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小学生のころ、自分が通っていた学校の校長先生が、朝礼のときに話してくださった、ある例え話を、今でも覚えている。

その例え話とは、こういうものだった。






満員の電車の中で、誰かが誰かの足を踏んでしまったとします。

自分が誰かの足を踏んでしまったと気づけば、その人はすぐに足をどかすでしょう。

ところが、自分が誰かの足を踏んでいることに気づかない人は、ずっと踏み続けたままなのです――。





この例え話は、小学生の自分には、目からウロコだった。

「知らなかった」とか「気づかなかった」という言葉は、実は何の言い訳にもならないのだと知った。

それどころか。

「知らなかった」からこそ、

「気づかなかった」からこそ、

より大きな痛みを、相手に与えてしまう場合もあり得るのだと知った。



悪気がなかったからこそ、より一層深い傷を、相手に与える場合もあり得るのだ。



    *



さて、昨日(12月23日)付の、Yahoo!ニュース。


<HG玩具>同性愛者差別を助長と発売中止要請
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051223-00000051-mai-soci



このニュースを読んで、

「何もそこまで目くじら立てなくてもいいんじゃないの?」

と感じたゲイの人は、結構いるんじゃないかという気がする。



でも、自分にはそうは思えなかった。



この記事によると、トミー広報チームは、

「『同性愛者を剣で突き刺して楽しむ』との認識はなかった」

とコメントしている。

この「認識はなかった」という言葉は、自分が先に書いた、

「知らなかった」

「気づかなかった」

という言葉と、同じ種類のものだと思う。



つまり。



誰かがどこかで痛みの声を上げなければ、レイザーラモンHGの人気に便乗した、同性愛者差別に繋がりかねない商品が、これからも続々と登場し続ける可能性がある、ということだ。

したがって、これは「黒ひゲイ危機一発」という商品1つだけを巡る問題ではない。



たとえば、以下のURLの記事が、その良い例だろう。



聖なる夜にHGがモンスター軍と激突!=12.24ハッスル・ハウス
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051130-00000020-spnavi-spo



この記事の中にある<高田モンスター軍出場予定選手>の名前、これはいったい何なんだ。

特に「エルトンとデービッド」。

どうやら今の日本では、同性婚は茶化しの対象でしかないらしい。

本当にガッカリだ。



この<高田モンスター軍出場予定選手>たちは、どう見たって明らかに、レイザーラモンHGの人気に便乗した、いわば二番煎じ。

二番煎じは、本家の表面的な部分だけを真似ているのが大きな特徴

たとえば、1980年代、マドンナが「Like A Virgin」で大ブレイクした後、「第2のマドンナ」という触れ込みの女性シンガーたちが、大量に登場した。

しかし、それらの女性シンガーたちとマドンナのあいだにある共通項は、実は「セクシーである」とか「ダンスがうまい」とかいったような、非常に表面的な部分だけだった。

それらの表面的要素は、マドンナのアーティストとしての本質ではないということは、今日のマドンナを見れば誰にでもわかることだ。

しかし、そういった表面的な要素こそが、先ず最初に大衆の耳目を惹き付けるのも、悲しい現実だ。



だからこそ。

レイザーラモンHGの二番煎じたちは、こぞってゲイというセクシャリティを茶化す。

それこそがレイザーラモンHGの大ブレイクの要因だと思っているからだ。

レイザーラモンHGの面白さは、文脈を無視していきなり「フォーッ!!」と奇声を上げるという、その唐突さ、意味のなさにあるのであって、ハードゲイのふりをしているから面白いのではないだろう。

違いますか?



そして。

マドンナの二番煎じの多くが、マドンナよりもセクシーであることをアピールしようとしたり、あるいはマドンナ以上に踊れるのだということを証明しようとしていたように、二番煎じというものは、本家の表面的な要素を、よりエスカレートさせる傾向がある



したがって、レイザーラモンHGの二番煎じたちは、ゲイというセクシャリティを茶化すやり方が、さらに露骨に、差別的にエスカレートしている可能性が高い



まあ、<高田モンスター軍出場予定選手>の実際の芸風を見たわけではないので、これは公正な物言いではないのだが、ネーミングを見る限りでは、そういう危惧を禁じ得ないのが、ゲイの当事者としての正直な感想だ。



