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数年前、このブログではアジアン・クイアー・ミュージックについて集中的に書いた時期がありましたが、私は基本的に、アジア諸国のLGBT事情、およびエンタテインメント情報について、それほど詳しいわけではありません。

※当ブログのカテゴリ「アジアン・クイアー・ミュージック」は、こちら

そういうわけで、ゲイ・コミック作家の田亀源五郎先生が1月24日付でツイートなさった内容を読んだとき、俳優のアンソニー・ウォンがゲイであることをカミング・アウトしていたのかと最初は勘違いしたのですが、そうではなく、話題になっていたのは歌手のほうのアンソニー・ウォンでした。私と同じ勘違いをしてしまったかたは、他に何人もいらっしゃったようです(笑)。

田亀先生の件のツイートが、こちら。
田亀先生の1月24日付のツイート


田亀先生は海外のゲイ関連のニュースも積極的にたくさんツイートしていらっしゃるので、そうした方面に関心のあるかたは、Twitter で田亀先生をフォローされることをおすすめします。

さて、件のツイートで名前が出てきているアンソニー・ウォン(黄耀明)は、1980年代に活躍した香港のポップ・ユニット、達明一派(タッミンペア)のヴォーカリストです。昨年(2012年)4月23日に行なわれたデビュー25周年記念コンサートの中で、ゲイであることをカミング・アウトしました。

デビュー25年目で同性愛を告白!耽美系歌手のアンソニー・ウォン―香港(Record China、2012.04.25)

【華流】達明一派アンソニー、25周年コンサートでカミングアウト(サーチナ、2012.04.26)

達明一派のメンバーは、ヴォーカルのアンソニー・ウォンと、ギターのタッツ・ラウ(劉以達)の二人。結成は1985年。UK ポップスからの影響を受けた音楽性とグラム・ロック的な耽美なヴィジュアルで人気を博しましたが、1990年には方向性の違いから解散。以降のアンソニー・ウォンはソロ・アーティストとして活躍を続けていますが、1996年と2003年、そして昨年(2012年)にも、達明一派は再結成を行なっています。

そのデビュー25周年記念コンサート『達明兜兜転転演演唱唱会』は4日間に渡って行なわれたのですが、最終日の23日のステージで、アンソニーは「忘記他是[女也]」「禁色」の2曲を歌った後、突如として自分がゲイであることをカミング・アウトしたのだそうです。

そのときのアンソニーのMCの具体的な内容が、下にリンクさせていただくブログ『華流 チャイナ日和 (又名:華流的一天)』さんの中で紹介されています。それをここにも引用させていただきます。

「1988年に、キース・チャン(陳少[王其])氏に『禁色』を、1989年に、チャウ・イウファイ(周耀輝)氏に『忘記他是[女也]』を、それぞれ作詞してもらいました。僕はこれまで自分のことをあえて隠してこなかった。だから、世間もマスコミも暗黙の了解だったはずだけど、ここではっきりと公表します。『僕はオカマではありません。しかし、同性愛者です。僕はゲイです』。僕は他の同性愛者やゲイの方たちが『禁色』の中にある歌詞のようになることを願っています。この21世紀に僕たちには夢や幻は必要ありません。いつか、僕たちが人を愛する時、他人の許可が必要なくなり、みんなも僕がオカマかどうかを疑う必要もなくなります。僕は同性愛者です。僕は男性が好きです。マスコミの皆さんには申し訳ありませんが、僕は今後20年は歌い続けます。でも、もうこの話題で僕に質問する必要はありません。最後にもう一度はっきりさせてください。僕がこれまでずっと公表してこなかったのは、この話題以外で自分がマスコミに取り上げられなくなることが怖かったからです。でも、今夜すべてを話しました。ありがとう、みんな」


勇敢宣布:「達明一派」のアンソニー・ウォン(黄耀明)が同性愛を正式に公表「僕はゲイです」(華流 チャイナ日和、2012.04.25)

“忘記他是[女也]”
(1989)


さらにアンソニー・ウォンは4月30日に、香港の同性愛者向けテレビ番組『自己人』に出演。カミング・アウトの理由を「有名人の1人として事実を語り、社会的風潮を変える働きがしたかった」からだと語っています。

同性愛カミングアウトのアンソニー・ウォン「レスリー・チャンのカップルがうらやましかった」―香港(Record China、2012.05.01)



そして、田亀先生の件のツイートに名前が出ていた、もう一人の香港セレブが、女性歌手のデニス・ホー(何韻詩)です。彼女は昨年11月に行なわれた香港のゲイ・パレードで同性愛をカミング・アウトしました。

人気女性歌手デニス・ホー、同性愛をカミングアウト!告白を両親も見守り―香港(Record China、2012.11.11)

男装の主人公を演じた舞台劇『賈寶玉』の主題歌「癡情司」のミュージック・ヴィデオでは、女優の舒淇と同性愛を演じていたデニス・ホー。中性的なヴィジュアルの彼女は、やはりかねてから性的指向を憶測されていたそうなのですが、彼女もアンソニー・ウォンと同様、「芸能人という公的立場にいる人間として、同性愛者にも平等な権利を与えてほしいと、みんなを代表して叫びたかった」という理由で、カミング・アウトに踏み切ったそうです。

“癡情司”
(2011)




アンソニー・ウォンもデニス・ホーも、著名人として社会に働きかけたいという意志の下にカミング・アウトをしていますが、今年に入ってからは、LGBTアクティヴィストとして具体的かつ大きな動きを見せています。

二人は今月、香港の現職議員の何秀蘭氏と共に、「Big Love Alliance 大愛同盟」というNPOを立ち上げ、中国版ツイッターで、「撐同志、反歧視 / NO Legislation IS Discrimination」と書かれたものを持って写っている画像をアップしようという呼びかけを行なっているのだそうです。

それに呼応してアップされた画像のうちの一つが、件の田亀先生のツイートで紹介されている、熟年ゲイ・カップルのウェディング写真なのです。

このキャンペーンの背景について書かれた日本語のテクストとしては、w-woods さんによる一連のツイートが簡略でわかりやすいです。それによると、「香港では“『不同性傾向平等權利』議案”(『人は性的指向によらずに平等』を盛り込んだ法案)が去年からなかなか進展しない中、近々発表される予定の施政報告で、それについて言及されている部分が特定の過激団体や議員の圧力によって削除されたとの情報が流れ」たのだそうです。アンソニー・ウォンとデニス・ホーによる中国版ツイッターでのキャンペーンは、これを受けての動きであるようです。

このキャンペーンには、著名人からの賛同も相次いでいるらしく、以前にこのブログでも2007年5月27日のエントリで紹介したチェット・ラム(林一峰)が、応援メッセージを寄せています。

Hong Kong celebrities come out against discrimination of sexual minorities (Shanghaiist, 2013.01.17)

上のリンク先の記事によると、香港だけでなく台湾の著名人も、「Big Love Alliance 大愛同盟」のキャンペーンに賛同や応援のメッセージを寄せており、今回のキャンペーンはどうやら台湾の芸能界にも影響を及ぼしているようです。



昨年カミング・アウトしたばかりの、香港の二人のポップス歌手、アンソニー・ウォンとデニス・ホーが、LGBTアクティヴィストとしての側面を一気に先鋭化させた、今回のキャンペーン。

その影響が香港や台湾の芸能界に及んでいることにより、ひょっとしたら今年は、昨年に引き続き、アジアン・ポップス・シーンからのカミング・アウトが相次ぐかもしれません。



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2013.01.24 Top↑
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