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2019年上半期リリースの、日本のインディー・クィア・ミュージックのシングル&EPのレビューを公開。

もうすぐ、2019年も半分が終わろうとしています。

そこで今回は、2019年1月から5月末日までのあいだに制式リリースされた、日本のインディーのクィア・ミュージシャンによるシングル、および EP の中から、特に12作品を選んで、そのレビューを『Queer Music Experience.』に公開しました。

その12本のレビューのラインナップは、『Queer Music Experience.』の更新履歴を参照してください。

ちなみに。

2019年の上半期を総括する目的でレビューを書くのなら、5月末で区切るのではなく、6月にリリースされた作品も、対象に含めるべきじゃね? と思われた方も多いと思います。

それをしなかった理由は、私が遅筆だからです。

レビューの公開時期を6月末に設定した場合、6月中にリリースされた音源のレビューは、私のスピードでは、とうてい執筆が間に合わないからです。

しょうもない理由ですいません。

で、ですね。

このブログでは、今回私がレビューを書くにあたって、どうしてその12作品を特に選んだのか、その理由について記します。

今回チョイスした12作品は、「2019年上半期のベスト12」という意味で選んだのではありません。

2019年上半期の、日本のインディーのクィア・ミュージシャンのみなさんの動向のうち、私が興味深く感じたもののひとつは、2019年よりも以前からすでにライブ活動の実績があったり、あるいは SoundCloud や YouTube でオリジナルの楽曲をすでにいくつも公開していて、しかし制式音源の配信リリースはおこなっていなかった、というミュージシャンが、今年に入ってから、制式シングルや EP を配信リリースするという動きが相次いだことでした。

今回私がレビューを書いた12作品は、いずれもそれに該当する作品です。

もちろん、そのようにリリースのタイミングが今年の上半期に集中したのは、特別な理由があるわけではなく、単なる偶然の一致なんだろうとは思います。

が。

しかし、そうした偶然の中にこそ、「時代の必然」が潜んでいたりすることは、めずらしくないでしょ?

たとえば、今日のゲイリブ運動の原点であるストーンウォールの反乱と、カウンターカルチャーの頂点であるウッドストックフェスティバルは、同じ1969年の出来事だったりします。

このふたつの出来事のあいだに、因果関係はまったくないんだけれど、でも、なんとなく、同じ匂いはするでしょ?

それがつまり、「時代の必然」ということなんだと思うんです。

もちろん、学問上の見地からいえば、「時代の必然」などという考え方は、偶然の一致に基づいた、ナンセンスな考え方なんだろうけれども、あいにく私は職業研究者ではないので、偶然の一致にもなんらかの意味があると思ってます。

そして、その偶然の一致が、もしも「時代の必然」の表れであるならば、それを記録して遺すことにも、意味があると思うのです。

そこで、2019年上半期の総括としてレビューを書くにあたっては、特にこの12作品を選んだ、というわけです。



それから。

今回この12作品のレビューを書いていて思ったことなんですが、いくつかの楽曲に共通して見られる傾向というのは、やっぱりありますよね。

たとえば、自己肯定をテーマとした楽曲は、2000年代のゲイ・インディーズ・ムーブメントのころにも、多く見られたテーマなんですが、そのころの自己肯定テーマの楽曲は、「ゲイである自分を肯定しよう」「自分のことを好きになろう」という、プライド・ソングの体裁がとられていたんですね。

一方、2019年にリリースされた、クィア・ミュージシャンによる自己肯定ソングは、自身のセクシュアリティを肯定しようと呼びかけているのではなく、社会の同調圧力に抗する形で、「私は私」「君は君のままでいい」と歌われるものが中心になっている、と感じました。

こうした傾向の変化から読み取れるのは、2000年代のころに比べると、現在はセクシュアル・マイノリティへの理解が大きく進んだ一方で、弱者に対する社会の同調圧力は、むしろ以前よりも強くなっている、ということだと思います。

もうひとつ興味深い傾向は、シスジェンダーのゲイ男性シンガーによるクロス=ジェンダー・パフォーマンスの例が増えた、ということですね。

2000年代のゲイ・インディーズ・ムーブメントにおけるクロス=ジェンダー・パフォーマンスは、類型的なジェンダーを批判するものとしての戯画的表現であるか、あるいは女性アイドル歌謡のパロディとしておこなわれる場合がほとんどでした。

しかし、2019年現在は、シスジェンダーのゲイ男性シンガーが、本来の意味でのクロス=ジェンダー・パフォーマンスをおこなうようになっている。この変化も、非常に興味深い傾向でした。

まあ、分析はこのくらいにして。

今回は、すべてのレビューに、Spotify のプレーヤーも埋め込みました。ミュージック・ビデオが制作されている楽曲については、その動画も併せて埋め込みました。

なので、今回採りあげたミュージシャンの名前を知らないという方にも、ライナーノーツを読みながら音源を聴くような感覚で、今回の12作品のレビューを読んでもらいたいです。

どうか、よろしくお願いいたします。
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