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アメリカ版『Seventeen』2月号表紙今月末にニュー・アルバム『ウォーリア (Warrior)』が日本でも発売される KE$HA(ケシャ)が、自身のバイセクシュアリティーを明らかにしたというニュースは、既に日本でも、いくつかのゴシップ系ニュース・サイトやブログで報じられています。

ケシャは、アメリカ版『Seventeen』誌の今月発売号(2月号)のインタヴューで、「男の人だけを好きになるんじゃなくて、人を好きになる。ジェンダーは関係ない。一緒にいる人から滲み出して来るスピリットが大切」と語りました。

歌手のケシャ、愛といじめについて語る(Infoseek ニュース、2013.01.06)

上のリンク先の日本語記事の本文中には、「以前から自身がバイセクシャルであることを公言しているケシャ」との記載があります。これは2010年1月に、彼女がアメリカのメジャー・ゲイ雑誌『Out』のインタヴューに応えて、「私がゲイなのかストレートなのかなんて話をするつもりはないわ。私は物事をラベリングするのが嫌いなの。私は人が好きなのよ」と発言していることに拠っています。

Face to Face: Ke$ha (Out Magazine, 2010.01.04)

性的指向を曖昧にしている、イコール、バイセクシュアルである、という解釈により、この発言以降、彼女はバイセクシュアリティーを公言しているアーティストだとされてきましたが、今回のインタヴューの発言が、こうしてまた改めて大きく取り上げられているのは、イギリスのタブロイド紙『Daily Mail』がこれを「ケシャが性的指向を明らかにした」という見出しで報じている影響も、少なからずあるように思われます。

Ke$ha gets a makeunder and reveals bisexuality in Seventeen's February issue (Mail Online, 2013.01.02)

この『Daily Mail』紙のライターは、先に紹介した『Out』誌の2010年1月のインタヴュー内容を知らなかったわけではありません。それどころか、今回の記事の冒頭で、そのインタヴューの内容に触れてさえいます。

つまり、今回の『Seventeen』誌のインタヴューは、2010年1月の『Out』誌での発言が性的指向を曖昧にしているだけのものだったのに対して、そこから具体的に性的指向に踏み込んで、「男の人だけを好きになるのではない」と発言していることから、『Daily Mail』紙はこれを、「バイセクシュアリティーを明らかにした」と報じたのだと考えられます。



ところで、アメリカのミュージック・シーンでは、アーティストがゲイやレズビアンであることをカミング・アウトするのは、する側もされる側も、これを忌避する傾向が依然として続いています。

ところが。

バイセクシュアルであることを公表したり匂わせたりするのは、デヴィッド・ボウイやローリング・ストーンズのミック・ジャガーの時代からこのかたずっと、大衆からの注目を集める手段の一つとして、むしろ大いに有効であり続けているんですね。

もちろん、バイセクシュアルであることがどのようなイメージで受け止められているのかについては、時代によって変化しているとは思います。しかし、たとえば近年でも、黒人女性ラッパーのニッキー・ミナージュが、注目を集めるためにバイセクシュアルを演出していました。彼女のバイセクシュアリティーが偽りであったことは、『Black Men』誌のインタヴューで本人が認めています。

Nicki Minaj Opens Up on Childhood Abuse, Sexuality (Rolling Stone, 2010.12.1)

バイセクシュアルを偽っていたことで、アメリカのレズビアン・メディアはニッキー・ミナージュに失望しました。しかし大衆からの支持は依然として失われていません。これは見方を変えると、たとえ虚偽であることがバレたとしてもダメージは少ないということであり、だからこそ昔も今も、バイセクシュアルのふりをするのはアーティストの売り出し戦略として有効であり続けている、という面もあるのかもしれません。

(ただし、ニッキー・ミナージュの場合は、彼女がバイセクシュアルを演出して以降、バイセクシュアリティーを公にする黒人女性ヒップホップ・アーティストが次々と登場しているので、ニッキー・ミナージュはヒップホップ界のセクシュアル・マイノリティーの可視化に大いに貢献したと言えます。)

このように、現在でもニッキー・ミナージュなどの例がありますが、バイセクシュアルであることを自称するアーティストのすべてが、売り出し戦略の一つとしてカミング・アウトを行なっているわけでは、決してありません。

たとえば、以前このブログで「選択的バイセクシュアル・アーティスト」について、いろいろと書いたことがありましたが、その中で紹介したグリーン・デイのビリー・ジョー・アームストロングなどは、LGBTの擁護を目的として自身をバイセクシュアルだと発言したアーティストでした。

※当ブログのカテゴリ「選択的バイセクシュアル・アーティスト」は、こちら

では、はたしてケシャの場合はどうなのでしょうか。



『Daily Mail』紙の記事が出た2日後の1月4日に、アメリカのゲイ向けポータル・サイト EDGE on the Net でも、ケシャのカミング・アウトの話題が取り上げられました。

Ke$ha Comes Out as Bisexual (EDGE on the Net, 2013.01.04)

この記事は、ニュースというよりも、どちらかといえばコラムに近いような内容です。KE$HA がいかにゲイ・フレンドリーなアーティストであるかを示す複数のエピソードがこの中で紹介されています。

たとえば、2010年の全米 No.1シングル「ウィー・アー・フー・ウィー・アー (We R Who We R)」は、いじめに苦しんでいるゲイのティーンネイジャーたちに捧げられたものであることや、Gaydar Radio のインタヴューで「ゲイになりたいか」と聞かれて「もちろん!」と応えたことや。

他にも、イギリスのタブロイド紙『The Sun』の昨年11月のインタヴュー内容も紹介されています。その中でケシャは、新作のタイトルを『ウォーリア』とした理由の一つとして、いじめにさらされている10代のゲイやレズビアンのファンと多く触れ合ってきたことで、自分が戦士のような気がしているからだと答え、さらに次のように続けたそうです。

「私にはたくさんのゲイとレズビアンのファンがいるわ。いじめに立ち向かっていくのに私の音楽がどれだけ力になっているか、それを聞かされて、愛と受容についての曲を書きたくなったの。」


Kesha on love, her idols and albums (The Sun, 2012.11.13)

つまり、この EDGE on the Net の記事が伝えていることというのは、ケシャの性的指向というよりも、ケシャのLGBTアクティヴィストとしての側面と実績、なんですね。

単にバイセクシュアルを公言しているだけでなく、アクティヴィストとしての側面も強い女性アーティストといえば、レディー・ガガが有名です。この EDGE on the Net の記事もケシャとレディー・ガガを比する文章で締めくくられていますが、そこにはゲイ・イコンとしてのケシャのこれまでに寄せている信頼と、これからに寄せる大きな期待が込められているように、私は感じました。



それでは最後に、全米のヒット・チャートで最高2位を記録したばかりの、『ウォーリア』からの先行シングル「ダイ・ヤング (Die Young)」のミュージック・ヴィデオをご覧ください。



"Die Young"
(2012)


ウォーリアウォーリア
(2013/01/30)
KE$HA、イギー・ポップ 他

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2013.01.17 Top↑
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