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3月19日(土)は、風太郎企画25th『土曜日の旅人達』@阿佐ヶ谷 NEXT SUNDAY に、足を運んでまいりました。

実は藤嶋、風太郎企画を観るのは今回が初めてでした。そんな藤嶋であっても、今回の『土曜日の旅人達』が普段の風太郎企画とは異なった雰囲気であったろうことは、想像に難くありません。

節電のためにマイクやアンプは一切使用せず、照明も大幅に落としていましたが、そうした演奏条件の違いだけを取り沙汰して言っているのではなく、出演者のみなさんの心理状態そのものが、普段とは違っていたと思います。

今回の出演者のみなさんのうち、このブログではおなじみの藤本大祐(ふじもと・だいすけ)さんと藤井 周(ふじい・あまね)さんのおふたりを除いては、今回初めてパフォーマンスを拝見させていただくかたばかりでした。したがって、いつものライヴと比べてどうこうという種類の話は、私にはできないはずなのですが、おそらく今回の『土曜日の旅人達』でのパフォーマンスは、その心理状態ゆえに、普段とは違うものだったのではなかろうかと推察しています。

実際、今回5番手にパフォーマンスされた、いろは。さんは、そのMCの中で、「いつもどおりに演ろうとしたけど、りきんでしまっている」という趣旨のことをおっしゃっていました。たとえば、いきなり歌い出しから歌詞が飛んでしまったりとか(笑)。

いつもどおりであろうとしているが故の、りきみ。

このりきみは、いろは。さんだけでなく、他の出演者のみなさんにも、大なり小なりあったのではないかと思うんですよね。

出演者だけでなく、オーガナイザーである風太郎さんや、NEXT SUNDAY のスタッフのみなさんにも、同じようにしてあったと思うんです。

そして、たぶんオーディエンスの側にも。

藤嶋自身、普段どおりの精神状態とはおよそ言い難かった。

無理に明るく振舞おうとしていたわけではなかったけれども、一種の臨戦態勢にあったと思うのですよね。震災後の日本に蔓延している、娯楽産業への「不謹慎」というレッテルに反発する気持ちとか、イヴェントの最中に地震が起こっても冷静でいようと身構えている緊張感とか。

そのようなわけで、今回の『土曜日の旅人達』で拝見させていただいた、出演者のみなさんのパフォーマンスは、決して普段どおりのものではなかったと思うのですが、しかし。

このような状況下でのライヴだったからこそ、出演者のみなさんの、アーティスト/パフォーマーとしての決意や揺るぎなさ、音楽/パフォーマンスへの愛情が、全篇から迸り出ていました。

いつもどおりのライヴではむしろ出会えないであろう、出演者のみなさんの熱い姿に、この日、私は触れることができたと思っています。

いつもどおりではない状況下で、いつもどおりを取り戻すための、いつもとは違う熱さのある、特別で、大切なライヴになりました。


オープニング・アクトの伊澤 生(いざわ・いきる)さん。ドイツ語の声楽曲をピアノの弾き語りでパフォーマンス。とても真面目で、真直ぐで、今の日本を覆っている自粛ムードが、日本の音楽業界を破壊してしまうかもしれないことを、心から憂いていらっしゃいました。

平成生まれの百瀬あざみさん。演奏直前に大きな余震があったにもかかわらず、動揺する素振りは一切見せず、堂々と歌い切ったその精神力。すごかったです。

本番の前日に脚本が上がったという、天幕旅団のおふたりのお芝居は、オーディエンスの側の気持ちの持ち方を問いかけてくるような内容だと思いました。この内容から、絶望とか恐怖を感じることしかできないのか、それとも、最後まであきらめない強さをもって、そこに希望を投影できるのかどうかは、オーディエンスの気持ちのありようにかかっている、というような。

「参加型ライヴ」のいろは。さん。前述したように、実はりきんでいるということをフランクにさらけ出した上で、単なる空元気ではない明るいパフォーマンスを繰り広げてくださいました。大きな余震があったことで緊張していたオーディエンスの側のりきみも、いろは。さんの明るい「参加型ライヴ」があったことで、ようやく抜けていったような気がします。



そして、藤本大祐さんと、藤井 周さんのおふたり。

今回、藤井 周さんは3番手に登場。「命がけで歌います」と冒頭で言い切った周さんの今回のセット・リストは、1曲目からいきなり「こうのとり」。そして2曲目に「ミスカラー」。生きるということをテーマにした、メッセージ性の強い2曲を、最初から立て続けにパフォーマンス。

その周さんの姿と歌声には、鬼気迫るものがありました。

藤井 周さん


たぶん周さんは、この状況下でご自分にはいったい何ができるのかを考え続け、時にはご自分を責めたりもなさったと思うんですよね。そうした自分自身に対するもどかしさを経た上で、「自分には歌を歌うことしかできない」と考えるのではなく、「自分には歌を歌うことができる」という考え方に至った末の、熱い感情の奔出が、「こうのとり」と「ミスカラー」のパフォーマンスにはありました。

