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熊系オペラ歌手、デイヴィッド・ダニエルズ

今月の『G-men』(12月号)の「くまかべ」(P146)では、「熊系オペラ歌手」として、アメリカのカウンター・テナー、デイヴィッド・ダニエルズが紹介されている。

デイヴィッド・ダニエルズ、ジャケット


このデイヴィッド・ダニエルズは、単に熊系というだけではなく、「くまかべ」の記事によると、オープンリー・ゲイのオペラ歌手であるという。


デイヴィッド・ダニエルズ、セミ・ヌード
「くまかべ」で話題になっていたセミ・ヌード画像。
乳を揉まれて喘いでます。


Queer Music Experience.では、もっぱらロック/ポップス方面のアーティストばかりを取り上げているので、デイヴィッド・ダニエルズは完全にノー・マークだったのだが、改めて彼のことをいろいろと調べてみると、Queer Music Experience.からもリンクを張っているLGBTミュージックのラジオ番組、『Queer Music Heritage』のサイトに、デイヴィッド・ダニエルズのインタヴューの音声アーカイヴが、2002年11月にアップロードされていた。

デイヴィッドとJ.D.ドイル
(右はインタヴュアーのJ.D.ドイル)


興味のある人は聴いてみてください。もちろんオール英語ですが。

Artist Interviews
http://www.queermusicheritage.com/spot1.html



また、2001年8月23日付のイギリスの『Guardian』誌には、デイヴィッド・ダニエルズのインタヴューが掲載されている。

Get back in the closet
http://www.guardian.co.uk/arts/story/0,,541003,00.html

クラシックの世界に身を置いているゲイ、というと、なんとなく保守的な人なんじゃないか、という先入観があったのだが、このインタヴューを読むと、それはとんでもない誤りだったということがわかる。

デイヴィッド・ダニエルズは、ロック/ポップス畑の平均的なオープンリー・ゲイ・アーティストよりも、はるかに強いゲイ・プライドの持ち主だ。

カウンター・テナーというと、どうしても「性別不在」というイメージがつきまといがちなのだが、その先入観に対して、彼はインタヴューの中で明確に、「カウンター・テナーは男の声だ」と反発を示している。

その発言は、意地悪い見方をするならば、彼のゲイ・プライドが男性性に強く立脚したものだと解釈することも可能ではあるのだが、彼の発言の真意というのは、おそらく、カウンター・テナーを「男らしくない」と捉える、20世紀的なジェンダー観への反発と挑戦、と見るべきだろう。

『Guardian』誌のインタヴューの後半部分を訳してみたので、それを以下に掲載する。



彼が熟考している別のプロジェクトは、現代オペラの役を彼に書くように、存命中のアメリカの作曲家を口説き落とす、というものだ。彼はそれをはっきりと渇望している。
「僕が求めているのは、それがある種の政治的感触を持っている、ということだね。オペラは、たとえ初期の時代のオペラであっても、なべて現代の問題や関心事に、僕たちをどうにかして引き寄せることができなくてはいけない、というのが僕の考えなんだ。それは(ピーター・)セラーズが『テオドラ』(ヘンデル作曲のオペラ)で素晴らしくやってみせたことだ。

「それと僕は、キャラクターが人間であることも求めるね。男性であることをね。地球外生命体とか、雌雄同体の類じゃないよ。ドラァグ・クイーンでもない。カウンター・テナーはね、男っぽい声なんだ。男性の声なんだよ。僕は、男を描き出したいんだ。」

「現行のオペラのゲイ・コミュニティは、とっても、とっても、保守的なんだ」とダニエルズは言う。「彼らは、オペラの歌声とか衣装は大好きなくせに、(ゲイとヘテロの)違いとか、(セクシャリティについての)想像をかきたてるものが前に出てくるのは、全く望んじゃいないんだ。そんなのはうんざりするね。」

「僕は、セクシャリティに全くオープンだ。交際についてもオープンにしている(彼は、ピアニストおよび音楽教師のジョン・タッチトンと、16年間、ワシントン郊外で暮らしている)。信じられないほど誇れる関係を16年も保ち続けているんだという事実も、全く隠しだてはしない。ところが、僕にいちばん反発しているのは、ゲイ・コミュニティなんだ。僕がオープンで、誇りをもっていて、率直であることに、ゲイ・コミュニティはとっても否定的なんだ。まったくおかしな話だよね。何の意味もないよ。」

「僕はゲイだ。それは僕の大きな部分を占めている。僕はゲイであることをいつでも自覚していたから、子どものころから現在まで、僕の個性の大部分、僕がどのように人格を形成したかという大きな部分を、ゲイであることが占めているんだ。ゲイであることは、僕の歌に影響している。本当だよ。それは事実だ。そんなことはないだろうという人には、僕はうなずけないね。」




デイヴィッド・ダニエルズ公式サイト
http://www.danielssings.com/


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コメント

知ってるよ、ダニエルズ。オペラ界では第一線のカウンターテナーです。
いいインタヴューを紹介してくれてありがとう!

>SUSUMU
たぶんSUSUMUだったら、デイヴィッド・ダニエルズのことは知っているだろうと思ってました。
歌声はまだネットラジオでしか耳にしていないんだけど、近いうちにCDで聴いてみようと思ってます。
おすすめの作品ってある?

彼がタイトルロールを歌うオペラのCDがあるけど、とても良い出来です。
ガーシュウィンなんかと編集して渡すわ~。

>SUSUMU
おお! ありがとう! (^o^)/
ガーシュウィンというと、『ポーギーとベス』かな?
期待してます!

はじめまして。ウィル・ヤングで検索していたらこちらにたどり着きました。
ダニエル氏、大好きな歌手です。もしかして、と思っていましたがそうだったんですね(笑)
彼は他のカウンターテノール歌手より、ものすごく力強い声なんです。だから好きです。
彼の声からは、フェミニンなイメージのカウンターテノールはありません。
インタビューのような思いがあるから力強いのでしょうね!

>F.フジヤマさま

レスが遅くなり、申し訳ありませんでした。m(_ )m

このエントリを久々に確認したら、『Guardian』のインタヴューはリンク切れになっちゃってましたね。とても良いインタヴューだったので残念ですが、消えてしまう前にその一部分だけでも和訳しておいて良かったです。

ウィル・ヤングを検索していてダニエルズのエントリにコメントをくださっているということは、フジヤマさんの音楽のご趣味は相当幅広そうですね。(^^
私も、なるべく幅広いジャンルのLGBTアーティストを取り上げようとがんばっているのですが、いかんせん一個人のアンテナの感度には限界があるので(汗)、フジヤマさんがご存知の情報でQ.M.E.的な興味深い情報がありましたら、ぜひお知らせくださいませ。

コメント、どうもありがとうございました。(^^
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