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まず最初に、3月11日の東北地方太平洋沖地震と、それに引き続いて発生した各地の大地震で被災されたみなさまに、心よりお見舞いを申し上げます。



今回の東日本大震災では、私はさまざまな偶然が重なり合ったことで、電車に長時間閉じ込められることも、帰宅困難になったりすることもありませんでした。

けれども、地震後の交通網の大混乱には巻き込まれなかった自分でさえ、揺れに見舞われた瞬間のあの恐怖は、ずっと尾を引いていました。当日の夜は、度重なる余震や、引き続き起こった長野北部の巨大地震の恐怖に、一睡も出来ませんでした。

地震発生直後から、私はテレビを通じて地震に関する情報を得ていました。しかし、土曜日以降、テレビを観るのは止めました。

確かに情報は欲しいのだけれど、テレビが執拗に流し続ける、津波が市街地を呑み込んでいく映像に、神経が耐えられなくなりました。

全身のこわばりがいつまで経っても抜けず、呼吸が浅くなっていました。

だから、テレビの代わりにラジオを聴くようになりました。

神奈川県民の私が主に聴いているのは、FM横浜です。たぶん、他のFM局(TOKYO FM とか)でも同じような内容を放送していたのではないかと思うのですが、FMでは、非常時の情報はきちんと放送しつつ、大きな不安と緊張にさらされているリスナーを励ますような曲を、意識して流していました。

特に印象深かったのは、槇原敬之が Des'ree のヒット曲をカヴァーした「YOU GOTTA BE」、ドリームズ・カム・トゥルーの「その先へ」、そして、ジョン・レノンによる「Stand By Me」……。

DJのみなさんがたも、それぞれの言葉で、真摯なメッセージを、不安と緊張をかかえているリスナーのみなさんに向けて、今現在も発信し続けています。

ラジオと音楽の力に励まされて、私は少しずつ普通に呼吸できるようになりました。



そして、13日。日曜日。

この日は、三浦海岸のナツメグ・カフェを会場にして、とんちピクルスさんがライヴを行なうことになっていました。
今回の大震災が発生したとき、とんちピクルスさんは、福岡から羽田に向かう飛行機の中にいらっしゃいました。

なんとか羽田に着陸できたものの、地上では交通網が麻痺していたため、空港で一夜を過ごされたそうです。

そして、とんちピクルスさんは、こんな大変なときだからこそ、状況の許す限り、東京ツアーを予定どおり行なっていくことを決定されました。

その初日が、3月13日、三浦海岸のナツメグカフェを会場にした、Ukulele Mondo Lounge 2でした。

とんちピクルスさんは、今回の地震の発生を受けて、東京ツアーの今後の予定について、ご自身のブログで、次のように告知されました。

「今回の地震で被災されている方には心よりお見舞い申し上げます。少しでも早く状況が落ち着くよう願います。
今後のとんちピクルスライブについては、状況が許す限り予定通り行います。これは『震災の被害及び救援を念頭に置きつつ、いつも通りのライブを行うことで、現在不安を感じている自分そしてお客さんの心に少しでも平穏を取り戻したい』という僕個人の考えからです。

各会場と連絡を取り合い、余震、節電に留意しつつ行いますが、皆様はどうぞ状況を視野に入れてお決めください。ご予約をいただいている方も、今回に限りキャンセルのご連絡は不要です。

各日の開催有無については当日昼に下記でお知らせします。皆様お気をつけて、どうかご無事で。」


私は、3月13日の三浦海岸でのライヴに、予約を入れていました。

そして、会場のナツメグ・カフェは、海に面したお店でした。

13日の時点で、神奈川県の沿岸は、津波注意報も解除されていましたが、他の地域では、依然として津波警報や注意報が継続していました。

正直、余震の続く中で、海のすぐそばに行くのは、怖かった。

キャンセルしようかどうか、日曜日の午前中いっぱい考えました。

そして、行くことに決めました。

この大変な状況の中で、もしも自分にできることがあるとしたら、それは、

一刻も早く日常を取り戻すことだ、という気がしたからです。

精神的な面ばかりでなく、そうすることによって経済も動いていくからです。

そして。

ラジオが自分に施してくれたような音楽の力を行使する技術や能力は、自分にはないけれども、とんちピクルスさんのように音楽の力を有しているかたが、「いつも通りのライブを行うことで、現在不安を感じている自分そしてお客さんの心に少しでも平穏を取り戻したい」とおっしゃっているのであれば、その活動を応援することこそが、今の自分にできることだ。

そう、思ったのです。

だから私は、当初の予定どおり、3月13日の Ukulele Mondo Lounge 2に、足を運ぶことにしました。

Ukulele Mondo Lounge 2 フライヤー


今にして思えば、今回のとんちピクルスさんのツアー日程のうち、私が13日に予約を入れていたのは、めぐり合わせが良かったように思います。

というのも、この日は、地震発生直後の交通網の大混乱も既に落ち着いており、現在のような計画停電によるダイヤの乱れもなく、行きも帰りも、移動は極めてスムースに済んだからです。