そして、自分は以前、このブログのエントリーで、レイザーラモンHGについて、以下のように書いた。

レイザーラモン住谷というキャラクターは、ヴィジュアルは中途半端にリアルに作られている一方で、現実には有り得ない言動(「フー!」という奇声とか腰のグラインド)が強調されている。でも、人というものは、どうしても外見で相手の属性を判断しがちだから、ヴィジュアルがそれなりにハードゲイっぽく作られていた場合には、その言動がどれだけ有り得ないものであっても、人はそれを「誇張」だと誤解してしまう。

だからこそ、レイザーラモン住谷の芸風は、結果としてハードゲイを「歪曲」したものになっている。


(全文のURLは以下)
http://queermusicexperience.blog10.fc2.com/blog-entry-13.html

自分が以前に書いたように、本家レイザーラモンHGが、ゲイというセクシャリティの「歪曲」を孕んでいるものだとするならば。

彼の二番煎じである<高田モンスター軍出場予定選手>も、当然「歪曲」を孕んでいると見るべきだ。

そして、二番煎じというものは、本家の表面的要素をよりエスカレートさせたものなのだから、<高田モンスター軍出場予定選手>によるゲイというセクシャリティの「歪曲」も、当然、本家レイザーラモンHGが行なっている「歪曲」を、さらに差別的にエスカレートさせたものであることが予想されるのである。



    *



レイザーラモンHGを支持しているゲイの人は、どうやら多いようだ。

しかし、自分がレイザーラモンHGの表現を見ていて引っかかるのは、彼が本当はストレートであるにもかかわらず、ゲイという「性的指向そのもの」を笑いのネタにしている、ということなのだ。

ゲイの「キャラ」を売りにして人気を得たストレートの芸人としては、藤井隆がいる。

しかし、彼はゲイの「性的指向そのもの」をネタにすることはない。

藤井隆本人が脚本を書いたわけではない吉本新喜劇の舞台はまた別なのだが、フリートークのバラエティにおける藤井隆は、共演の男性タレントに色目を使ったり、必要以上にベタベタと身体を触ったりしない。好みの男性のタイプについて言及するなどということもない。

ただ単にオネエ言葉でトークしているだけだ。

藤井隆は、ゲイという「性的指向そのもの」を笑いのネタにしたことはない。



しかし、レイザーラモンHGは、本当はストレートでありながら、「誰々のお相手をしたい」と語り、「性的指向そのもの」を笑いのネタにして、セクシャルな要素を前に出した。



そのことによって、レイザーラモンHGは、
「ストレートの芸人であっても、ゲイのセックスに関する話題で笑いをとるのはOKなのだ、許されるのだ」
という前例を作ってしまった




そして、さっきから何度も繰り返して言っているように、二番煎じは本家の表面的な要素をエスカレートさせたものなのだから、レイザーラモンHGの二番煎じたちは、「ゲイという性的指向そのもの」を話題にして笑いをとる行為も、エスカレートしている可能性が高い。

「エルトンとデービッド」などというネーミングを見ると、同性婚という「権益の保障」の問題が、ストレートの目から見て面白おかしく茶化されている可能性が、非常に高い。



    *



二番煎じの登場というのは、本家のタレントのコントロール外のところにある。

レイザーラモンHGの相方が「レイザーラモンRG(リアルゲイ)」を名乗ることに、HGが半ば本気で苦い顔をしているというのも、それが彼の本意ではない証拠だ。

だから、二番煎じや便乗商品の登場は、本家レイザーラモンHGの責任とは必ずしも言えない。

ただ、<高田モンスター軍出場予定選手>のような勘違い二番煎じや、「黒ひゲイ危機一発」のような便乗商品の登場は、レイザーラモンHGの人気を背景にしているのだから、少なくとも自分は、レイザーラモンHGを支持することによって、これ以上の二番煎じや便乗商品の登場に、間接的に加担するつもりはない。



そして、本家レイザーラモンHGが、ゲイというセクシャリティを「歪曲」していることに自覚がない(あるいは、ゲイというセクシャリティを外側から理解するのに限界がある)以上、その二番煎じや便乗商品づくりに携わっている人々も、本家同様、自分たちの行なっていることがゲイというセクシャリティの「歪曲」であることに、自覚がないことが予想される。



それがつまり、トミー広報チームの発表した、
「認識はなかった」
というコメントなのだ。



ゲイというセクシャリティの「歪曲」をエスカレートさせている人々が、そのことについて「認識はなかった」とコメントしている。

ということは。

誰かが痛みの声を上げない限り、それらの人々は、どこまでもゲイというセクシャリティの「歪曲」をエスカレートさせ、それをさらに拡大させていく恐れがある、ということではないのか?