きっと、自分自身に対するもどかしさも、エネルギーに転化されていたんじゃないかと思うんですよね。だから、感情の奔出ぶりが、すごく激しかったし、入り込み方も半端ではなかった。この日のパフォーマンスのうち、少なくとも最初の2曲のパフォーマンス時の記憶を、周さんは持っていないはず。

ゲイ・ミュージック・シーンに限定していえば、かつて genetic LOAD PROJECT の NAOYUKI さんや体育 Cuts さんが、記憶が飛んでしまうほどの入り込み方をしていたのを拝見したことがありますが、周さんの入り込み方も、まさにそういう種類のものでした。

3曲目の新曲「旅人」は、たぶん今回の風太郎企画のタイトルを意識して書き下ろされたものであろうと思うのですが、若者の成長譚としての要素がある冒険物語の主題歌にピッタリという雰囲気があって、藤嶋はすごく好きです。この曲はバンド・アレンジでもぜひ聴いてみたい!

4曲目、Salyu さんのカヴァーの「to U」の出だしで、周さんはトチってしまったのだけれど、この辺りから、周さんは常態に戻っていったような感じでした。ラストの「地球儀」のパフォーマンスでは、感情の奔出というよりは、こうして歌えることの嬉しさとか楽しさのほうが、より強く伝わってきました。

この日のパフォーマンスを観て、藤井 周というアーティストさんは、命を削って歌っているかただ、と思いました。

命を削って歌うことによって、生きている。

周さんは、そういうかたです。



藤本大祐さんは、トリで登場。

1曲目は、なんと、周さんとのコラボ。周さんのピアノ伴奏で、My Little Lover の「Hello, Again ~昔からある場所~」をカヴァー。ギターを持たずに歌っている藤本さんの姿を、私は初めて拝見させていただきました。

ライヴ前の藤本さんと周さんの Twitter でのやりとりから、この日のイヴェントでおふたりが何かを企んでいらっしゃることは予想していたのだけれど、そんな私にも、このコラボは充分にサプライズでした。

大好きなアーティストさん同士のコラボって、オーディエンスには本当に嬉しいものだし、励ましの力をくれるものなんです。

だって、人と人とが手を取り合って新しい何かを生み出すことの素晴らしさを、感じさせてくれるから。

藤本大祐さんと藤井 周さん


藤本さんも、この日のライヴに至るまでには、かなりの心労があったはずです。ご親戚が被災され、何日ものあいだ無事が確認できず、辛い日々だったことと思います。

幸いにも、被災されたご親戚のみなさんは、全員ご無事でした。本当によかったです。

そうした心労を経てきた、この日の藤本さんの姿と歌声に、迷いは全くありませんでした。

「今の僕にできることは、歌をうたうことだ」という、確信と決意。その揺るぎのなさ。

藤本大祐さん1


この日の藤本さんは、躍動的なナンバーを意識して多く演奏なさってくださいましたが、いつも以上に躍動的でありながら、いつも以上に平穏な雰囲気を湛えていたのもまた、藤本大祐さんでした。

歌うことへの確信と決意と、揺るぎのなさが、藤本さんのパフォーマンスに、躍動的でありながら祈りのような平穏な佇まいをも同時に与えていたのです。

藤本大祐さん2


ラストに演奏されたのは、CD化もされている「風花」。藤本さんの世界観が最もわかりやすく示されているうちの1曲であり、私がいちばん好きな藤本さんの曲であり、そして、今の私たちにできること、なすべきことが歌われている曲です。

「風花」ジャケット




そして最後に、オーガナイザーの風太郎さん。

何が起こるかまだまだ油断はできない状況下で行なわれたライヴの責任者として、集まったお客さまがたの安全を確保するため、この日の風太郎さんは、いつもの風太郎企画以上に、張り詰めた気持ちでいたことと思います。

にもかかわらず、ピリピリしたようなところは全く見せず、それでいて、お客さま1人ひとりに互いへの配慮を呼びかけ、避難経路の説明等も怠らず、そんな風太郎さんの姿は、本当に頼もしかったです。

「この人が責任者なら大丈夫!」と思わせてくれる、そんな大きな存在感が、風太郎さんにはありました。

百瀬あざみさんの演奏の直前、大きな余震が発生しました。そのときも風太郎さんは、パニックを引き起こさないよう、冷静にふるまい、お客さんに不要な心配を与えることなく、イヴェントを続行させ、無事に完遂させてくれました。

風太郎さん、本当に、本当に、お疲れさまでした。

あなたはすごい人です。

このイヴェントを開催してくれたことを、心から感謝します。どうもありがとう。


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2011.03.27 Top↑
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