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Living Together Lounge Vol.76 フライヤー4月3日(日)は、Living Together Lounge Vol.76に足を運んでまいりました。

Living Together Lounge は、新宿 CLUB ArcH を会場に、毎月第1日曜日に行なわれている、Living Together 計画のクラブ・パーティです。「HIVを持っている人も、そうじゃない人も、ぼくらはもう一緒に生きている」というリアリティーの共有をコンセプトに、HIV陽性のかたやその周辺のかたがたの手記のリーディングと、アーティスト/ミュージシャンのかたのライヴ・ステージによって構成されています。

※Living Together 計画のサイトはこちら

さて、今回ライヴを行なわれたのは、新宿二丁目のバー、Base のマスターの Toshi さん(ヴォーカル)と、そのパートナーさんの Tadayuki さん(ピアノ)のおふたりによるユニット、IL ponte(イル・ポンテ)

新宿二丁目に限らず、ゲイ・バーのマスターを務められているみなさんは、歌のお上手なかたや、パフォーマンスに秀でていらっしゃるかたが、本当に多いんですよねー。お店にカラオケの設備がある場合には、歌を歌うということが営業スキルのうちに含まれてくるのかもしれませんが、特にカラオケの設備がないお店のマスターさんでも、歌のお上手なかたはたくさんいらっしゃるんですよね。

かつてのゲイ・インディーズにも、ゲイ・バーのマスターさんやスタッフのかたが中心メンバーを務めていらっしゃったユニットやバンドが、たくさん存在していました。たとえば、東京のゲイ・インディーズの黎明期に活躍したユニットバス、ゲイ女子として初めてゲイ・インディーズのイヴェントに登場した CHU~さん、札幌のゲイ・インディーズの立役者である borderless やヨロコビ、東京におけるバンド系の隆盛のきっかけを作った All Kitties、etc...。

もちろん、ゲイ・インディーズにはコミットせずに音楽活動を行なわれているバーのマスターさんも、たくさんいらっしゃいます。というよりも、かつてのゲイ・インディーズ・シーンには直接コミットされていなかったかたたちのほうが、たぶん数が多いはずです。それは何も、主義主張の違いなどという大袈裟な話では全然なくて、たとえばその音楽活動は自主制作CDのリリースのみで、ライヴ活動は一切行なっていらっしゃらないという場合や、あるいはお店の周年パーティやクリスマス・パーティを主な演奏活動の場としていらっしゃる場合とか。

今回の Living Together Lounge Vol.76に登場された IL ponte のおふたりは、後者のタイプのユニットさんです。

フライヤーに掲載されていたプロフィールによると、「オリジナル曲ではなく、ゲイシーンの中で愛されるアーティストの楽曲を広くカバーし、通常はお店でのクリスマスイベント等でのライブ活動がメイン」とのこと。

私は Toshi さんのお名前とお顔は一方的に存じ上げていましたが、Toshi さんのお店である Base には、何年も前に、二度ほどお邪魔したことがあるだけで、パーティなどのイヴェントには足を運んだことがありませんでした。そういうわけで、IL ponte のおふたりのパフォーマンスを拝見したのは、今回が完全に初めてでした。

Toshi さんは、ふつうに会話なさっているときでも、まるで舞台役者さんのように朗々とした、響きの深い、とっても耳に心地良いお声の持ち主。いわんやその歌声をや。とにかく気持ちが良いのです。ご本人は「ただただ歌うのが大好きな、単なる出たがり」と謙遜なさっていらっしゃいましたが、Toshi さんの歌声には、歌うことを純粋に楽しんでいらっしゃるからこその、歌への愛情があふれ出していて、その愛情の深さが、オーディエンスをグッと引き込むのですね。

藤嶋は、行きつけのゲイ・バーが何軒もあるような行動的なタイプのゲイではないので、藤嶋がいまだにその音楽活動を存じ上げていないバーのマスターさんは、Toshi さんのほかにも、きっと大勢いらっしゃるはずです。ひょっとすると、“バーのマスターさんによる音楽”という括りだけで、ゲイ・ミュージックの一区画が形成できてしまうのではなかろうか? というほどに。

(んが、しかし、今回の Living Together Lounge のような機会がない限り、藤嶋のように行きつけのお店を1人で新規開拓するのが極端に苦手な人間には、音楽活動を独自に展開していらっしゃるバーのマスターさんの実数を把握するのは、ちと難しいことなのですが。)

     ☆

さてさて、今回初めて拝見させていただいた、IL ponte のおふたりのパフォーマンス。

今回のステージにはスクリーンが設置されていて、オリジナルの映像を背景にしながらの演奏だったのですが、Toshi さんのMCによると、お店のパーティでライヴをするときは、いつもこのように映像とのコラボを行なっていらっしゃるのだそうです。

