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『アメリカン・アイドル』準優勝の女性シンガーが、バイセクシュアルをカミング・アウト。

 日本でもFOXチャンネルで放映されている、アメリカの人気オーディション番組『アメリカン・アイドル (American Idol)』出身の、オープンリーのLGBTのアーティストと言えば、2003年の第2シーズンで準優勝したクレイ・エイケンと、2009年の第8シーズンで準優勝したアダム・ランバートが有名です。

 クレイ・エイケンは2008年9月に、そしてアダム・ランバートは第8シーズン終了後の2009年6月に、それぞれゲイであることをカミング・アウトしています。

クレイ・エイケン バイオグラフィー (Queer Music Experience.)

アダム・ランバート バイオグラフィー (Queer Music Experience.)

 この2人の他にも、2002年の記念すべき第1シーズンのファイナリストであったジム・ヴェラロスが、翌2003年の1月に、ゲイであることをカミング・アウトしています。『アメリカン・アイドル』のファイナリストがゲイであることをカミング・アウトしたのは、このジム・ヴェラロスが最初でした。

ジム・ヴェラロス バイオグラフィー (Queer Music Experience.)

 そして、先月(2013年11月)、新たにまた一人、『アメリカン・アイドル』のファイナリスト出身者が、LGBTであることをカミング・アウトしました。

 今度は、女性アーティストです。

 2010年の第9シーズンで準優勝を果たし、メジャーのジャイヴ・レコードからデビューしたシンガー・ソングライターのクリスタル・バウワーソックス (Crystal Bowersox)が、11月26日に、バイセクシュアルであることをカミング・アウトしました。GLAAD のブログや AfterEllen などが、12月3日付でこれを報じています。

Singer and 'American Idol' runner-up Crystal Bowersox comes out as bisexual (GLAAD, 2013.12.03)

Crystal Bowersox comes out as bisexual (AfterEllen, 2013.12.03)

 クリスタル・バウワーソックスのアルバムは、これまでは日本盤の発売がないので、彼女の日本での知名度は、クレイ・エイケンやアダム・ランバートほどには高くないような気がしますが、『アメリカン・アイドル』出身の男性アーティストではなく女性アーティストによるカミング・アウト、しかもバイセクシュアリティーのカミング・アウトという点で、今回のニュースは大いに注目すべきものであると、私は思います。

Farmer's DaughterFarmer's Daughter
(2010/12/14)
Crystal Bowersox

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All That for ThisAll That for This
(2013/03/26)
Crystal Bowersox

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 というわけで、親サイトの Queer Music Experience.に、新しくクリスタル・バウワーソックスのバイオグラフィーを追加しました。彼女のカミング・アウトに至るまでのキャリアについては、そちらをぜひ参照なさってください。

クリスタル・バウワーソックス バイオグラフィー (Queer Music Experience.)

 さて、このバイオグラフィーにも記していますが、クリスタル・バウワーソックスのカミング・アウトは、テレビ番組『Good Day L.A.』の中で行なわれました。この番組にクリスタルがゲスト出演したのは、11月19日にデジタル・リリースしたチャリティー・シングル「Coming Out for Christmas」のプロモーションのためでした。

 かつてアダム・ランバートは、2009年のファースト・アルバム『フォー・ユア・エンターテイメント (For Your Entertainment)』の収録曲「アフターマス (Aftermath)」を、LGBTの若者を支援し、彼らの自殺を防ぐことを目的としている非営利団体、トレヴァー・プロジェクトのためのチャリティー・シングルとして、新たにリミックスを施して、2011年にシングル・カットしましたが、クリスタル・バウワーソックスによるこの「Coming Out for Christmas」も、「アフターマス」と同様、その売り上げがトレヴァー・プロジェクトに寄付されます。

 このエントリを書いている現時点では、「Coming Out for Christmas」のミュージック・ヴィデオは、公式のリリック・ヴィデオが公開されているのみですが、ぜひ一人でも多くのかたに、これをご覧になっていただきたく思います。

"Coming Out for Christmas"
(2013)


「Coming Out for Christmas」のダウンロード購入は、以下のリンクからどうぞ。
iTunes - Music - Coming Out For Christmas - Single by Crystal Bowersox



美川憲一の性を曖昧にする、『ソロモン流』の曖昧な質問。

 このブログと、親サイトの Queer Music Experience.では、LGBTであることを自ら公にしていたり、あるいはLGBTであることが何らかの形で明らかになっているシンガー/ミュージシャンの話題のみを取り上げています。

