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 昨年1年間はブログの更新をお休みさせていただいていましたが、今回は久しぶりに、海外の LGBT ミュージック関連の話題です。



 イギリスのボーイバンド、ユニオン・J (Union J)のメンバーであるジョージ・シェリー (George Shelley)が、昨日(2016年2月3日)、YouTube を通じて、かつては男性の恋人がいたこともあるのを明らかにしました。イギリスのゲイ・メディアは、その日のうちに一斉にこれを報じました。

George Shelley: “I’ve had girlfriends, but I’ve also had boyfriends”(Gay Times Magazine, 2016.02.03)

UNION J’S GEORGE SHELLEY COMES OUT: ‘I’VE HAD GIRLFRIENDS AND BOYFRIENDS’(Attitude.co.uk, 2016.02.03)

Union J singer comes out: I’ve had boyfriends and I’ve also had girlfriends (PinkNews.co.uk, 2016.02.03)

ジョージ・シェリー(ユニオン・J)
(画像は Attitude.co.uk の記事より)


 件の動画が、こちら。




 この動画の中で、ジョージ・シェリーは次のように語っています。


「僕がストレートなのかゲイなのか、それともバイなのか、そういう憶測を、これまでオンライン上でたくさん見かけてきたけど、もうそういうのはちょっと時代遅れだよ。だから僕は自分で自分にラベルを貼るつもりはないよ。」

「僕にはガールフレンドがいたこともある。それは素敵な人生経験だったけれど、でもボーイフレンドがいたことだってある。つまり、僕の次の恋人は女性かもしれないし、あるいは男性かもしれないってこと。僕はどちらも好きなんだ。これはわざわざ騒ぎ立てるようなことじゃない。たまたまそうだったというだけであって、僕はこれをおおごとにはしたくないんだ。これ以上不安になりたくはないんだよ。みんなが僕のことをどんなふうに言っているかとか、どんなレッテルを貼られているんだろうとか、そんなことをいちいち気に病んで、まるで自分が自分じゃないみたいに感じるようにはなりたくない。」

「僕は何も変わっていない。今でも僕のままだ。ずっと今までどおりの人間なんだ。少しも自分に不安を感じてはいないし、そのおかげでとってもハッピーなんだよ。」


 このジョージのカミング・アウトを受けて、ユニオン・J の他の3人のメンバーたちは、いずれもサポートの意を表明しています。

Union J boys show support for bandmate George Shelley (Gay Times Magazine, 2016.02.03)

 ユニオン・J の他の3人のメンバーのうち、ジェイミー・ヘンズレーは、デビュー時からゲイであることを既に公にしている、オープンリー・ゲイです。長年のパートナーであるオリー・マーモンという男性との婚約も発表しています。そのジェイミー・ヘンズレーは、上にリンクを張った『Gay Times Magazine』誌の記事に拠ると、次のように語っているそうです。


「誰だって、自分のことは自分で決める権利がある。僕は誰かに何かを無理強いしたりなんて絶対にしない。だから、親にカミング・アウトしていない友だちだって、僕にはいるよ。でも、やっぱり僕は、彼らのことを気の毒に思うな。だって、僕自身はカミング・アウトのおかげで、思う存分に人生を送ることができるようになったんだからね。」

「カミング・アウトって、こんなにも人生を一変させるものなんだよ。今がその時と感じたら、誰だってするだろうと思う。それでもいまだに多くの人たちにとって、それはタブーなんだよ。ボーイバンドのメンバーだったりすると、特にね……。」


 ジョージ・シェリーは件の動画の中で、「自分で自分にラベルを貼るつもりはない」と語っています。ところが、今回の彼の告白を、イギリスのマス・メディアの多くは、「バイセクシュアルをカミング・アウト」と報じているそうです。

 そして、その報道の仕方に対し、ユニオン・J のファンは、「ラベルを貼るつもりはないと語っているジョージにバイセクシュアルのラベルを貼るとは何事か」と、大きく反発しているそうです。

People aren’t happy that George Shelley is being labelled bisexual (Gay Times Magazine, 2016.02.03)

 確かにジョージ・シェリーは、自分で自分をバイセクシュアルだと定義してはいません。ゆえに、今回の彼の告白を「バイセクシュアルをカミング・アウト」と報じるのは、正確な報道ではありません。

 実は、同じような例は過去にもあります。たとえば、2014年5月28日に、アメリカの音楽誌『The FADER』からのインタヴューを通じてカミング・アウトを行なったサム・スミスは、そのインタヴューの中で、「僕はゲイだ」と明言したわけではありませんでした。彼はあくまでも、1st アルバム『イン・ザ・ロンリー・アワー (In The Lonely Hour)』は男性との恋愛体験にインスパイアされたものだ、ということを語っただけです。しかしアメリカのゲイ・メディアは、これを「サム・スミス、ゲイをカミング・アウト」として報じました。

サム・スミス バイオグラフィー (Queer Music Experience.)