IL ponte1


オープニング曲は、偶然にも、3月19日に阿佐ヶ谷 NEXT SUNDAY にて行なわれた『土曜日の旅人達』で、藤本大祐さんが藤井 周さんとのコラボで熱唱したのと同じ、My Little Lover の「Hello, Again ~昔からある場所~」でした。

今回、IL ponte のおふたりが、この曲をパフォーマンスされたのは、Toshi さんのMCによると、新宿二丁目のスナック九州男さんを会場に行なわれている、Living Together 計画のイヴェントの1つ『Living Together のど自慢』に、Toshi さんが出演されたとき(私は実際には拝見していないのですが、Living Together 計画のサイトに掲載されている記録によると、2010年9月26日の第16回)に、やはりこの曲を歌われたのだそうです。今回のライヴでは、緊張をほぐすためという理由から、オープニングにこの曲を選ばれたとのこと。

したがって、IL ponte のおふたりと藤本大祐さんが、震災後初めてのライヴで、そろって同じ曲をオープニングで歌われたというのは、まったくの偶然なのだろうとは思うのですが、そのどちらのライヴも拝見させていただいている藤嶋には、この偶然の一致が、同時に必然めいたもののようにも感じられました。

――たぶん私は、これから先もずっと、この「Hello, Again ~昔からある場所~」を耳にするたびに、震災後の過剰な自粛ムードの中で、歌の力によって人々の心に明るさを呼び戻そうとがんばっておられるミュージシャンのみなさんの姿を、思い出すことになるだろう――そんな予感が、しています。

続いては、槇原敬之さんの「ANSWER」と、平井堅さんの「太陽」(「Sing Forever」のカップリングで、TBSテレビ主催のゴッホ展のテーマ曲)。「太陽」を歌うにあたって、Toshi さんは、次のように語っておられました。

「ぼくやウチのお店が、お客さんやそこに携わるかたたちにとって、小さくてもいいから太陽のような存在であればいいな、と。みんなにとって日なたであったり、常に光を当ててもらえたり、和む場所であればいいなという、そんな思いで、この曲を歌わせていただきます。愛にあふれた歌です」


――この Toshi さんのお言葉は、一向に絶える兆しのない余震と原発への不安に沈みがちな私たちの心に、じんわりと温かく染み入るものでした。

3曲の演奏が終わったところで、かつてのゲイ・インディーズにおいて、Plus や Ashtray といったユニットの音作りの中心を担っていた Taishi さんがサポートで登場。そしてここで Toshi さんは、HIVの啓発活動について、次のようなお話をされました。

「お店(バー)という場でHIVについての会話をするのは、まだまだタブーな部分が多くて難しいのですが、今の時代、これからの時代、お店という場が、こうした啓発活動にもっともっと踏み込んで、拡げていかなくてはいけないのではないか。まして、二丁目という場所は、いろいろな情報の発信の元であり、どの街よりも、どの地方よりも、情報が手に入りやすく、みなさんもより受け入れてくれる街なので、ぼくもこの街で仕事をしている限りは、大事なお客さんを守るため、大事な恋人を守るため、大事な家族を守るため、啓発活動に携わっていきたい」


そして「仲間に対する愛にあふれた歌です」という曲紹介の後に歌われたのが、槇原敬之さんの「Such a Lovely Place」でした。

IL ponte2


ラスト・ナンバーは、オフコースの「生まれ来る子供たちのために」。Toshi さんのMCによると、震災後の最初の Living Together Lounge でライヴを行なうことになったのは、これも縁なのではないか? という思いから、Tadayuki さんの提案で、この曲を歌うことになさったのだそうです。

この曲が発表されたのは1979年のことですが、そこで歌われているメッセージは、この震災後の日本社会で、おそらくは発表当時以上の切実味を帯びて、私たちの心に響いてきます。

「何もできない自分ですが、この場は歌おうと思っています」とおっしゃった Toshi さん。その Toshi さんの思いは、私が震災後にライヴを拝見してきたミュージシャンのみなさんのそれと完全に重なり合っていると、私は感じました。

     ☆

震災後初の Living Together Lounge で、カヴァー曲をメインとするユニットだからこその、メッセージ性の際立ったセット・リストで、真摯な歌と演奏を届けてくださった、IL ponte のおふたり。

Toshi さんのお言葉どおり、太陽のようにオーディエンスの心を明るく照らし出し、温めてくださる、そんな愛にあふれたパフォーマンスでした。
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2011.04.13 Top↑
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