問題の核心は、「黒ひゲイ危機一発」という商品1つだけにあるのではない。

個人的には、「黒ひゲイ危機一髪」という商品そのものが、同性愛者差別を植え付ける劣悪なものであるとは思わない。

ただ、どこかで誰かがこうした流行に反対の声を挙げなければ、レイザーラモンHGが確立した芸風は、HG本人のコントロールを離れて、どんどん差別的な方向にエスカレートしていく可能性があるように思うのだ。

<高田モンスター軍出場予定選手>の登場に象徴されるように、レイザーラモンHGの大ブレイクを起点にして、「認識のない差別」「自覚のない差別」が、便乗商品の発売や、二番煎じの登場という形をとって、日本中に拡大しつつある。

それこそが、いちばん大きな問題なのだ。

その意味で、今回のセクシュアルマイノリティ教職員ネットワークによる販売停止申入れは、勇気ある決断だったと思う。

人気絶頂のタレントの関連商品に異議を申し立てるからには、世間からの強い反発を、覚悟していたはずだから。

STN21に対する風当たりは、相当強くなるだろうけど、でも今回の販売停止申入れがあったことで、レイザーラモンHGの人気に便乗して商売しようとしたときに、「認識はなかった」では済まされないという前例は、できたように思う。



「知らなかった」からこそ、

「気づかなかった」からこそ、

より大きな痛みを、相手に与えてしまう場合もあり得るのだ。



痛みを受けた側が声を上げない限り、相手はいつまでも気づくことなく、痛みを与え続ける。

満員電車の中で、誰かの足を踏んでいることに気がつかない人のように。







以下は、追記です。

「発売中止要請の正当性の理由の説明にはなっていない」というようなコメントをいただいてしまったんですが。

これだけの長文にもかかわらず、まだ言葉が足りなかったんだなー、と反省しています。

自分がこのエントリーを書いた目的は、STN21の発売中止要請の「論旨」の正当性を訴えることにはありません。

だから、STN21の「論旨」を引用することは一切していません。正当性を論証するつもりはなかったので。

そして本文中でも、

「個人的には、「黒ひゲイ危機一髪」という商品そのものが、同性愛者差別を植え付ける劣悪なものであるとは思わない。」

と書いているんですが、どうやらそれだけでは不十分だったようです。

自分のスタンスを明確に書かなければ誤解を招くということが、よーくわかりました。



自分のスタンスは、STN21の「論旨」ではなく、発売中止要請という「行為そのもの」を、結果オーライ的に評価する、というものです。



そして、自分自身の論旨というのは、エントリーの最後のほうで、フォントサイズを上げて赤の太字で強調しているように、

「どこかで誰かがこうした流行に反対の声を挙げなければ、レイザーラモンHGが確立した芸風は、HG本人のコントロールを離れて、どんどん差別的な方向にエスカレートしていく可能性がある」

というものです。



どうして自分がそのようなスタンスをとっているのかというと。

ゲイというセクシャリティを巡る表現には、「ここからここまではOKだけど、ここからは差別表現になる」というような、明確な基準は存在しないからです。

たとえていうなら、セクハラと同じようなものです。

セクハラは、外野の目から見て「それは別にイヤガラセじゃないだろう」と思うようなものであっても、あるいは本人にはイヤガラセのつもりはなくても、それを受けた側が精神的被害を感じた場合には、それはもうセクハラなんです。

理不尽に思う人も多いだろうけど、それが現実です。

事実、いま自分が通っている大学の講義では、ルネッサンス期に描かれた女性の裸体画をスライドで見せる場合にも、「これから女性の裸が出てくるので、それが不快な人は教室から出てってくださいね」と、ひとこと事前に注意しておかないと、女性の学生から抗議の声が出る場合もあるんですよ。そういう例が、過去にあったんです。そんなのバカらしいと思う人もいるだろうけれど、これは結局、セクハラに明確な基準がないから起こることなんです。