 このように、自身の同性愛を告白しながらも、しかしラベリングは拒んだり回避したりするというアーティストの例は、過去にもあるんですね。

 ただ、ここで我々が気をつけたいのは、ジョージ・シェリーも、そしてサム・スミスも、2人ともイギリス出身のアーティストである、ということです。

 実は、イギリスのアーティストによる同性愛のカミング・アウトというのは、それによって特定の性的指向に自分がラベリングされてしまうのを回避したり拒絶したりしようとする言説が伴うケースも、意外に多いんですよね。

 たとえば、同性のパートナーの存在を告白しながらも、自身がレズビアンと呼ばれるのは拒絶していたサマンサ・フォックスやアリソン・ゴールドフラップなども、やはりイギリスのアーティストです。

サマンサ・フォックス バイオグラフィー (Queer Music Experience.)

アリソン・ゴールドフラップ バイオグラフィー (Queer Music Experience.)

 こうした傾向というのは、おそらく、イギリスのマス・メディア、特にタブロイド紙が、同国のアーティストたちからは強い不信感を抱かれていることと、大いに関わりがあるように思います。

 イギリスのタブロイド紙は、捏造記事を掲載したり、事実を捻じ曲げて報じたりするのは日常茶飯事です。だから、イギリスのアーティストたちは、総じてインタヴューを毛嫌いする傾向が強い。フレディ・マーキュリーやモリッシーも、インタヴュー嫌いで有名でしたが、その原因もこれです。そんなイギリスのタブロイド紙に比べたら、日本の夕刊紙やスポーツ新聞などの芸能記事なんて、もう、全然おとなしいほうです。

 だから、イギリスのアーティストが同性愛を告白する際に、同時に「レッテルを貼られたくない」とも口にしているケースがしばしばあるというのは、これはラベリングそのものを忌避しているというよりも、タブロイド紙が必要以上に話を盛って興味本位で報じるのを警戒してのことだというのが、たぶん実情ではないかと、私は考えています。

 実際、上にリンクを張っているアリソン・ゴールドフラップのバイオグラフィーにも記していますが、彼女はイギリスのタブロイド紙『The Sunday Times』からのインタヴューでは、レズビアンとラベリングされることについて、「どうしてラベルを貼る必要があるの?」と攻撃的に回答していますが、その翌月にアメリカのレズビアン・メディア AfterEllen.com から取材を受けた際には、レズビアンとラベリングされることについて、「今では平気よ。全然構わないわよ。」と180度の転回を示しています。

 そしてサム・スミスも、現在では自分がゲイであることを、はっきりと口にしており、カミング・アウトの際には非常に神経質になっていたことも認めています。

 このような過去の例があるので、今回ジョージ・シェリーが同性愛をカミング・アウトしながらも、それと同時に自身をバイセクシュアルとラベリングするのは拒んだという件も、やはりイギリスのマス・メディアの興味本位のいいかげんな報道に対する警戒心の表れであって、性的指向のカテゴライズを本気で批判しているわけではないのでは? という感触が、私にはあります。

 だから、たぶん、ある程度の時間が経過したら、ジョージ・シェリーも自身をバイセクシュアル(あるいはゲイ)だと明言するようになるような気が、私はします。

 まあ、もちろん、これは私個人の単なる憶測に過ぎませんが。



 それでは最後に、ユニオン・J の経歴について、以下に簡単にまとめておきます。

 ユニオン・J は、ワン・ダイレクションと同じく、イギリスの人気オーディション番組『X ファクター (The X Factor)』出身のボーイバンドです。

 メンバーは、ジョシュ・カスバート、JJ・ハンブレット、ジェイミー・ヘンズレー、そしてジョージ・シェリーの4人。

 ジョシュと JJ、ジェイミーの3人は、もともとはトリプル・J という名前の3人組のボーイバンドを組んでいました。そのユニット名は、彼ら全員が J のイニシャルであることに由来しています。そのトリプル・J は、2012年の『X ファクター』第9シーズンに参加。一方のジョージは、こちらはソロで同じく『X ファクター』第9シーズンに参加。番組内で出会った彼らは、そこで新たに4人組のユニオン・J を結成。そして2013年6月に、RCA レコードからシングル「Carry You」をリリースしてデビュー。全英シングル・チャートで最高6位を記録するヒットとなりました。同年10月には1st アルバム『Union J』をリリース。こちらも全英アルバム・チャートで最高6位を記録しています。

 2014年には、RCA からエピックへとレコード会社を移籍。そこから2nd アルバム『You Got It All - The Album』をリリースしましたが、残念ながら全英アルバム・チャートでの成績は最高28位。前作に比べるとセールスはあまり芳しくなかったようです。しかし先行シングルとしてリリースされたタイトル曲「You Got It All」は、全英シングル・チャートで最高2位を記録。ヒットチャート上での彼ら最大のヒット曲となっています。

"Carry You"
(2013)





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2016.02.04 Top↑
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