計画停電の只中では、都内のライヴに足を運ぶのは、神奈川県に暮らす私には、ちょっと難しい状況です。



この日、三浦海岸の駅前では、桜の木が花をつけていました。
三浦海岸駅前


そして、開場時間前の、三浦海岸。
三浦海岸

この穏やかな海が、つい二日前に東北のたくさんのかたたちの命を呑み込んでいったのだという事実が、すごく怖かった。今でも怖いです。



この日に集まったお客さんの数は、私を含めて6人。でも、状況が状況なだけに、ひょっとしたら客は私一人かもしれないとまで思っていたので、むしろこんなにたくさん、と嬉しくなりました。平常時のライヴにはない連帯感のようなものが、この日の会場にいたみなさんのあいだには生まれ、会話も弾みました。

お客さんの顔触れは、藤嶋と同じ市内からクルマでいらしていたというご夫婦のかた。そして、男性の二人連れのかた。お一人は目が不自由でいらっしゃって、もうお一方に支えられて、杖をつきながら、駅から歩いていらっしゃったそうです。それから、このナツメグ・カフェの常連の女性のかた。とってもきさくで、たぶん誰とでもすぐに友だちになることのできる、最高にフレンドリーなかたでした。

そして迎えた、開演時間。

今回の大震災で亡くなられたかたたちへ、会場の全員で黙祷を捧げた後に、演奏がスタートしました。

この日のライヴは、共演の NON HAWAIIAN さんの iPhone を利用して、ツイキャスで配信されていました。

節電のため、当初の予定を変更し、PAの設備はすべて一時撤去。完全な生音ライヴでした。照明も可能な限り使用を控えていました。

とんちピクルスさん1

この写真の、とんちピクルスさんの頭上の照明は、点灯していません。この日の照明は、左に写っている電気スタンドと、カウンター越しに入ってくる厨房の明かりのみでした。

共演の NON HAWAIIAN さんがこの日のオープニングにパフォーマンスされた「座頭市メドレー」は、YouTube でも観られます。最高に楽しいので、みなさんもぜひ観てください。こちらです。



そして、とんちピクルスさん。

開催から少し時間が経ってしまったので、セットリストの記憶は、順番が前後していたり、抜けがあったりするかもしれませんが、オープニングは「夜風」。続いては「おちゃめ三度笠」(含、「愛の讃歌」)「ノコリータのうた」

とんちピクルスさん2 とんちピクルスさん3


「おちゃめ三度笠」のときには、店の外を白人のかたが歩いて通り過ぎていったのが、窓から見えたのですが、この白人のかたは、手拍子を打って盛り上がっている藤嶋たちの姿を見て、ニコニコと微笑みを浮かべていました。

そう、こんなときだからこそ、こんな大変なときだからこそ、歌と笑いが、必要とされていると思うんです。

とはいっても、やっぱり「遠くでひばりもないている」のようなナンバーには、いつも以上にこみ上げてくるものがありました。「抱きしめたい」もそう。とんちピクルスさんの優しい歌声によって綴られていく言葉の一つひとつが、重みをもって響いてくる。
とんちピクルスさん4


しかし、そこはエンタテイナーのとんちピクルスさん。「抱きしめたい」の終盤で、おもむろにウクレレを頭上に掲げ、会場のムードを一変させます。
とんちピクルスさん5


そして、そのまま、とんちピクルス第3のメンバー、ウクレレのウクちゃんとの腹話術MCに突入(笑)。

開腹手術を施され、体内に鈴を埋め込まれたウクちゃん。ウクレレのウクちゃんなのに、担当楽器は鈴です(笑)。
とんちピクルスさん6


「記憶」「かみなりこわい」のカミナリ組曲や「濡れマンボ」では、常連の女性のかたの笑いが止まらなくなり、終いには笑い泣き状態になってました(笑)。

ラスト・ナンバーは「夢の中でないた」。そしてアンコールは、とんちピクルスさんの「土用丑の日うなぎの日」に続いて、NON HAWAIIAN さんとのセッション・タイム。

ここでは、とんちピクルスさんと NON HAWAIIAN さんのウクレレのほかにも、ナツメグ・カフェさんのウクレレが3本あったので、店長さんと常連の女性のかた、そして藤嶋までもが、ウクレレを握ることになってしまいました。

藤嶋は全くの楽器ド素人。NON HAWAIIAN さんや店長さん、常連の女性のかたが3人がかりで基本コードを教えてくれたんだけど(この間、とんちピクルスさんは、藤嶋にはゼッタイに弾けないということがわかっていたので、藤嶋が汗をかきながら必死にコードを押さえている光景を、面白がって眺めていたそうです:笑)、しかし握力のない藤嶋は、あえなく指が攣りそうになり、演奏に参加するのは断念。ウクレレを意味もなくムダに抱えた状態で(笑)、アンコールのセッション・タイムを楽しみました。

偶然にも、この日の最後のナンバーは、前日に私の心を励ましてくれた、「Stand By Me」

会場のみなさんと一緒に大合唱した「Stand By Me」、このときに感じていた気持ちと、歌を通じて生まれた会場のみなさんとの連帯感を、藤嶋はこの先も、胸に刻み込んでいきます。



ライヴ終了直後、NON HAWAIIAN さんの iPhone のディスプレイを覗き込むと、この日のライヴをツイキャスでご覧になってくださった多くのみなさんから、「ありがとう」「元気が出た」というコメントが寄せられていました。

そうしたみなさんのコメントに、実際に会場にいた私のほうこそ励まされました。



とんちピクルスさんと NON HAWAIIAN さん、そしてナツメグ・カフェのスタッフのみなさん、本当にありがとうございました。

こんなときだからこそ、このライヴに足を運んで良かったと、心から感謝しています。

とんちピクルスさん7


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2011.03.19 Top↑
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