 その性的指向について噂になりながらも、本人による性的指向への言及が一切ない、という存命中のシンガー/ミュージシャンの話題は、原則として、取り上げていません。

 己の性的指向を明言できるのは、当人だけです。他者が性的指向を決め付けることなどはできないし、するべきでもない。そのような私自身の考えに基づいて、当ブログと親サイトの Queer Music Experience.では、LGBTであることが何らかの形で明らかになっているシンガー/ミュージシャンの話題のみを取り上げています。それ以外のシンガー/ミュージシャン――たとえば、本人はLGBTであることをカミング・アウトしていないにもかかわらず、それがまるで既成事実でもあるかのように、その性的指向が人々の口の端に上ってしまっているようなシンガー/ミュージシャン――の場合は、当人の口からハッキリと、自身の性的指向についての言及がない限りは、このブログや Queer Music Experience.で話題にすることは、原則として、ありません。

 ただし、その原則には沿うていない、一部の例外記事もあります。

 今回のエントリは、その例外記事の一つとなります。



 今月(2013年10月)13日、テレビ東京系列で放映されているドキュメンタリー番組『ソロモン流』に、美川憲一(みかわ・けんいち)さんが登場なさいました。



 美川さんがオープンリー・ゲイであるという誤解は、なにも異性愛者のかたたちのあいだだけでなく、ゲイの当事者のかたたちのあいだにも非常に多いという印象が私にはあるのですが、美川憲一さんは、ご自身のことを同性愛者だとメディア上で明言なさったことは、これまでにはありません。

 上に埋め込んだスポット映像の中で、美川さんは「全て喋るわよ。お聞き!」と、視聴者の興味を自ら煽っていらっしゃいます。こんなふうに言われたら、さぞや赤裸々な内容が語られているのだろうと期待を膨らませてしまう視聴者のかたもいらっしゃったかもしれませんが、しかし『ソロモン流』という番組は、他局のトーク・バラエティ番組にありがちな過剰な煽り演出は、むしろ控えめなので、10月13日の放送分でも、タブロイド紙的な興味に基づく話題の提供は、それほどありませんでした。

 当然、美川さんの性的指向も、番組の中では明らかにされていません。

 とはいえ、『ソロモン流』の製作スタッフのかたがたが、美川さんの性のあり方について、強い関心を抱いているであろうことは明らかにうかがえる、そのような番組構成でした。

 まずは美川さんへのインタヴューからスタート。画面の外にいる男性スタッフ(ディレクターさん?)のかたから投げ掛けられた質問は、次のようなものでした。

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シャリースが、レズビアンであることをカミング・アウト。

既に日本の複数のニュース・サイトでも報じられているので、ご存知のかたも多いことと思いますが、アジア人アーティストとしては初めて、アメリカの『Billboard』誌のアルバム・チャートの Top10に作品を送り込んだ、フィリピンの女性シンガー、シャリース (Charice)が、レズビアンであることを公的に認めたそうです。

歌姫シャリース、レズビアンだとカミングアウト(シネマトゥデイ、2013.06.03)

日本のニュース・サイトにシャリースの記事が掲載されるとき、多くの場合は、彼女のことを「人気ドラマ『Glee』にも出演したシャリース」と紹介しているんですが、実は私は『Glee』を観たことがなかったりします。

だから、私がシャリースの名前を聞いてパッと最初に思い浮かべるのは、『Glee』ではなく、冒頭にも書いたように、アジア人アーティストとしては初の全米アルバム・チャート Top10ヒットとなった、ワールド・ワイド・デビュー作『シャリース (Charice)』と、そこからのヒット曲「ピラミッド(feat.アイヤズ) [Pyramid (feat.Iyaz)]」です。

"Pyramid (feat.Iyaz)"
ピラミッド(feat.アイヤズ)
(2010)


シャリース(初回限定スペシャル・プライス盤)シャリース(初回限定スペシャル・プライス盤)
(2010/07/07)
シャリース

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さて、彼女のカミング・アウトについてなんですが。

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ケイクス・ダ・キラー「私はファックかわいい」

『The Eulogy』ジャケット


ニューヨークのクイアー・ラッパー、ケイクス・ダ・キラー (Cakes Da Killa) を初めて紹介した2月19日付のエントリを書いた時点では、彼の新作ミックステープ『The Eulogy』からの1st シングル「Goodie Goodies」のミュージック・ヴィデオは、まだ公開されていなかったのですが、今月に入ってから、ついに YouTube でお目見えとなりました。

それを受けて、アメリカの LGBT 向けエンタテインメント・ニュース・サイト、NewNowNext.com でも、4月10日付でケイクス・ダ・キラーの紹介記事が掲載されました。

Cakes Da Killa: A Queer Rapper Who’s Horny and Awesome (NewNowNext.com, 2013.04.10)

