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 2005年の映画『ブロークバック・マウンテン (Brokeback Mountain)』の大ヒットの記憶は、私には未だに鮮明なのですが、その『ブロークバック・マウンテン』のオペラ版の上演が、スペインのマドリッドのテアトロ・レアルにて、今月(2014年1月)の28日から、いよいよ開始されるそうです。アメリカのLGBT向けエンタテインメント・ニュース・サイト、NewNowNext が、昨日(2014年1月7日)付で報じています。

“Brokeback Mountain” Opera Opening In Madrid This Month (NewNowNext, 2014.01.07)

 この NewNowNext の記事に拠ると、今回のオペラ版の作曲を手がけているのは、アメリカのコンテンポラリー・クラシカル・ミュージックの作曲家の、チャールズ・ウォリネン (Charles Wuorinen)。そして作詞は、原作者のアニー・プルーが自ら手がけているそうです。

 現代音楽=アヴァン・ギャルド、というイメージが私にはあって、それは非常に安易な先入観なんだろうなとも思うのですが、しかし、この NewNowNext の記事の中でも、今回のオペラ版『ブロークバック・マウンテン』は、「アヴァン・ギャルド・オペラ」と紹介されています。

 少なくとも記事を読んだだけでは、『ブロークバック』の世界観とアヴァン・ギャルド芸術との融合を、私にはなかなか巧くイメージできないというのが、正直なところです。しかし、作詞を手がけているのは原作者自身である以上、原作小説の精神が損なわれた作品になるはずはなかろうと、現時点で作品を未見の私は、そのように考えています。

 キャストは、2005年の映画版では故・ヒース・レジャーが演じていたイニス・デル・マーを、カナダのバス・バリトン歌手のダニエル・オークリッチが、そしてジェイク・ジレンホールが演じていたジャック・ツイストは、アメリカのテナー歌手のトム・ランドルが演じるそうです。

 ちなみに、今回のオペラ版『ブロークバック・マウンテン』は、もともとはニューヨーク・シティ・オペラの依頼により制作が進められていたのだそうです。しかし、昨年(2013年)10月、ニューヨーク・シティ・オペラは、財政難のために破綻。ディレクターのジェラルド・モルティエの辞任により、いったんは制作が中断されたものの、モルティエがこれをマドリッドのテアトル・レアルに持ち込んだことで、ついに上演が実現したのだそうです。

 このオペラ版『ブロークバック・マウンテン』は、日本からもチケットが入手可能のようです。私は残念ながらマドリッドにまで観に行けるだけの時間的・経済的な余裕がないのですが、日本公演の実現やソフト化を待ちきれん! というかたは、ぜひ観に行かれてはいかがでしょうか。

ブロークバック・マウンテン: テアトロ・レアル in マドリード, マドリッド (CLASSICTIC.com)

 それから、これは今回の NewNowNext の記事を読んで初めて知ったことなのですが、このオペラ版『ブロークバック』の作曲家であるチャールズ・ウォリネンは、オープンリー・ゲイなのだそうです。

チャールズ・ウォリネン
(Photo: Susan Johann)

チャールズ・ウォリネン公式サイト
http://www.charleswuorinen.com/




 英語版 Wikipedia のチャールズ・ウォリネンの記事を見てみると、こちらにも“He is married to his longtime partner and manager, Howard Stokar.”との記述があります。

 しかし、この記述の参照元として示されているのは、ウォリネンのマネージャーでありパートナーでもあるというハワード・ストーカーの公式サイトのトップページの URL のみ。これではソースが示されていないも同然です。

 そこで、自分でもいろいろと調べてみたのですが、結局、正確なソースは私にはわかりませんでした。

 まあ、件の記事を初めて読んだのが昨日の今日なので、ネット上の記事や関連文献を隅なく調べた上での話ではないし、そういう以前に、単に私の検索の仕方が悪いだけなのかもしれませんが。



 さて、ここで話は少々脇道に逸れますが、私は以前、このブログで、ニューヨーク・ポップス・オーケストラの音楽監督であり、吹奏楽の作曲家である、スティーヴン・ライニキー (Steven Reineke)について書いたことがありました。

 ライニキーもまた、ゲイであることを公にしているのですが、私の書いたその記事で紹介しているインタヴューの中で、ライニキーは、自身の作品と性的指向との関連性について、「ゲイであることは、僕の曲作りには全く何の影響も及ぼしていない」と語っていました。

N.Y.ポップス・オーケストラの音楽監督、スティーヴン・ライニキー (当ブログの2010年11月3日付のエントリ)

 そうしたライニキーの考え方が、はたしてライニキー以外のオープンリー・ゲイのクラシカル・ミュージックの作曲家や演奏家たちのあいだでも、平均的なものであるのかどうかまでは、クラシカル・ミュージックの分野に明るくはない私には、残念ながらわかりません。

 今回ウォリネンが手がけたオペラ版『ブロークバック・マウンテン』にしても、原作が別個に存在している以上、これはウォリネン自身の性的指向を直接的に反映したものではありません。

 しかし、『ブロークバック・マウンテン』という物語は、男性同性愛がテーマの作品です。その要素をオミットして脚色することなど、到底不可能です。

 そのような作品のオペラ化を、オープンリー・ゲイのコンテンポラリー・クラシカル・ミュージックの作曲家であるチャールズ・ウォリネンが手がけている、という点こそが、私にはいちばん興味深いのです。

 オペラ版『ブロークバック・マウンテン』の真にアヴァン・ギャルドである点というのは、作品のテーマに男性同性愛が持ち込まれることの少ないクラシカル・ミュージックの分野において、オープンリー・ゲイの作曲家が男性同性愛テーマのオペラを作曲したという、その事実にこそあるのではないか、という気が、私はしています。

 先にも書いたとおり、私はオペラを観るためだけに海外にヒョイッと渡航できるような身分の人間ではないので、このオペラ版『ブロークバック・マウンテン』の日本公演、あるいはソフト化を、切に待ち望んでいます。



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