのが、「♥♥♥LOVE♥♥♥」という架空のキャラクターだったのではないでしょうか。今作のレーベルが従来の avex trax ではなくポニー・キャニオンであることも、より自由な歌手活動を求めた結果であるかもしれません。もちろん、これは憶測ですが。



謎の K-POP シンガー、♥♥♥LOVE♥♥♥が歌う、「Crazy Love」という楽曲。そして、そのミュージック・ヴィデオ。これらの中には、従来のはるな愛さんの作品にはなかった、「歌手としての自由」が、あふれています。

「はるな愛」名義では許されなかったであろう、笑いの要素のないアーティスティックな表現を、みなさんもぜひご覧になってください。



"Crazy Love"
(2010)

http://www.youtube.com/watch?v=VcVnRJ1AP2I


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2010.10.30 Top↑
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