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私、クラシカル・ミュージックには全く疎いんです。すみません。だから、オープンリー・ゲイの指揮者や演奏家、声楽家の名前を、あまり知りません。

そういうわけで、スティーヴン・ライニキー (Steven Reineke)の名前も、Out.com に11月1日付で掲載されたインタヴュー記事を読んで、初めて知りました。

Catching Up With: Steven Reineke (Out.com, 2010.11.01)

スティーヴン・ライニキーは、全米最大級のポップス・オーケストラ(ポピュラー音楽に特化した交響楽団)である、ニューヨーク・ポップスの音楽監督を現在つとめている、作曲家・編曲家です。

作曲家としてのスティーヴン・ライニキーは、主に吹奏楽曲の作品で知られているようです。吹奏楽のサークルに所属しているゲイの友人が私には何人かいますが、吹奏楽ファンにとっては、スティーヴン・ライニキーの名前は、一般的なのかな?

スティーヴン・ライニキー
(画像はスティーヴン・ライニキー公式サイトより)


さて。

今回 Out.com に掲載された、スティーヴン・ライニキーのインタヴューなんですが、ロック/ポップスの世界で活躍しているオープンリーのLGBTアーティスト/ミュージシャンのインタヴューとは、一味ちがった面白さがありました。いくつかの部分を、下に引用してみます。

あなたはクラシック音楽界で、ゲイであることを最もはっきりと公言している一人ですよね。

「(間を置いてから)うん、そうなのかな。正直な話、そういったことは全く考えてなかったんだけど。」

それはまたどうしてですか? クラシック音楽界は、そこまで進化していると?

「クラシックの世界は、もっと寛容なんだ。――芸術の世界は大概そうさ。だけど、僕はいつだって普通の男だったよ。僕はご婦人からも好かれるし、彼女たちは僕が目当てでコンサートにやってくる。同伴させられてる旦那さんたちからも、嫌われたりはしてないよ。僕は大のスポーツ・ファンだから、フットボールの話ができるしね。」

ニューヨーク・ポップスの来季のラインナップは、10月の ABBA コンサート、11月の(スティーブン・)ソンドハイムの80歳のバースデー・パーティー・コンサート、そして3月には、ジュディ・ガーランドのカーネギー・ホール公演50周年記念コンサートが含まれています。あなたは「普通の男」なのかもしれませんが、こんなにゲイ的なラインナップを、はたして「普通の男」が選べるでしょうか?

「(笑)そうだね。でも正直なところ、それは意図してのものじゃないんだ。シーズンのラインナップをまとめるとき、僕が第一に考えるのは、オーディエンスのこと。第二に、オーケストラの音楽家や演奏家たちのこと。僕自身のことはいちばん後回しだ。『来季はゲイ的なラインナップにしてやろう』とかいうのはないよ。僕のエゴは排除して、バランスをとろうとしている。」


ゲイであることはオープンにしていても(いや、オープンにしているからこそ)、「僕は普通の男だよ」と、ついついアピールしてしまう。よくあることですが、それに対するインタヴュアーのツッコミには、山田くんに座布団を3枚くらい運んできてもらいたいです。

そして、自身の性的指向と、作曲活動とのあいだの関係については、次のように述べています。

ゲイであることは、あなたの曲作りに、どのような意味がありますか?

「ゲイであることは、僕の曲作りには全く何の影響も及ぼしていないね。」

それでは、何が影響しているのですか?

「僕の音楽は、とっても視覚的なんだ。目を閉じて僕の作品を聴くと、心の中に映像が浮かび上がってくる。僕はしばしば、土地や場所からインスパイアを得るんだ。ウエスト・ヴァージニアで体験した急流の川下りの体験は、『激流の中へ(Into the Raging River)』という作品に結実した。僕の作品で最もポピュラーな『ピラトゥス~ドラゴンの山(Pilatus: Mountain Of Dragons)』は、スイスの山と、そこに棲んでいると言われているドラゴンの昔話から着想を得たんだ。『ザイオンの神殿にて(In the Temple of Zion)』は、ザイオン国立公園についての曲だ。」


当ブログの2010年10月2日付のエントリでも触れていますが、音楽と性的指向との関係は、そのアーティスト/ミュージシャンが、どのようなスタンスで音楽活動に取り組んでいるかによって変化します。そのアーティスト/ミュージシャンが、もしも自己表現の手段として音楽に取り組んでいるのであれば、その音楽と性的指向は無関係では有り得ない。しかし、自己表現ではないのであれば、そのアーティスト/ミュージシャンの音楽は、確かに性的指向とは無関係です。

「土地や場所からインスパイアされる」というスティーヴン・ライニキーの作品も、確かに彼の性的指向とは無関係なのでしょう。

たぶん彼のゲイ性は、作曲活動よりも、音楽監督としての活動に表れ出ている気がします。ニューヨーク・ポップスの来季のラインナップは、まさにその好例ですよね。まあ、彼自身は「意図してのものではない」と笑いながら否定していますが、そのラインナップが示しているゲイ性そのものは、否定していません。



そして。

今アメリカでは、同性愛者であることが理由でいじめに遭ったティーンネイジャーの自殺が、立て続けに起こっています。

これを受けて、オープンリーのLGBTの著名人だけでなく、年齢や性別、職業もさまざまなLGBTの当事者と、そのアライのみなさんが、YouTube を通じて、"It Gets Better."のメッセージを発信し続けています。

YouTube - It Gets Better Project

この問題についても、ライニキーは質問に応えています。

これまで、ゲイのティーンネイジャーたちからの声は受け取ったことはありますか?

「二度ほどあるよ。僕がカミング・アウトしているのを知っている若い学生が、ソーシャル・メディアを通じてメッセージを送ってきた。そこには、『僕は、あなたから強い影響を受けています。ゲイであることを隠さずにいるあなたをロール・モデルにして、大学では音楽を専攻しています』と書いてあった。とても力強かったね。」

自分の性的指向を受け入れられずに苦しんでいる十代のために、何かアドヴァイスをお願いします。

「ダン・サヴェジや、それ以外にもカミング・アウトしているみんなが言っているように――状況は、絶対に良くなっていくよ。自分の人生は、もっと自分でコントロールしなくちゃ。必要となる友だちが、ちゃんと周りにいてくれる環境を作ること。それが、あらゆる人へ送る、僕からのアドヴァイスだ。『良き人々の中に身を置きなさい。ネガティヴな人や、その人が発するネガティヴなエネルギーなど、誰も求めてはいないのだから』ということなんだ。人は、周りの人々が発するエネルギーに、どんどん感化されていくものだからね。」




"Pilatus: Mountain Of Dragons"
ピラトゥス~ドラゴンの山


http://www.youtube.com/watch?v=HbtU5JHThOo



激流の中へ:スティーヴン・ライニキー作品集 INTO THE RAGING RIVER: THE MUSIC OF STEVEN REINEKE激流の中へ:スティーヴン・ライニキー作品集 INTO THE RAGING RIVER: THE MUSIC OF STEVEN REINEKE
(2002/08/01)
不明

商品詳細を見る


スティーヴン・ライニキー公式サイト



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2010.11.03 Top↑
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