この記事、非常に良いです。クイアー・ラップの特色とケイクス・ダ・キラーの魅力を、非常にわかりやすく紹介してくれています。

過去のエントリで紹介した、Pitchfork.com によるクイアー・ラップの記事は、最初からヒップホップのファンに向けて書かれたものだったので、そうした方面に明るくないかたには、たぶん難解であったと思うのですが、今回の NewNowNext.com の記事は、ヒップホップには詳しくない読者層を前提とした書き方で、とにかく親切です。クイアー・ラップを聴き始めるにあたっての入口とするにはまさにうってつけの、とっても良質な記事です(だからといって全文を日本語に訳すまでの余力はないので、それはどうかご勘弁を)。

さて、肝腎の「Goodie Goodies」のミュージック・ヴィデオの内容なんですが。

これまでのケイクス・ダ・キラーは、「ヴィジュアルは男装、でも所作はバリバリのオネエ」というタイプのクイアー・ラッパーでしたが、「Goodie Goodies」のミュージック・ヴィデオでは、ヒゲを綺麗に剃り落として、メイクもきっちりと施して、ほぼ女装の領域にまで針を振り切っています。

これがですね、意外と言っては失礼になってしまうんですが、でもホントに意外なほど普通に可愛らしいんですよ。

で、今回のこのケイクス・ダ・キラーのヴィジュアルは、私個人の感覚からすると、あくまでも「ほぼ女装」であって、「完全な女装」とは微妙に違うという印象を受けました。

というのも、彼はなにも女性になりきろうとしているのではないんですよね。

彼はあくまでもゲイ男性であり、そのゲイ性に基づいた男性性が、トランスヴェスタイトとしてはあまりにも簡素な装いの中に顔を覗かせているからこその、「ほぼ女装」。

これって、「男でも女でもない」のではなく、「男でもあり、女でもある」というサジ加減だと思うんですよ。

どちらか一方の性にのみ属しているのではない。かといって、どちらの性にも属していないわけではない。

男性性と女性性の両方を感じさせる。

つまり、どちらの性にも属しているという、とってもフレキシブルな状態。

それこそが、トランスジェンダーのアーティストのみなさんの表現とはまた一味ちがった、クイアー・ラップならではの面白さと豊かさであるという気が、私はします。



それから、NewNowNext.com の記事では、ケイクス・ダ・キラーのことを、クイアー・ラップ・シーンの中では最も親しみやすいアーティストであるというふうな感じで紹介していますが、まさにその通りだと、私も思います。

特に商業性を意識しているふうでもないんですが、単純にクオリティーが高いのに加えて、おそらくは彼のユーモラスなパフォーマンス・スタイルが、テーマの性的な過激さやアンダーグラウンドならではのサウンドの尖り具合を、巧みにマイルドにしてくれているんですね。

そうしたケイクス・ダ・キラーのバランス感覚は、「ほぼ女装」のサジ加減も含めて、実に絶妙であると私は思うのですが、みなさんはどうお感じになるでしょうか。

映像中には、なぜか日本語のフキダシも幾度となく登場するので、このブログをご覧になってくださっているみなさんにおきましては、そうした点からも関心を持っていただける内容ではないかと思います。

"Goodie Goodies"
(2013)


「Goodie Goodies」収録の最新作『The Eulogy』も、それから前作『Easy Bake Oven EP』も、どちらも無料でダウンロードできます。「Goodie Goodies」のミュージック・ヴィデオがお気に召したかたは、ぜひこれらの音源も聴いてみてください。

ケイクス・ダ・キラー、おすすめです。日本でももっと話題になってほしいなあ。

『The Eulogy』ダウンロード
http://mishkanyc.bandcamp.com/album/the-eulogy


『Easy Bake Oven EP』ダウンロード
http://downtownmayhem.com/DTMRecords.html



フィリピンの日系ペルー人モデル、セバスチャン・カストロのカミング・アウト。

ゲイ・コミック・アーティストの田亀源五郎先生が、先月(2013年2月)16日のツイートで紹介なさっていたのが、日系ペルー人の俳優・歌手だというセバスチャン・カストロ (Sebastian Castro)のミュージック・ヴィデオ「Bubble」

"Bubble"
(2013)


私はこれまでセバスチャン・カストロの名前を聞いたことがなかったので、田亀先生のツイートを拝読して以降、自分でいろいろと調べてみたのですが、少なくともこのエントリを書いている現時点では、彼の略歴はウィキペディアのような形にはまだまとまっていないようです。

そこで、彼について書かれたニュース・サイトの記事やブログなどをいろいろと探して読んでみました。

今回のエントリを書くにあたって主に参照したのは、下にリンクを張った3つの記事です。

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