イヤガラセのつもりはないのにイヤガラセに思われてしまうのを回避するためには、「これはイヤガラセを目的としたものではない」と事前に注意するしか、方法はないんです。

セクシャリティを巡る表現も同様です。

性をめぐる差別表現に、明確な基準は存在しません。

存在しないし、作ろうと思っても無理です。

だから、受け手の側がそれを差別だと感じれば、それはもう差別表現なんですよ。



エントリーの本文中でも明記しているように、自分の個人的な考えでは、「黒ひゲイ危機一髪」というゲームそれ自体が、同性愛差別を助長するものだとは思っていません。

だからといって、STN21の「論旨」が間違っているとも思いません。

なぜなら、性をめぐる差別表現に、明確な基準はないから。

だから、STN21の「論旨そのもの」に対しては、「ああ、この人たちはこのゲームを差別的だと感じたんだな」と理解するだけです。

そもそも、性をめぐる差別表現に明確な基準がない以上、STN21の「論旨」が正しいのか間違っているのかという議論は、成立し得ないのではないでしょうか。

というのも、正しいのか間違っているのかを決める普遍的な基準が存在していないわけですから。



だから、自分の今回のエントリーも、STN21の「論旨」が正しいのか間違っているのかを論じてはいません。それは読んでもらえればわかってもらえるものと、勝手に思ってました。

でも、この問題に関心のある人たちは、STN21が正しいかの間違っているのかの判断をつけたがっているんでしょうか。



くどいようですが、性をめぐる差別表現には基準がありません。



STN21の「論旨」に反発を感じたという方々については、だから「こいつら間違ってるよ」と非難するよりも前に、こうしたゲームを差別だと感じる人たちがいるのだという「事実」をこそ、受け止めてほしいと思います。

その上で、性をめぐる差別表現には基準がないんだから、レイザーラモンHGの人気に安易に便乗してしまうと、今回のような問題が発生するのだという可能性をよく考えてほしい、というのが自分の言いたいことです。



正しいか間違っているかではないんです。



今回のゲーム発売を差別と感じた人たちがいるのは事実。

基準もないのに、それを「間違っている」と断じることは誰にもできません。

そして、性をめぐる差別表現に基準がない以上、セクハラのケースと同じように、差別を目的とはしていないにもかかわらず、それを差別だと言われないようにするためには、「これは差別を目的としたものではありません」という断わりを入れるしか、方法はありません。

そして、ゲイのセクシャリティをめぐる表現の場合、ゲイの当事者の側から声を上げなければ、それが差別かどうかは、異性愛者の側からはわからないのではありませんか?

差別されたと感じた人が声を上げなければ、そこに差別があるかもしれないという可能性をあぶりだすことはできないんです。



だから、自分はSTN21の「論旨」を支持しているのではなく、STN21が「そこにあるかもしれない差別の可能性」をあぶりだしたという「行為」の部分を、結果オーライ的に評価しているんです。

STN21に正当性があるかどうかは、性をめぐる差別表現の普遍的な基準が存在していない以上、誰にも断じることはできません。



あと、はてブのほうで「黒ひゲイ危機一髪のみに反駁する理由の説明」になっていないというコメントもいただきました。

なんでこの商品にのみケチをつけるのかが見えにくいんだと思うんですが、それもやっぱり、「性をめぐる差別表現に明確な基準はない」からこそ、わかりづらいんだと思います。

自分のスタンスは、「STN21の基準では、このゲームを差別だと感じたけれども、レイザーラモンHGのパフォーマンスはOKなんだな」と理解しています。

自分は「黒ひゲイ危機一髪」が差別を助長するものだとは思っていないので、STN21の基準の一線はわかりません。


自分の基準では、「黒ひゲイ危機一髪」というゲームよりも、レイザーラモンHGのパフォーマンスのほうに、より強く差別の危惧を感じていました。人気のある芸能人の言動のほうが、より強い影響力があるとおもうので。

だから、自分は以前から、レイザーラモンHGの表現に違和感を覚えるということを、このブログや自分のサイトで書いてきましたが、何をもって差別とするかに統一基準はないので、レイザーラモンHGに対する考え方は、自分とSTN21とでは違うと思います。


あと、異性愛の人たちが「レイザーラモンHGはゲイナイトにも出演しているのに、なんで今ごろになってこのゲームを差別だと言い出すのか」みたいなことを書いているのも見かけましたが、一口にゲイと言っても、そこにはいろんな人が含まれています。ストレートと一口に言っても、そこにはいろんな考え方と指向があるのと同じです。

だから、レイザーラモンHGがゲイナイトに出演したからといって、日本のゲイ全体がレイザーラモンHGを支持しているわけではないし、レイザーラモンHGを招いたゲイナイトのオーガナイザーとSTN21の動きのあいだに一貫性がないのは当然だと思ってください。


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2005.12.24 Top↑
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